伝熱工学

【伝熱工学】温度放射とルミネセンスの違い、使用例は?

今回は放射の中でも温度放射とルミネセンス(冷光)の違いについて解説したいと思います。

放射という現象は電磁気、熱などの方面でも説明に使われますが、今回は発光に関する内容です。

温度放射とは

熱放射とも呼ばれますが、熱を伴う内部エネルギーの放出のことを言います。

放射エネルギーの放出は原子、分子、イオンなどの振動によって起こります。400℃程度までは主に赤外線で赤く見え、より高温だと白色光に見えるようになります。

光の波長と温度については、光高温計の記事にも解説しているのでぜひご覧ください。

【計測機器】光高温計の原理、メリット、放射温度計との違いは?

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ルミネセンスとは

温度放射以外の放射(および発光)のことをルミネセンス(luminescence)と呼びます。

外部からのエネルギーを吸収し、上記と同じように原子、分子、イオンなどが振動することでエネルギーを放出します。このことを励起と呼んでいます。

ルミネセンスには2種類あり、エネルギー供給がある間だけ発光する蛍光と、供給が終わってもしばらく光る燐光(りんこう)に分けられます。

ルミネセンスを引き起こす励起源は物体によって様々で、光や電気、熱、放射線などがあります。

産業分野の例は後ほど触れますが、酵素反応によって励起する、ホタルやホタルイカなどの光る生き物は、ルミネセンスの一つ、バイオルミネセンスに該当します。

温度放射とルミネセンスの違い

両者の違いは、発熱による発光を利用しているかどうかです。

温度放射の代表例は、白熱電球ですね。電流を流すとフィラメントが赤くなり、さらに温度が上がると次第に白色へと変化していきます。

一方で、ルミネセンスに該当する一般的な照明といえば蛍光灯です。蛍光灯は、蛍光体に放電により発生する紫外線を当てることで可視光を作り出しています。蛍光灯自身も暑くなりますが、これは蛍光部分の熱ではなく、電気抵抗によるジュール熱によるものです。

温度放射とルミネセンスの使用例

光としての温度放射の代表例は、先ほどの白熱電球やガス灯などがあります。

しかし、照明やディスプレイ表示など、可視光として用いるための用途には現在ほとんど使われていません。

ルミネセンスの代表例としては、蛍光灯や液晶画面(光による励起)、LED(電界による励起)などが挙げられます。照明ではありませんが、産業分野ではセンサーとしても多く使用され、製品に対する塗料や接着剤の付着の有無、水中の溶存酸素や酵素濃度の測定にも活用されています。

まとめ

  • 温度放射とルミネセンスの違いは発熱を利用するかどうか。
  • 温度放射は熱に由来する発光、ルミネセンスは蛍光など熱を伴わない発光。
  • 現在使われている照明や表示器具はほとんどルミネセンスである。

初めてルミネセンスという言葉を聞くと身構えてしまいますが、普段の生活から切り離せない技術の名称でしたね。

光産業や化学材料の業界ではよく耳にする言葉かと思いますので、覚えておきましょう。放射伝熱についてはこちらの記事でも解説しているので、良ければ合わせてご覧ください。

【伝熱工学】放射伝熱の仕組みを詳しく解説!産業分野でどう役立っている?

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エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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