計測機器

【圧力計】連成計って何?圧力計との違い、使い分けについて

配管や機器内の圧力を機械的に測定する計測器には圧力計、連成計、真空計という3つの種類があります。この3つはそれぞれ圧力を測定できる範囲が違います。

今回は、日頃感じる小さな疑問、連成計とは何か、圧力計や真空計との違いや使い分けについて解説します。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。

連成計とは

連成計とは大気圧と真空域の両方を測定することが出来る現場指示型の計器です。

上の写真では大気圧を0として赤い表記が真空域、黒い表記が正圧域(大気圧以上)を示しています。

連成計は条件によって正圧にも負圧にもなり得るような用途で使用します。圧力計とは見た目が似ていますが、設置場所を入れ替えると計器が壊れてしまう原因になるので注意が必要です。

似たような計器にマノメーターがありますが、マノメーターは圧力差を測定し、圧力計や連成計は圧力そのものを測定をするという違いがあります。

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連成計の設置目的

連成計に限らず、現場指示型の計器は増やすほど取得できる値が多くなります。しかし、その分機器の管理やイニシャルコストも増えるので、やみくもに設置すればいいというわけではありません。

連成計を設置する目的は次のようなものがあります。

  • パトロール時に機器の異常を見つける。
  • 試運転時の指標になる。
  • センサーの故障を判断する。

機器の運転条件を確認するのに、温度や圧力はとても重要な指標です。

連成計を設置し日々の値を管理していれば、機器が異常な動作を起こした際に状況を数値で抑えることが出来ます。

重要設備などでは真空域まで測定できる圧力センサーを設置していることが多いですが、そもそもセンサーの故障が疑わしい時には連成計の値と見比べることで故障を見抜ける事があります。

センサーなどの故障を判断するという意味でも重要な役割を果たします。

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連成計の原理

連成計や圧力計が圧力を測定できるのは、ブルドン管と呼ばれる金属の管が内部の圧力によって伸び縮みするという性質があるからです。

連成計の原理は次のような順序に分けることができます。

  1. 圧力がかかるとブルドン管が膨らむ。
  2. 針との接続歯車が上に上がる。
  3. 針が回転する。

こちらの動画を見ていただければブルドン管の仕組みが良く分かります。

デジタル式連成計の場合は圧力センサーと同じで感圧素子によって圧力を測定しています。

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圧力計、連成計、真空計の違い

圧力計、連成計、真空計はそれぞれ測定範囲が違います。

  • 圧力計 ⇒ 0MPaG(0.1MPa)以上
  • 連成計 ⇒ -0.1MPaG(0MPa)~ 中圧(0.4MPaG程度)
  • 真空計 ⇒ -0.1MPaG(0MPa)~ 0MPaG(0.1MPa)(大気圧以下)

このように圧力の測定範囲によって使用用途が変わります。

圧力には大気圧を基準としたゲージ圧(MPaG)絶対真空を基準にした絶対圧(MPa)があります。0MPaG=0.1MPaを表します。大気圧は101.325kPaです。

圧力計

圧力計は、大気圧(0MPaG)以上の圧力を測定する事が可能です。どこにも取り付けておらず大気圧の場合は、指針が0を示しており、負圧になったとしても指針がそれ以下になることはありません。

負圧になるような用途で使用してしまうと、圧力計が故障する可能性があります。圧力を測定したい減圧弁の前後や、ポンプの前後、内圧が上がるタンクなどに取り付けられます。

常に大気圧以上で負圧になることがない場合に利用します。設定値を入れると接点が入ったり離れたりする接点付きの圧力計もあります。

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連成計

連成計は正圧(大気圧以上の圧力)から絶対真空(-0.1MPaG)までの圧力を測定することが可能です。ただし、メモリ幅の関係から、詳細な真空は測定することができません。

正圧にも真空にもなる可能性があるポンプの吸込や蒸気を使用する熱交換器、その他の凝縮する気体を使用する箇所で使用します。内圧が大気圧よりも下がる可能性がある箇所には連成計を設置しといたほうが無難です。

例え真空にならなかったとしても連成計は壊れることがありません。連成計にも設定圧力で接点が入り切りするような接点付きの真空スイッチというものもあります。

真空計

真空計は、大気圧以下の圧力を詳細に計測することができます。

大気圧以上になることのないような真空ポンプやコンプレッサーの吸込口などの圧力測定に使用します。連成計に比べより詳細な真空を計測できますが、大気圧以上になった際には故障のリスクが上がるので注意が必要です。

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連成計の設置場所

具体的に連成計の設置が推奨されるような箇所はこちらです。

  • ポンプの一次側
  • 微圧運転(0.1~0.2MPaG程度)の蒸気熱交換器
  • ファン、ブロワの一次側
  • 凝縮性ガスのタンク
  • 真空域で使用する装置や周辺の配管

どれも真空になることはありますが、そこまで精度が求められないという箇所です。

ポンプの場合は、一次側は連成計、二次側は圧力計を設置することが多いので、設置の際は間違えないように注意が必要です。

ポンプ、ファン、ブロワの圧力を測定することでキャビテーションやサージングを防止することが出来ます。

まとめ

  • 連成計は真空領域も測定できる計器。
  • 測定原理は圧力計と同じ
  • 圧力計は大気圧以上、連成計は絶対真空~中圧程度、真空計は大気圧~絶対真空の測定をする機器

圧力を測定する機器でも、測定範囲にによって3つの種類に分かれます。また、測定レンジを間違えると故障してしまうので注意してください。

取り付ける箇所が、大気圧以上の正圧なのか、それ以下の負圧なのかを考えて使い分ける必要があります。たまに圧力計と連成計を同じものだと勘違いしている方がいますが、一応使い分けられているので覚えておいてください。







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エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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