空気量を表す単位にN3m(ノルマルリューベ)やm3(リューベ)があります。どちらも体積を表しているので、どの場面でどちらを用いたらいいのか分からなくなることってありますよね。
今回はNm3(ノルマルリューベ)とm3(リューベ)の違いや換算式、使い分けについて解説したいと思います。
Nm3(ノルマルリューベ)とは
Nm3(ノルマルリューベ)は空気量の単位で、大気圧、0℃の時の体積のことを言います。体積を表すm3(立法メートル)に標準という意味を表すN(ノルマル)を付けて表します。表記の仕方に特に決まりはなくm3N(リューベノルマル)と表記されることもあります。
ボイル・シャルルの法則
$$PV=mRT$$
P:圧力、V:体積、m:質量、R:ガス定数、T:絶対温度
空気量について考える際には分かりやすい体積を使う場合が多いですが、体積は温度や圧力によって変動するので、基準値としてNm3(ノルマルリューベ)が用いられるわけです。
例えば、次のような場合を考えてみます。
大気圧、0℃の状態での1Nm3の空気の体積は1m3になります。この状態で1Nm3の空気の温度を100℃に上げると空気は膨張し、約1.366m3になります。同じ空気量でも温度が上がれば体積は大きくなるということが分かります。
逆に、温度は一定の状態で圧力を2倍にすると体積は0.5m3になり、小さくなるというわけです。
Nm3(ノルマルリューベ)とm3(リューベ)の換算
Nm3(ノルマルリューベ)とm3(リューベ)は次の式で換算することが出来ます。
$$Q[m3]=Q'[Nm3]×\frac{273.15+T[℃]}{273.15}×\frac{101.32}{101.32+P[kPa]}$$
$$Q'[Nm3]=Q'[m3]×\frac{273.15}{273.15+T[℃]}×\frac{101.32+P[kPa]}{101.32}$$
T:温度、P:圧力
温度が絶対温度で表されるのに注意が必要です。分かりにくい場合は、温度、圧力を変えてみてどちらがどのように変化するかを考えてみると理解しやすくなります。
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Nm3(ノルマルリューベ)とm3(リューベ)の使い分け
実際に空気ダクトや通風機、空気圧縮機(コンプレッサー)などを設計、選定するときにどちらを使えばいいのか分かりにくいことがあります。
例えば、空気ダクトの空気流速を計算するときは実際にダクトを通る空気の温度や圧力を考慮してm3(リューベ)を用いて計算しますが、物体を燃焼させるのに必要な空気量などを計算するときはNm3(ノルマルリューベ)を使います。
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イメージとしては体積が知りたい場合はm3を用いて、絶対量(質量)が知りたい場合はNm3を用いるという感じです。

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まとめ
- Nm3(ノルマルリューベ)は大気圧、0℃の時の体積。
- 圧力と温度上限があれば換算出来る。
- 体積が知りたい場合はm3を用いて、絶対量(質量)が知りたい場合はNm3を用いる。
Nm3(ノルマルリューベ)とm3(リューベ)を間違えると、同じ空気量でもダクト径が全く変わったりするので間違えないように注意しましょう。