水などを製品に直接投入する場合、その水は不純物のない状態にしなければなりません。そのために一般的に工業用フィルターが用いられます。
今回は、工場やプラントを設計する方向けに工業用フィルターの選び方について解説してみたいと思います。フィルターを使用する場合は、フィルターカートリッジとフィルターハウジングを選ばなくてはいけません。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 工業用フィルターとは?
工業用フィルターは水、ボイラー復水、溶液などの液体から不純物を取り除くための装置です。主にフィルターカートリッジとフィルターハウジングの2つを組み合わせて利用されます。
1-1. フィルターカートリッジ
フィルターカートリッジはコアと呼ばれる筒状のものの周りに糸や不織布などを巻き付けたものです。糸や不織布などの隙間を流体が通過することによって不純物がこしとられます。
フィルターカートリッジは消耗品の為、定期的に交換する必要があります。
1-2. フィルターハウジング
フィルターハウジングはカートリッジを入れるケースの事です。配管と接続される箇所と取り外し可能な箇所に分かれ、2つの接続方法によっていくつかのタイプに分かれます。
主に樹脂やステンレスでできています。
2. フィルターの選定方法
フィルターを選定するためには、カートリッジとハウジングの両方を選ぶ必要があります。両方を選定するためには次の条件が必要です。
- 使用流体
- 流体温度、圧力
- 流量
- 取り除きたい不純物のサイズ
これらがあれば、カートリッジとフィルターを選定することが出来ます。良く分からなければ、上の条件を明確にしてフィルターメーカーに問い合わせれば適切な物を選定してもらう事も出来ます。
また、4についてはフィルターメーカーにもよりますが0.1μm~500μm程度まで様々なラインナップがあります。目の細かい物を使用すれば、ろ過能力は上がりますが目詰まりの頻度は増えます。
逆に目の粗い物を使用すれば、ろ過能力は下がりますが目詰まりの頻度は減ります。フィルターは利用時間が増えるほど流量も減るので、そこを考慮しながら選定することが必要です。
また、同じろ過でも分球ろ過と清涼ろ過という考え方があります。
複数の混合物が入った液体から一部の物質を取り出す場合には分級ろ過、全て取り除く場合は清涼ろ過です。それぞれによって最適なフィルターが変わる為、実際にはメーカーの実験設備を借りて適合する製品を探すなどといった手順を踏みます。
このような用途の場合は一度メーカーに問い合わせてみてください。
3. ハウジングのタイプを決める
ハウジングには使用条件が同じでもいくつか違うタイプがあり、それぞれに長所と短所があります。代表的なものを紹介したいと思います。
配管と接続する箇所と取り外せる箇所の接続方法によって分けられています。
- ねじ込みタイプ・・・ねじ込みで接続するタイプです。
- クランプタイプ・・・クランプと呼ばれる金具で接続するタイプです。
- ボルト止めタイプ・・・ボルトによって接続するタイプです。
メンテナンスが最もしやすいのはクランプタイプですが、操作ミスなどで外れる可能性があるため高温、高圧流体には向きません。
最も安全なものはボルト止めタイプですが、取り外すためにボルトを緩める必要がありメンテナンスの面倒さは上がります。
ねじ込みたい部はそれぞれの中間です。
4. まとめ
- フィルターはカートリッジとハウジングに分かれる。
- 選定には4つの条件が必要。
- ハウジングの結合方法によってタイプが分かれる。
以上です。
工業用フィルターを選定する際の参考にしていただければと思います。