電験三種は合格率が10%台の大変難しい資格です。また、範囲が非常に広いので普段の業務で電気を扱わない方にとってはイメージがしにくく、独学では合格が厳しいという方も多いのではないでしょうか。
効率よく学習を進めるための一つの選択肢として通信講座がありますが、参考書に比べると価格が高いので、教材選びは慎重に行う必要があります。
この記事では、電験三種の通信講座の一つSATの「第三種電気主任技術者講座」を実際に利用して電験三種に合格した私がどこよりも詳しく徹底レビューをしたいと思います。
電験三種を少しでも効率よく取得したいと考えている方にとってお役に立てれば幸いです。
この記事はこんな方におすすめ
- 電験三種に合格したい。
- 独学に限界を感じており、通信講座を検討している。
- SATの電験3種の教材、サービスの内容が知りたい。
- いいところだけではなく本音が知りたい。
- 実際に使ってみた人の感想が知りたい。
SATとは
運営会社の株式会社SATは現場・技術系資格を専門に扱う通信講座の会社です。
設立は2013年設立の比較的新しい会社で本社は大阪府吹田市にあります。数ある国家資格の中で、技術系の国家資格は分かりやすい通信講座が少ないということに目をつけて事業を始めたようです。
- 社名:SAT株式会社
- 事業内容:各種資格の教材作成・販売、資格対策講習会の開催、eラーニングコンテンツの作成
- 資本金:1000万円
- 本社:大阪府吹田市豊津町9-1 ビーロット江坂ビル18階
- スタジオ:大阪府大阪市淀川区西中島3-9-13 NLC新大阪8号館 地下1階
電験三種以外にもエネルギー管理士や技術士など様々な現場・技術系資格の講座を展開しています。一度作ったら終わりというわけではなく、受講者の声や毎年の出題傾向を取り入れながら定期的に講座を刷新しています。
特に電験三種は受講者が多い人気講座なので毎年のように内容がリニューアルされています。
2020年度版まではエネルギー管理士熱分野の講座と同様に毛馬内さんが講師をしていましたが2021年度版ではYoutubeチャンネル「電験革命」の講師として活動されていた池田さんに交代しています。
SATは電験三種やエネルギー管理士以外にも様々な技術系講座を販売しています。これまで講座を購入する際などにメールでやり取りなどをしていますが、レスポンスがとても速く非常に丁寧に対応してくださるので、私自身、とても信頼できる会社だと感じています。
SATの通信講座
- 設備系資格(エネルギー管理士、衛生管理技術者、危険物取扱者など)
- 施工管理・安全衛生(建築施工管理技士、土木施工管理技士など)
- 電気系資格(電験3種、電気工事士など)
- 職場環境系資格(衛生管理者、職長・安全衛生責任者など)
現場技術系のIT化は他の業界に比べ遅れているので、今後も需要が伸びていきそうです。
SATの通信講座の特徴
SATの通信講座はとにかくシンプルで分かりやすいのが特徴です。スマートEシステムという名前で動画解説されているので載せておきます。
SATの通信講座全般の特徴をまとめると次のようになります。
WebやDVDで講義動画が見られる
SATではテキストに沿った講義動画で学習することができます。
Youtubeのようにスマホやタブレットでも見られるので、通勤時間やすきま時間での勉強に最適です。講義の音声をmp3でダウンロードして音声として持ち運ぶことも出来ます。
また、受講状況の進捗が円グラフや時間で表示されるので、モチベーションを維持しやすいです。無料講義の一部がYoutubeに上がっているので載せておきます。
基本は、テキストをベースに講師がイラストなどを描きながら解説していきます。背景にテキスト画面が合成されるクロマキー合成という手法が使われています。
講義自体は1~2倍速までを選べるのでゆっくり聞きたいところは1倍速、暗記的な内容は2倍速など選択することで効率的に学習ができます。また、eラーニングでは章ごとに動画が細かく分かれているので、どこから学習を始めてもいいという作りになっています。
シンプルで分かりやすいテキスト
SATのテキストは最低限必要な知識のみに絞り、理解しやすいように図解を多めに作られています。その為、他社の参考書と比べると非常に薄いです。下の写真を見れば違いが分かりますがTACの参考書と比べるとこんな感じです。
これだけ量が少ないと内容も薄くなるのでは?と思われるかもしれませんが、図解がとても多いのでイメージとして、参考書というよりは少し詳しい講義用のプレゼン資料という感じです
参考書では全て文章で表現していますが、SATではそれを題材に講師が解説をしていくので内容としては十分になります。
他社に比べて価格が安い
SAT | 翔泳社アカデミー | ユーキャン | JTEX | TAC | |
---|---|---|---|---|---|
テキスト | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
動画 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
サポート | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
価格 | 108800 | 153000 | 69000 | 30800 | 270000 |
SATの通信講座は他社に比べて値段が安いです。内容を見ても競合をかなり意識して値段を決めているのが分かります。
最も有力な競合は翔泳社アカデミーで価格は同様ですが、5年分の過去問解説を付けることで差別化をしています。また、教育訓練給付金制度にも対応しているので、利用すれば費用の2割が後日支給されます。
e-ラーニングとDVD講座の講義内容は同じですが、eラーニングは期限が設けられるので、長く利用したいという方は一括セットがおすすめです。ちなみに、DVD講座であれば自分が合格した後、中古で販売などもできるのでどちらがお得か検討してみるのもありかもしれません。
SAT「第三種電気主任技術者講座」の商品内容
商品の内容について詳しく見ていきます。講座名の横の時間は全ての講義動画の時間を合計したものです。
講座ガイダンス
講座ガイダンスはWebサイトの使い方やサービスの概要が解説されています。
また、過去の出題傾向に合わせた勉強の進め方や考え方が詳しく解説されています。勉強に入る前に頭に入れておきたい内容をまとめてあるというイメージです。
猫でも分かる基礎講座 10.6時間
猫でも分かる基礎講座は、これまで数学や電気をあまり勉強してこなかったという方向けに基礎の基礎から解説してくれる講座です。
電気数学講座(145ページ)5.0時間
電気数学講座は、電験の問題を解くために必要な分数の計算からベクトル、三角関数、複素数などの解説を行う講座です。
中学、高校で学ぶ内容ですが忘れてしまっている方も多いと思うので電験の講座に入る前に抑えておいたほうがいい内容です。
電気基礎講座(59ページ)5.6時間
電気基礎講座は電験より少しレベル的に簡易な電気工事士を受ける方も含め、電気の「基礎の基礎」を解説する講座です。
電験三種の理論編とも内容が被る部分はありますがオームの法則からRLC回路まで幅広く全体像が見えるようになっています。理論編をスムーズに理解するために、一度通しで見ておいたほうがいい内容です。
教科書 30.3時間
教科書は各科目で分冊されています。各章ごとに概要説明と例題が付いており1つずつ講師がイラストを交えて解説しています。教科書を読むだけではなく、それがなぜ必要なのかを解説しているので頭に残りやすいです。
勉強を始める順番は最も基礎となる理論を最初にし「理論→機械or電力→法規」というやり方が良いようです。いかに理論をしっかり理解するかが勉強の効率を高めます。
理論編(83+80ページ)10.0時間
理論編は最も基礎となる部分ですが、私は理論編の講座が最も価値があると感じました。
特に電気の基礎が深く理解できていない方は、参考書で勉強を始めると交流でベクトル図が出てくるあたりから理解が苦しくなると思います(私の場合はそうでした・・・)。
理論編では、なぜベクトル図を利用するのかや交流はそもそも何なのかといった根本的なところまで掘り下げて解説されているので、応用が聞きやすくなります。
実際に理論編をすべて見終わった後に、参考書を読むとこれまで分からなかった内容が抵抗なく頭に入っていきました。基本の考え方が理解できていないと、どれだけ時間を費やしてもあまり意味がないので理論編は見るだけでかなり価値のある講義かと思います。
電力編(149ページ)6.4時間
電力編は発電所の方式から、各設備や機器の目的について解説しています。
理論編の内容が理解できていれば、知っているかどうかだけの問題が多いのが電力編の特徴です。電力編は講義を何度か倍速で見た後に過去問に入って足りない部分を繰り返し補完するというやり方が良いかと思います。
機械編(151ページ)9.0時間
機械編は「計算は単純だけど知っていないと解けない」という問題が多いです。
とにかく専門用語が多いので最初参考書を読んでも何を言っているのか分からないという状態になりました。講義では受講者にとって難しい言葉は何を表しているのかを口頭で説明してもらえるので、抵抗なく学習を進めることができます。1度動画を見てしまえば、あとは音声学習でも進められる内容です。
法規編(89+138ページ)4.9時間
法規編は基本的には暗記科目ですが、なぜそんな法律があるのか、どのように区分されているのかなどかなりわかりやすく解説されています。
法規の場合は、条文を知っているか知っていないかだけの問題がほとんどなのでmp3でダウンロードして通勤、通学中に聞くのがいいかと思います。
模擬試験(理論、電力、機械、法規)
実際の試験と同じ様式で、1年分の模擬試験が付いています。最終チェックに解いておくと本番の際に焦らずに済みます。
過去問題集5年分 29.8時間(理論、電力、機械、法規)
- 理論過去問題集(153ページ)10.0時間
- 機械過去問題集(148ページ)8.1時間
- 電力過去問題集(123ページ)7.3時間
- 法規過去問題集(113ページ)4.4時間
SATの講座には過去問5年分が付いており、すべて動画で解説がついています。
資格試験で過去問に取り組む際によくあるのが「過去問で間違った個所があるけど解説を読んでもよく分からない」というものです。
学校のように講師がいれば都度質問できますが、資格試験ではそうはいきません。そういう意味でも過去問の解説がついているのはかなりありがたいです。他の教材では過去問解説動画はないのでSATの強みとも言えます。
SAT「第三種電気主任技術者講座」の講師
電験三種講座の講師は池田友哉さんです。池田さんの経歴を簡単にまとめてみました。
池田友哉さんの経歴
- 1988年生まれ
- 京都教育大学 教育学部卒業
- 数学、理科の塾講師歴10年
- Youtubeチャンネル「電験革命」を運営
- 2016年電験三種合格、2017年エネルギー管理士合格、2018年電験二種合格
池田さんは教育関係での経歴が長い方なので、よくある初心者には話の分かりにくい専門家ではなく、だれでも分かるように丁寧にかみ砕いた説明が非常に上手いです。
また、インターネットを使っての情報発信に非常に精力的に活動されており、Youtubeチャンネルも分かりやすいととても人気です。
一時期、電気主任技術者連盟というものを立ち上げ、活動されていましたが現在は活動を休止されています。
私自身、これだけ分かりやすい説明をされる方が、活動を休止するのはもったいないと感じていたので、SATの講師として活動を再開されるのは嬉しい限りです。以前はブログもやられていたようなのでリンクを張っておきます。
SATのページに記載されているプロフィールを引用しておきます。
大学卒業後、塾講師として理数科目教育責任者として教鞭を執り、多くの子どもたちを第一志望校へ導く。その後、大手設備管理会社にて電気主任技術者業務に従事し、業務の傍ら、社内電験三種講師として多くの合格者を輩出。 現在は、本業の傍ら、本や電験に関する記事を執筆したりして電験3種を分かりやすく解説するなど、電験3種を目指す全ての人へ全力でサポートを行っている。
SAT「第三種電気主任技術者講座」を使ってみた感想
私はSATの講座を利用して2023年度に電験三種に合格することが出来ました。実際に活用してみて感じた点を記載したいと思います。
講義はわかりやすいか
実際の中身についての感想ですが講義の内容はかなりわかりやすいです。
Youtubeチャンネルの電験革命は以前から何度か利用していましたが、池田さんの講義は相変わらず無駄がなく、強弱をつけて話をしてくれるので聞いていて疑問に感じることがほとんどありません。
また、声質もかなり聞き取りやすいので、内容が頭に入ってきやすいです。私もこれまでいろいろな講義を受けてきましたが、お世辞抜きで塾や予備校で評判の高い先生の講義という感じです。正直、これ以上に難しい内容をかみ砕いて説明してくれる分かりやすい講義はないかなという印象です。
サポート体制はどうか
SATでは購入後、ZOOMでの質問5回、メールでの質問が30回出来ます(その後は1回500円で追加可能)。
自分で調べてもどうしても分からない所を質問するとしても、正直、30回も利用することはないと思うので、ほぼすべての疑問は解消できると考えていいかと思います。
また、未開封であれば返金保証もついており、サポート体制としてはかなり盤石です。レスポンスもかなり早いので「質問を送ったけど返ってこない」ということは絶対にありません。
値段相応の価値はあるか
ここが一番難しいところで、結論は人によるというありきたりなものになります。
SATの講座は他と比べると安いとはいえ10万円以上もする高額な商品です。講義時間としては過去問解説も合わせると約60~70時間なので朝から晩まで7時間の講義を2週間程度。駿台や河合塾などの大手予備校の授業が1時間2300~2500円程度なので70時間でDVD映像ややサポートも込みでこの値段はむしろ安いのではないかと思います。
とはいえ、購入したほうがいいかは人によります。というのも通信講座を購入することで得られる価値は主に次の3つで、そこにどれだけ価値があるかは人によって変わるからです。
- 見るだけでどこでも勉強ができるという環境。
- インプット時間の大幅短縮(すぐ過去問に取り掛かれる)。
- 電気の理論的なことで分からないことはほとんどなくなる。
ここに10万円以上の価値を感じない方は購入しないほうがいいと思います。
例えば、実務で電気をよく使っていて大半は理解できているという方や、少し時間がかかっても自分で1から勉強するほうが好きという方は購入しないほうがいいです。
私個人としては、実務で電気のことを聞かれることもあるので3の価値が非常に大きく金額以上の価値は十分あると感じています。また、エネルギー管理士もそうですが、電験も持っていれば転職などには確実に有利に働くので、将来のことを考えると余裕で回収できるかなというイメージです。
この辺りは、自己投資にどこまでお金を回せるかという家計の事情もありますので、よく検討されればいいかなと思います。
公式Youtubeチャンネルに合格者インタビューもあるのでこちらもおすすめです。
SAT「第三種電気主任技術者講座」の保証内容
SATにはトリプル保証ということで3つの保証が用意されています。
30日間返金保証
SATの通信講座では次の条件に該当する場合、返金してもらうことができます。
- 商品到着から30日以内に当社までメールもしくは電話にて返品を希望する旨を連絡した場合
- DVD講座については、2枚目以降を視聴(開封)されていない場合(1枚目は視聴していただいて大丈夫です)
- Eラーニング講座は有料講座を視聴されていない場合
テキストの内容と講義動画を確認してから合わないと思ったら返金できるのは安心です。
ただ、有料講座を視聴すると返金できなくなるので、保証の利用を検討している場合は注意が必要です。
破損・不具合DVD 1年間交換サービス
こちらは製品保証ですが、DVDが破損してしまったり不具合があった場合は1年間の無料交換サービスが付いています。
DVD付きを購入した場合のみ関係してくる保証です。
不合格時、サポート期間延長サービス
- 質問対応回数が初期状態にリセット
- 動画視聴期限および質問サポートが2023年9月30日まで1年間延長(一括セットのみ)
試験に合格できなかった場合に、不合格通知を提示することで質問対応回数が初期状態にリセットされます。
質問対応サービスを利用したいという方にとってはありがたい保証です。
SAT「第三種電気主任技術者講座」の購入方法
SATの通信講座はクレジットカードなどを使えばとても簡単に購入できます。まず、SATのWebサイトに飛びます。
「受講料の確認・ご購入」というボタンが出てくるのでクリックします。
つぎに、こちらの画面に切り替わります。
下にスクロールすると、科目や形式を選ぶところが出てきます。選択によって左上の金額が変わります。
あとは、クレジットカード情報などを入力して確定ボタンを押すと、注文確認メールが届きます。その時点で、Eラーニングの場合は動画の視聴が出来るようになります。
2~3日後に自宅に教材一式が箱で届きます。
まとめ
- SATは現場技術系資格専門の通信講座。
- 最新版の講義はかなり分かりやすい。
- 特に電気に苦手意識がある方にお勧め。
- 10万円以上するので、得られるリターンをよく考えたうえで購入した方が良い。
SATの通信講座は、これまで独学で挑戦したけどなかなか続かなかったという方にとってはかなりありがたいツールです。感覚としてはテキストを1ヶ月ぐらいかけて一通り学んでしまえば、すぐに過去問演習に取り掛かることができる内容です。
私自身、電気の知識がない状態で電験の参考書を開いたときは、あまりの範囲の広さに勉強する気が失せました。正直、私の場合は独学で参考書を読んだところで途中で諦めてしまいせっかくの勉強時間が無駄に終わるのが目に見えています。
それが、SATの通信講座を活用すると通勤中に耳にイヤホンを付けて聞き流しているだけで勝手に内容が頭に入ってくるので、勉強嫌いの自分にとってはかなりありがたいツールです。1日1時間でも毎日続ければ、講義を何周もすることになるので嫌でも内容は覚えていきます。
もし、私と同じように独学での電験三種合格は時間的にも知識的にも厳しいと思う方は無料サンプルもあるので是非、試してみることを強くお勧めします。毎日の数十分でも積み重なればかなり大きいので、思い立ったその時に行動して、環境を整えるのが合格への一番の近道ではないかと思います。