流体に関する勉強をしていると、ベルヌーイの定理、ベンチュリ効果などに関連して「コアンダ効果」という言葉を目にするのではないでしょうか。
今回は、コアンダ効果の解説と実用例について紹介したいと思います。
コアンダ効果とは
コアンダ効果とは、流れる流体(噴流)が近くの壁に対して相互作用を生じ、引き寄せられていく現象を表した言葉です。流体の粘性の効果により、周りの流体を引き込みます。
よく見る説明実験では、水道の水に丸みを帯びた物(スプーンなど)を近づけて、引き寄せられることを確認したり、ピンポン球に下から風を当てて、安定して浮き続けさせたりする検証がなされていますね。
共に英語ですが、眺めているだけでコアンダ効果について感覚的に理解できます。
また、コアンダ効果はベルヌーイの定理のように明確な方程式があるわけではなく、実験や観測値で説明されることが多いです。
余談ですが、なぜ飛行機が飛ぶかについて、コアンダ効果による説明が正しいとか誤っているとかといった議論は続いていて、まだ定まってないようです。
コアンダ効果の現場での使用例
飛行機やヘリコプターは有名な例ですが、現場だと空調設置で考慮されていることが多いのではないでしょうか。
広いオフィスや屋内の生産現場で、均一な温度管理を考える時、ダクトの数を増やすことが考えられますが、工数が増えたり天井が低くなったりしてしまいます。
コアンダ効果を応用した方式では、冷房空気を天井に這わせるように放出することで、均一な温度の空気が上部に広がり、それから下に落ちてくるという仕組みです。暖房の場合は、床に向けて流しています。
まとめ
- コアンダ効果は流れる流体が他のものを引き寄せる効果のこと。
- 明確な方程式などはない。
- 産業分野だと空調設備で応用が検討されている。
今回、応用例のご紹介があまりできませんでしたが、流体設計を行う際には、予期せぬトラブルを防止するためにもコアンダ効果について理解を深めておいた方が良いのではないでしょうか。