日本で省エネを進めていこうという流れは、元をたどれば日本のエネルギー自給率の低さにあります。なので、これだけ地球温暖化が騒がれている中でも、エネルギー自給率の高い国では省エネに対する意識は低いという現実があります。
今回は、世界のエネルギー需要の推移や日本のエネルギー情勢はどうなっているのか見ていきたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 世界のエネルギー使用量の推移
世界の人口が1950年には約25億人だったのに対し、2017年では約73億人にまで増加しています。さらに2050年までには約97億人、2100年には約112億人にまで増加すると言われています。
人口とエネルギー需要は密接に関係しており、人口の増加に伴って、今後エネルギー需要もますます増加していくと考えられます。経済産業省のHPに掲載されている「世界のエネルギー需要の実績と予測」というグラフを載せてみます。
(出典:経済産業省「資源エネルギー庁」HP)
1990年に対し、2012年には約1.5倍増加しています。国別でみると、やはり中国のエネルギー需要の増加が圧倒的に大きいことがわかります。
ちなみに、世界で最も石油の消費量が多い国はアメリカで7.86億トン、次いで中国4.42億トン、そして日本2.06億トンとなっています。エネルギー全体でみると、日本の消費量は世界5位という結果になっています。
ただ、皆さんもご存知のように、日本のエネルギーはそのほとんどを輸入に頼っており、かねてからの日本の課題という事になります。
(出典:経済産業省「資源エネルギー庁」HP)
上のグラフを見ると、先進国の中でも飛びぬけて自給率が低いという事がわかります。
よって日本は他国に比べ、エネルギーに対して輸入コストがかかり、非常に値段の高いエネルギーを使用していることになります。
グローバル経済で戦っていこうと思うと、エネルギーコストが大きなネックになるというのはこちらを見てもよく分かりますね。
2. 日本のエネルギー情勢
では、日本のエネルギー情勢はどうなっているのでしょうか?
日本の部門別エネルギー消費量のグラフを載せてみます。
第一次オイルショックが発生した1973年に比べ、GDP(国内総生産)は2.4倍に増加しています。
部門別にみると、業務、家庭、運輸などは増加していますが、産業部門は若干低下傾向にあります。これは産業部門の先人たちが省エネルギーに真剣に取り組んできた成果といえます。
このような現状から、最近の省エネ法の改正では、元々は産業部門だけであったものが運輸や業務部門にも拡大しているということが分かります。
3. 日本の電力エネルギー供給源
電力という観点から見ると、東日本大震災の事故によって、原子力発電所が停止したため、化石燃料への依存度は増加しています。
現在の発電に使用するエネルギーではLNG(液化天然ガス)>石炭>石油というバランスになっています。
再生エネルギーについては、普及が進んでいるイメージですが、発電できる量も少なく現在では3%程度にとどまっています。
再生エネルギーについては「鷹の爪団」が詳しく解説してくれているので、動画を載せておきます。
4. もしも石油がなくなったら?
エネルギーを海外に依存しているという事は、他国の政情不安などによって、いきなり明日石油の輸入がストップするという事もあり得るわけです。
中東依存を脱却すべく色々と策を講じているようですが、まだまだ中東への依存度が高いという現実があります。
こちらの動画では、最後はハッピーエンド的な終わり方をしていますが、実際にはどうなるのでしょうか?
複雑すぎて読めませんね・・・。
藻類の燃料についてはこちらの企業のHPが面白いのでよろしければどうぞ。
⇒ 株式会社ユーグレナHP「日本初のバイオジェット燃料製造プラントを建設せよ。」
5. まとめ
この記事のポイント
人口の増加に伴い世界のエネルギー需要は増え続けている
日本のエネルギー自給率は先進国の中で最低レベルに低い
部門別エネルギーでは、運輸、家庭、業務が増えている
東日本大震災によって電力エネルギーはほぼ火力発電に依存している
このような背景から、今後ますます日本での省エネルギーというのは重要になっていくという事がわかります。
エネルギー情勢の話は、もっと深く入り込んでいけば色々わかって面白いですね。
これまでの人類の歴史や戦争の歴史にもエネルギーが密接しているので興味のある方は調べてみたらいかがでしょうか?