ガスや電気、蒸気などの熱源を使って、空気を温めるエアヒーターなどではユーティリティの消費量がわからず、エネルギー消費量が把握できない場合があります。
今回は、空気の比熱から熱容量を計算し、消費エネルギーを計算する方法を考えてみたいと思います。
空気の比熱とは?
空気の比熱は「空気の温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギー」で温度や圧力によって変わってきます。ここでは、簡単のため大気圧下での空気の比熱を見てみます。
温度 | 密度 | 比熱Cp |
0 | 1.251 | 1.005 |
20 | 1.166 | 1.006 |
40 | 1.091 | 1.008 |
60 | 1.026 | 1.009 |
80 | 0.968 | 1.01 |
100 | 0.916 | 1.012 |
120 | 0.869 | 1.014 |
空気の密度や比熱は温度によって変わってきます。気体の比熱には定圧比熱と定容比熱の二つがありますが、ここでは圧力一定のため定圧比熱Cpの値を載せています。
空気の温度が上昇すると、比体積が大きくなるので密度も小さくなっていくことは感覚的にも理解できるかと思います。
【熱力学】定圧比熱と定積比熱、気体の比熱が2種類あるのはなぜ?
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空気の温度を上げるのに必要な熱量は?
実際に上の値を用いて、エアヒーターで空気の温度を上げるのに必要な熱量を計算してみたいと思います。
100m3/minのブロワー(送風機)とヒーターをで空気の温度を20℃から80℃まで上昇させるのに必要な熱量は?
まず、20℃の空気100m3/minを質量に換算します。20℃での空気の密度は1.166kg/m3なので
1時間あたりに直すと
よって20℃から80℃まで上昇させるのに必要な熱量は入口と出口の熱容量の差で表すことができます。
このように必要な熱量は概算で424517kJだとわかります。
あとはこれを蒸気であれば潜熱、燃料であれば低位発熱量などで割れば必要なユーティリティの量を算出することができます。
まとめ
空気の温度を上昇させるのに必要な熱量は、空気の比熱と密度がわかれば計算することができ、空気以外の気体も同様のことが言えます。
実際に現場で熱量を計算する場合では、このような方法で問題なくカバーできるのではないかと思います。