配管の圧力損失を計算する際には、まず、流体が層流なのか乱流なのかを見分ける必要があります。それを見分けるために指標となるのがレイノルズ数という無次元の値です。
今回は、層流・乱流とは何か、レイノルズ数はどんな式で求めることができるのかについて解説していきたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
層流・乱流とは?
まず、物体の流れには層流と乱流と呼ばれるものがあります。この2つの違いについてです。
層流
層流は、流体が規則正しく運動している流れのことを言います。
例えば、水道水の蛇口をひねったとき、流れる量が少ないときは水が透明に見えますよね?あれが層流です。
層流は乱流に比べて摩擦損失が少なく済みますが、熱交換などの用途では効率が悪くなるという特徴があります。
乱流
乱流は、流体が不規則に運動している乱れた流れのことを言います。
同じく水道の蛇口を大きく開き、流れる量が増えると、どこかのタイミングで水の流れが乱れます。この時の水の流れが乱流です。乱流は層流とは逆に、摩擦損失は大きくなりますが、熱交換の用途では効率が上がります。
用途によって、層流と乱流を使い分けるためには、どういう条件になると層流と乱流が入れ替わるのかという目安が必要になります。これを実験値として表したものがレイノルズ数です。
層流と乱流については、こちらの動画をみれば理解に役立ちます。
レイノルズ数とは?
レイノルズ数は、その名の通りレイノルズ博士が透明の管内にインクを流して、様々な条件で実験を重ねて得られた結果です。科学の世界では、長い年月のかかるような地道な実験がほとんどですね・・・。
レイノルズ数は次のように定義することができます。
$$Re=\frac{ρUL}{μ}$$
Re:レイノルズ数
ρ:流体の密度[kg/m3]
U:代表流速[m/s](断面平均流速)
L:代表長さ[m](管の内径)
μ:粘性係数[Pa・s](物性値)
レイノルズ数が大きいと乱流になり、小さいと層流になります。
具体的な値は、文献によって幅が持たせてあったりしますが、目安としては2300という値が使われることが多いです。レイノルズ数が2300より大きいと乱流、2300より小さいと層流ということになります。
レイノルズ数を表す式をもとに、感覚的に見てみると次のことが言えます。
層流になりやすいのは、粘度が高く、密度が小さく、流速が遅く、内径が大きいときということがわかります。逆に乱流になりやすいのは、粘度が低く、密度が大きく、流速が早く、内径が小さい時だといえます。
レイノルズ数は、配管の圧力損失を計算するときなどに使用されます。配管内を流れる流体が層流か乱流かによって、摩擦が変わってくるので失われるエネルギーが変わるというイメージです。
まとめ
- 流体には層流と乱流がある。
- 層流と乱流はレイノルズ数で見分けることができる。
- レイノルズ数が2300より大きいと乱流、小さいと層流。
流体の損失を求める際には、まずその流体が乱流なのか層流なのかを見分けることが第一になるので、レイノルズ数の求め方はしっかり頭に入れておきましょう。
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