省エネ法

【省エネ法】制定された背景、義務、罰則はあるの?

省エネ法は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の略で、経済産業省が管轄しています。

この法律の目的は、資源の少ない日本で、エネルギーを合理的に使用することで経済的に発展していこうというものです。今回はこの法律が施行された背景について、そもそも省エネ法とは何なのか?というところから解説していきたいと思います。

省エネ法とは?

省エネ法は、「エネルギー使用の合理化等に関する法律」の略称です。

「工場等に係る措置等」「輸送に係る措置」「建築物に係る措置」「機械器具等に係る措置」「電気事業者に係る措置」「消費者に対する措置」などで構成されています。

資源の少ない日本で「内外のエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保」と「工場・事業場、輸送、建築物、機械器具についてのエネルギー使用の合理化を総合的に進めるための必要な措置を講ずる」ことなどを目的に制定されました。

経済産業省が管轄しており、地球温暖化防止という環境的な意味だけではなく、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。環境に関する法律として、他に「地球温暖化推進法」(略:温対法)というものがあり、こちらは環境省が管轄しています。

温対法に関する情報はこちら

変化する市場環境に合わせて、たびたび改正されており、日本の省エネ推進の根幹となっています。

⇒ 「エネルギー使用の合理化等に関する法律」の原文はこちら

省エネ法の背景

省エネ法が制定されたのは、昭和54年(1979年)です。この年に発生した第2次石油危機(オイルショック)がきっかけになっています。

エネルギーに関するものでは、それまでにも昭和26年(1951年)に施行された熱管理法という法律があったのですが、省エネ法の施行に伴って廃止されています。

オイルショックについては、当時のニュース映像がありました。

石油がなくなるという不安から石炭ストーブが飛ぶように売れるというのは面白いですね。

オイルショックによって石油価格が高騰したことから、政府も省エネルギーに取り組むようになり、省エネ法が制定されました。

省エネ法で発生する義務

省エネ法が適用される業種は、工場等、輸送、住宅・建築物、機械器具等の4つで、適用されると3つの義務が発生します。

エネルギー使用届出書の提出

全ての事業者に、現状のエネルギー使用状況を経済産業局に提出する義務が科せられます。本社、工場、支店、営業所、店舗等で使用した燃料、熱、電気の年間使用量を集計し、原油量に換算したものを用います。

定期報告書、中長期計画書の提出

原油換算で年間1500kL以上のエネルギーを使用する事業者は、特定事業者となり、定期報告書、中長期報告書を7月末日までに提出しなければなりません。

適正な人員の選任と配置

特定事業者はそれぞれの規定に応じて、各事業所にエネルギーの専門家を選任して配置しなければなりません。

エネルギー使用状況、定期報告書、中長期報告書等の詳しい情報はこちら

省エネ法の罰則は?

省エネ法は「法律」なので違反すると罰則が科せられます。

エネルギー使用状況届出書について

届出をしなかった、または虚偽の報告をした場合 ⇒ 50万円以下の罰金

定期報告書、中長期計画書について

提出をしなかった場合、虚偽の報告をした場合 ⇒ 50万円以下の罰金

適正な人員の設置について

選任・解任の届け出をしなかった場合、虚偽の届出をした場合 ⇒ 20万円以下の過料

選任しなかった場合 ⇒ 100万円以下の罰金

判断基準、消費原単位について

エネルギーの使用の合理化の状況が著しく不十分だと認められた場合

⇒ 合理化計画の作成指示

⇒ 指示に従わない場合は企業名の公表、命令

⇒ 命令に従わない場合には100万円以下の罰金

省エネ法の罰則に関する情報はこちら

企業に科せられる金額としては、罰則が緩い印象があります。

ただ、命令を無視すると企業名を公表され、信用を落とすことになるので、わざわざ故意に破るようなことはしないでしょう。

まとめ

  • 省エネ法は経済産業省が管轄している法律。

  • 省エネ法はオイルショックを契機に制定された。

  • 省エネ法に適用されると3つの義務が発生する。

  • 違反すると罰則が規定されている。

省エネ法はたびたび改定されており、今後もより厳しくなっていくと思われます。省エネルギーを推進する人にとっては背景などは知っておくことは重要ですね。

省エネ法

2022/8/27

【省エネ法】特定事業者が設置するエネルギー管理者は何人?

毎年、科目Ⅰで出題される問題でエネルギー管理者の設置人数が問われる問題があります。 事業所や事務所で使う様々な種類のエネルギーを「GJ/年」で与えられる。 省エネ法で「エネルギー」にカウントされるものだけを足し合わせる。 原油換算係数「0.0258kL/GJ」をかけて年間使用量を算出する。 特定事業者かどうか判別する。 各事業所に設置しなければいけないエネルギー管理者の人数を答える。 これは、必須問題なので確実に理解しておく必要があるわけですが、5番の「エネルギー管理者」の人数を答えるところだけが難しいと ...

ReadMore

省エネ法

2022/8/27

【省エネ法】ベンチマーク制度って何だろう

省エネ法について調べていくと、ベンチマーク制度という言葉が出てきます。 「ベンチマーク」とは、他の同様のものと比べたときに差がわかるという意味ですが、省エネ法のベンチマーク制度とは何を表すのでしょうか? 今回はベンチマーク制度とは何かについて解説していきたいと思います。 ベンチマーク制度とは? ベンチマーク制度は事業者の省エネ状況を業種共通の指標を用いて評価するものです。事業者はベンチマークを基準に製品開発などを進めます。 平成21年に産業部門の6業種10分野で導入され、現在は業務部門にも拡大中です。ベン ...

ReadMore

省エネ法

2022/8/27

【省エネ法】家電でよく見る省エネ大賞、トップランナー制度って何?

メーカーのカタログに「トップランナー機器」という文言が書かれている場合があります。 トップランナー制度は約20年前に導入され、省エネルギーの促進に貢献してきました。こ記事ではトップランナー制度とは何かについて解説します。 トップランナー制度とは? トップランナー制度とは、対象となった機器でエネルギー消費効率が最も優れているものをトップランナーとして、その性能に技術開発の見通しを考慮して目標となる省エネ基準を定める制度です。 この基準をトップランナー基準といい、対象機器のエネルギー消費効率のさらなる改善の推 ...

ReadMore

省エネ法

2022/4/13

【省エネ法】規制対象になる4つの分野は?

省エネ法では、規制対象としてエネルギーを多く使用する4つの分野を上げています。 これら4つの分野は、大量にエネルギーを消費するものと年々エネルギー使用量が増加しているものとに分かれます。エネルギーの意容量は年々増加傾向にあるため、規制される分野はますます増えていくと考えられます。 省エネ法で規制している4つの分野 省エネ法で規制している分野は次の4つです。 工場等 輸送 住宅・建築物 機械器具等 それぞれの分野が規制されている背景について、エネルギー使用量の推移などを見ていきたいと思います。 工場等 工場 ...

ReadMore

省エネ法

2022/8/27

【省エネ法】設備の管理に必要な判断基準って何?

省エネ法について考えるときには「判断基準」という項目が重要になってきます。 省エネルギーに取り組むときに、各機器の目安としての数値を国が決めてくれています。今回は、この「判断基準」に対して解説していきたいと思います。 省エネ法の「判断基準」とは? 判断基準は、エネルギーの使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るための計画に関し、判断の基準となる具体的な事項を国が定めたものです。 法律では判断基準に対して次のような取り決めを行っています。 事業者は判断基準に基づいて、取組方針や管理マニュアルを作成し、省エネに ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

効率的に技術系資格取得を目指す方必見!当サイトおすすめの通信講座

最短で資格を取得するためには、いかに効率よく学習するかが最も重要です。

参考書だけでは分かりにくいという方には、全て解説動画で学べるSATの通信講座がおすすめです。日々の通勤時間など隙間時間を利用して無理なく効率的に学習を進めることが出来ます。

超シンプルで分かりやすいSAT『エネルギー管理士』

エネルギー管理士の通信講座です。イラストを多用したシンプルで分かりやすいテキストと動画がセットになっています。

他社と比較すると価格もお手頃で、特に熱力学などを学んだことのない初学者におすすめの通信講座です。

熱分野レビュー 電気分野レビュー 他社との比較

エネルギー管理士以外にも電験や衛生管理者など25の資格の通信講座を展開しています。

最短で電験取得を目指すならSAT『電気主任技術者講座』

イメージしにくい交流回路についても多様なイラストと解説動画で詳しく解説してくれます。独学ではなかなか勉強が進まないという方に特におすすめの講座です。電気について詳しく学べるので実務で電気を使うという方には最適な教材です。

電験三種レビュー 他社との比較

技術系資格の最高峰SAT『技術士合格講座』

論文添削やZOOMマンツーマン指導が付いており、面接対策もWeb上で行うことが出来ます。また、テキストは毎年改定されているので常に最新の教材で勉強することが出来ます。

-省エネ法
-

© 2024 エネ管.com Powered by AFFINGER5

エネ管.comをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む