電気を扱う現場でよく利用する言葉に「インターロック」というものがあります。
この記事ではインターロック回路と何か?何のために組むのかについて解説していきたいと思います。
インターロックとは
インターロックとは「複数の条件がそろわないと機能が有効にならないよう制御する方式」のことを言い、JIS(日本産業規格)では次のように説明されています。
JIS B 0130(火力発電用語(一般),1989)
機器の誤動作防止または安全のため,関連装置間に電気的または機械的に連絡をもたせたシステム。
JIS Z 4001(原子力用語,1991)
原子炉、放射線施設、加速器、照射器などで、安全確保のための条件が満たされない場合は作動しないよう設計された体系、およびそのための装置。
JIS Z 4005(医用放射線用語,1991)
事前に設定した条件が満足されなければ機器の動作開始または動作継続を阻止するための装置。
JIS B O142(油圧および空気圧用語,1994)
危険や異常動作を防止するため,ある動作に対して異常を生じる他の動作が起こらないように制御回路上防止する手段。
つまり、インターロックは機械の保護や操作員の安全のために設ける電気的、機械的な機構のことを言います。
インターロックを設けることで、操作員が誤った操作をした場合や装置に何かしらの異常があった場合にも機器の誤動作を防止することが出来ます。
このようにインターロックを設け「人がミスをしようとしても出来ないようにする」ことを業界用語でフールプルーフと呼びます。
インターロック回路の作り方
インターロック回路がない場合とある場合で回路がどのように変わるかを考えてみます。
まず、ボタンを押すとランプが光る単純な回路でインターロック機構のない場合は次のような回路図になります。
上の図の場合、押し釦スイッチBS1を押すと、リレーR1が導通し、ランプL1が点灯します。
この回路に、もう一つのボタンを押していないと点灯しないようなインターロック機構を設けると、回路図は次のようになります。
上の図の場合、ランプL1を点灯させるためには押し釦スイッチBS1とBS2を両方押す必要があり、どちらか一方を押していない場合は点灯しません。
このように、目的となる機器を稼働させるために上流側に条件を複数加えることで、条件が成立していないと稼働させないというインターロック機構を設けることが出来ます。
【自動制御】見ればわかる!リレーシーケンスの動きをアニメーションで分かりやすく解説
続きを見る
実際には、自己保持回路などと組み合わせ、一旦インターロック機構が働けば、リセットボタンを押さないと復帰できないなどの回路を組むのが一般的です。
【制御盤】自己保持回路の書き方と使い方について
続きを見る
インターロック機構をブロック図に示すと次のようになります。
上の図の場合、インターロックとしての条件A,B,Cを設け、機械への運転指令を出すためには「インターロック条件が成立していない状態で運転ボタンを押す」必要があるという回路になります。
様々な機器を制御するDCSなどでは、インターロック条件をプログラムで組み、条件が成立出来ていないと運転指令が出ないという機構にするのが一般的です。
【自動制御】DCSとは何か、メリット・デメリットについて解説します
続きを見る
インターロック回路の目的
インターロック回路の目的は主に次の2つになります。
機器の保護
機器を安全に稼働させるためには、周辺条件を満足している必要があります。
例えば、タンクに貯留した液体を圧送するためのポンプを液体がない状態で運転させると、空回りとなり焼き付きなどが発生するリスクがあります。
この場合、ポンプの運転指令を出すための上流側にタンクの水位がある一定以上なければいけないというインターロック機構を設けていれば、空回りを防止することが可能です。
このような場合、インターロック回路は機器の保護として利用されています。
作業者の安全
工場や一般家庭での家電製品などではインターロック回路は人の安全のために利用されています。
例えば、プレス機を稼働させるために2つのボタンを同時に押す必要があるという回路や、電子レンジで扉が閉まっていないと加熱が始まらないなどという回路がこれに当たります。
まとめ
- インターロックは「複数の条件がそろわないと機能が有効にならないよう制御する方式」
- 主に自己保持回路などと組み合わせて利用される。
- インターロックは機器の保護や安全を目的として利用される。
インターロックは様々な機器の回路に含まれており、条件も機器より全く異なります。
運転ボタンを押しても機器が稼働しないという場合は、インターロック機構が働いていないか確認してみましょう。