省エネ法について考えるときには「判断基準」という項目が重要になってきます。
省エネルギーに取り組むときに、各機器の目安としての数値を国が決めてくれています。今回は、この「判断基準」に対して解説していきたいと思います。
省エネ法の「判断基準」とは?
判断基準は、エネルギーの使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るための計画に関し、判断の基準となる具体的な事項を国が定めたものです。
法律では判断基準に対して次のような取り決めを行っています。
- 事業者は判断基準に基づいて、取組方針や管理マニュアルを作成し、省エネに取り組まなければいけない。
- 特定事業者(特定連鎖化事業者)は、毎年提出する定期報告書で判断基準の遵守状況を報告しなければならない。
- 遵守状況が悪い場合は、合理化計画の作成指示などの法的措置が取られる。
つまり、国が各機器ごとの判断の基準になる値を指定するので、企業ごとに管理マニュアルを作成して点検してくださいというものです。
判断基準は基準部分と目標部分で構成されています。
省エネ法で判断基準が決められている項目
判断基準が決められているものとして設備については8項目、各過程について6項目の基準が定められています。
主要な設備について
- 空気調和設備、換気設備
- ボイラー設備、給湯設備
- 照明設備、昇降機、動力設備
- 受変電設備、BEMS
- 発電専用設備及びコージェネレーション設備
- 事務用機器、民生用機器
- 業務用機器
- その他エネルギーの使用の合理化に関する事項
それぞれの機器に対して、その管理、計測及び記録、保守及び点検、新設に当たっての措置が決められています。
エネルギーの使用に係る各過程について
- 燃料の燃焼の合理化
- 加熱及び冷却並びに伝熱の合理化
- 廃熱の回収利用
- 熱の動力等への変換の合理化
- 放射、伝導、抵抗等によるエネルギー損失の防止
- 電気の動力、熱等への変換の合理化
これらの基準を活用することで、事業者全体で原単位年平均1%以上の低減を目指します。
こちらのパンフレットの12Pより詳しい中身の内容が見れます。
ボリュームが多く嫌になりそうですが、穴埋め問題でよく出るところなのでしっかり読んでおきましょう。
⇒ 資源エネルギー庁「省エネ法の概要」
まとめ
- 省エネ法には国が定めた「判断基準」があり、遵守・報告する義務がある。
- 設備については8項目、過程については6項目ある。
- それぞれに、管理、計測及び記録、保守及び点検、新設に当たっての措置が決められている。
中身をすべて覚えようとすると、勉強が嫌になるのでさらっと目を通してから実際に問題を解きながら覚えていく方法をお勧めします。
問題をよく読めば理解できるような問題も多いので最後まであきらめないように注意しましょう。
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