気体にエネルギーを与えて輸送する送風機にはファン、ブロワ、コンプレッサーという3つの呼び方があります。
今回はファンとブロアとコンプレッサーの違いについて解説したいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. ファン、ブロワ、コンプレッサーの違いとは?
この3つの呼び方の違いは、与える圧力の差によって決められています。
1-1. ファン
ファンは圧力比が1.1未満の送風機のことを言います。
圧力比とは送風機の入口と出口の圧力の比率のことです。
例えば、入口が大気圧の場合だと、101.3kPaなので、ファンの最大出口圧力は111.4kPaということになります。
$$101.3×1.1=111.43[kPa]$$
ファンは日常生活の様々なところで使われています。扇風機や換気扇、室外機などもファンに分類されます。
ファンは原理からターボ型に分類され、そこからさらに軸流式、遠心式に分けることができます。
1-2. ブロワ
ブロワは圧力比が1.1以上、2.0未満の送風機のことを言います。
上と同様に入口が大気圧の場合は、ブロワの最大出口圧力は202.6kPaということになります。
$$101.3×2.0=202.6[kPa]$$
ブロワは工場などで乾燥機などに利用されています。大量の空気を送り込みたい用途で使用します。
ブロワはターボ型と容積型に分けることができます。
1-3. コンプレッサー
コンプレッサーは圧力比が2.0以上の圧縮機のことを言います。
コンプレッサーの出口圧力は202.6kPaということになります。
コンプレッサーは工場などで計装機器の動力などに利用されます。
身近な設備では、冷蔵庫などのヒートポンプサイクルでもコンプレッサーは利用されています。
1-4. 真空ポンプ
ちなみに、大気圧以下で引きたい場合は真空ポンプが利用されます。
真空ポンプにはドライ式、水封式、エゼクター式などがあります。
主に実験設備などで酸化反応を防ぐためなどに利用されます。
2. まとめ
- ファン、ブロワ、コンプレッサーの違いは圧力比。
- ファンは1.1、ブロワは1.1~2.0、コンプレッサーは2.0以上。
- それぞれ用途によって使い分ける。
それぞれ気体を輸送するという目的は同じですが、加圧能力によって呼び方が変わります。