工場やプラントで最も良く利用されている制御の一つに圧力制御があります。
この記事では圧力制御とは何か、また圧力制御の方式について解説しています。
圧力制御とは
圧力制御とは、文字通り配管や機器にかかるユーティリティやプロセスの圧力を一定にする制御でほぼすべての工場やプラントなどで良く利用されている制御です。
主にユーティリティを例にとると精度の高い圧力制御を行うことで次のようなメリットが得られます。
- 空気の圧力制御:制御弁などの制御性の向上
- 蒸気の圧力制御:一定温度での加熱、流量の安定性向上
- 水の圧力制御:流量の安定性向上
逆に圧力が変動すると工場やプラントの安定生産に悪影響が出るので、プラントの安定運転を行うためにはどの工程でどんな圧力制御の方式を用いるかが重要になります。
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圧力制御の方式
圧力制御には大きく分けて次の5つの方式があります。
減圧弁制御
最もシンプルなものが減圧弁によって圧力を制御する方法です。減圧弁は一次側と二次側の圧力を検出し、機械的に二次側の圧力を下げる方法で電気や空気などの動力を必要としません。
減圧弁を設置する場合は、一次側と二次側に減圧弁を設置し、一次側が設計圧力となった時、二次側が求める圧力になるよう現場調整を行うのが一般的です。
バルブを設置するだけなので、機器、工事にかかるコストも小さくなりますが、設定圧力を変更する場合には現場での手動操作が必要になります。
自動弁制御
次に良く利用されるのが自動弁による圧力制御です。自動弁による圧力制御は、圧力センサーで自動弁二次側の圧力を検出し、調節計やPLCで設定値との偏差を算出後、PID制御を行います。
入出力の信号としては4-20mAのアナログ信号を利用することが多いです。動力としてはエアや電気が一般的ですが応答速度の関係からエア駆動が良く利用されています。また大型のバルブではオイルを利用する場合もあります。
かなり高精度な制御が行え、設定値もDCSや調節計により自由に変更できるので非常に便利ですが、その分手動バルブよりはコストが上がります。
制御弁を動かす機構についてはこちらの記事でも解説しているので宜しければ合わせてご覧ください。
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オンオフ制御
コンプレッサーを用いて計装用空気などの圧力を一定に制御する場合にはコンプレッサーの運転をオンオフによる圧力制御が組まれることが多いです。
オンオフ制御は制御方法がシンプルなため、インバータ制御などに比べるとコストを抑えることが出来ますが、設定幅が必要なため必然的に圧力は設定幅の範囲内で上下することとなります。
また、制御幅を狭くすることで制御性は上がりますが、その分機器の発停が増えることとなり設備寿命を縮める恐れがあります。
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インバータ制御
送風機や大型ポンプなどの吐出圧力の制御にはインバータ制御が良く用いられます。
インバータ制御は吐出圧力を一定にするよう、制御盤から出力する電源の周波数を制御し、機器の回転数を変動させます。使用先の負荷が変動する場合、機器の回転数を一定として自動弁などせ制御する場合と比べると電力量を低減させることが出来ます。
インバータ制御は他の制御方法とは違い、別途制御盤が必要となるためコストが高いため、低減できる電力量とのバランスを考慮し、導入が検討されます。
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供給燃料制御
ボイラーの制御は主に出口側の蒸気圧力を供給燃料によって制御します。また、小型貫流ボイラーなど保有水量の少ないボイラを複数台組み合わせる場合にはこれに合わせ、運転台数制御を行う場合が多いです。
ボイラーの型式によって細かな制御方法は変わりますが、代表的な制御方法としては圧力制御が用いられています。
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まとめ
- 圧力制御は機器二次側の圧力を一定にする制御。
- 減圧弁、自動弁、オンオフ、インバータ制御、供給燃料制御などがある。
- それぞれの特徴を理解し、最適な方式を選択する必要がある。
圧力制御は非常に良く利用される方式ですが、実際にどのように機器が作動して圧力を一定にしているのか理解していないという方も多いのではないでしょうか?
是非、圧力制御を行う際に他にどんな方式があるのか検討頂ければと思います。