ボイラーを更新するとき、エコノマイザを設置したほうが良いのか、しないほうが良いのか検討することってありますよね。
基本的にはエコノマイザを設置したほうが、メリットがあることが多いですが稼働時間が短いなどの特殊な条件では、費用対効果が合わないという事もあります。
今回はエコノマイザを設置した場合のメリットの考え方について書いていきたいと思います。
エコノマイザってそもそも何?という方はこちらの記事を参照してください。
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エコノマイザのメリット
エコノマイザのメリットは、排ガスの熱を給水で回収することによってボイラー効率が上がることです。
ボイラー効率は、供給した燃料の何%が有効な熱エネルギーとして利用されるかを表す指標なので、ボイラー効率が上がれば上がるほど、使用する蒸気量が同じでも燃料を少なくできると言えます。
ボイラー効率についてはこちらの記事で詳しく書いているので参考にしてください。
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エコノマイザを入れるとボイラー効率は5~10%向上すると言われています。効果に幅があるのは、条件によって上昇する効率が変わるからです。
例えば、現状の給水温度が低ければ低いほど、排ガスから取れる熱量が増えるのでメリットは大きくなります。
エコノマイザを設置することで、どの程度の効率向上が見込めるかは設置するボイラーのメーカーに給水温度や燃料の種類、蒸気量などを伝えれば計算することができます。
但し、硫黄分を含む重油などを使用する場合は、給水温度が低すぎると酸が発生する場合があるので注意が必要です。
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エコノマイザのメリット計算
エコノマイザを導入することでどの程度ボイラー効率が上がるかが分かれば、メリットを計算することができます。
例えば、ボイラー効率が80%の状態でエコノマイザを設置し、90%まで向上したと仮定します。
この場合、100の燃料を投入すると、有効に伝わる熱量は80から90に上がることになります。
必要な蒸気量は一定なので、もともと100の燃料を使用して作っていた蒸気と同じ量を作るのに必要な燃料は次の計算で算出することができます。
$$100×\frac{80}{90}≒89$$
つまり、ボイラー効率が10%向上することで燃料代は11%削減できるという事になります。
同様に、ボイラー効率が80%から85%に向上したと仮定すると次の式から6%の燃料代削減になることが分かります。
$$100×\frac{80}{85}=94$$
稼働時間などから年間の燃料代が分かれば、そこに削減できる%を掛けると年間のメリットを計算することができます。
削減できる割合は非常に大きいですが、年間の稼働時間が短い場合は、投資採算的にエコノマイザを付けないほうが良い場合もあります。
ボイラー効率の向上率よりも燃料削減率の方が少し大きくなるという事が重要です。
まとめ
- エコノマイザのメリットはボイラー効率が上がること。
- ボイラー効率の向上率よりも燃料削減率の方が大きい。
- 年間の稼働時間から投資採算性を計算する必要がある。
エコノマイザのメリット計算をする場合に、是非参考にしてみてください。