電動弁を選定・購入する際、「リレー有・無」の項目があるのをご覧になったことはないでしょうか。
制御盤の中では見たことあるけど、という方も多いかと思います。今回は、電動弁になぜリレーを使うのかについて解説します。
リレーとは
リレーとは、電気信号を他の電気信号につなげる役割を持つ装置のことで、継電器とも呼ばれています。
手元のスイッチと装置との配線の間にリレーを入れることで、安全対策、そして配線のコストダウンを行うことができます。

リレーには、有接点と無接点の2種類があります。
有接点リレーは、メカニカルリレーとも呼ばれ、コイルに電流が流れたときに生まれる磁力により、物理的にスイッチを入・切します。絶縁性能が高く、高電圧にも強いですが、物理的な開閉を繰り返すため寿命が短い(製品によりますが数十万〜数千万回程度)と言われています。交流電源でも動きます。
もう一方の無接点リレーは、半導体リレー、ソリッドステートリレーとも呼ばれます。電子部品のみで構成され、電磁石による開閉はありません。長寿命で、衝撃にも強いですが、定格値以上の電気が流れると一瞬で壊れてしまいます。また直流電源のみで使用できます。
リレーには通常、専用のソケットに接続して使用します。複数の入力端子と出力端子が付いていて、リレーそのものの配線を工夫することで制御に用いることができます
リレーの目的
制御盤に使われることが多いですが、リレーを活用する主な目的としては、
- 一つの信号を複数の制御装置や機器へ送る。
- シーケンスの中で直流と交流を切り替える。
- 計装と電動機などで配線の電圧を使い分ける。
などが挙げられます。また有接点リレーの場合、寿命や故障でリレーが破損しても、目視で不良かどうか判断できるため、制御盤用によく用いられています。
電動弁にリレーは必要?
では本題の、現場に設置する電動弁はどのような場合にリレーをつけるのでしょうか?
その理由1つは、制御用と駆動用を異なる電圧で配線する場合です。制御用の配線を低圧用にし、駆動用には高圧の電源線のみを配線することで、工数の削減が期待できます。
電動弁にリレーを設置せず、制御用と駆動用の電圧を分けたい場合は制御盤内に別途リレー回路を設けてやる必要が出てきます。
電動弁内にリレーそのものの個数は同じですが、制御盤にリレー一個分のスペースが必要となり、回路も増えるのでリレーを内蔵させたものを使用するのが一般的です。
また電圧が安定しないなどでチャタリングする場合の対策として、リレー回路が用いられます。
まとめ
- リレーとは、電気信号を他の電気信号につなげる役割を持つ装置のこと。
- リレーには異なる電圧の回路を制御上でつなげる役割がある。
- 電動弁のリレーは、制御と駆動に異なる電源を使うために使用する。
リレーについて詳しく学ぶことは、現場でのトラブル対応や、よりシンプルで効率的な制御を考える上でも重要と言えるでしょう。

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