電気を扱う現場でよく利用する言葉に「インターロック」というものがあります。
この記事ではインターロックと何か?何のために組むのかについて解説していきたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
目次
1. インターロックとは?
インターロックとは、いわゆる安全装置のことです。インターロックを組むことで事故を防止できます。
例えば電子レンジにはインターロックが組まれているため、扉が閉まっていないと起動しません。また、洗濯機の場合は、スタートボタンを押したりドアのロックがないと起動しない仕組みになっています。
つまり、インターロックは「決められた条件が揃わないと、機械が作動しない仕組み」ということになります。
2. インターロック回路の作り方
では、インターロック回路は、具体的にどのように作っていけば良いのでしょうか。
2-1. 2本の入力信号をアタマに入れよう
インターロック回路を作るときに大切なポイントは、2本の入力信号を作成しておくことです。例えば電子レンジのインターロックを作っている場合「扉を開ける」という動作を、Aの入力信号として組み込んでおきます。続いて「モノを温める」という動作をBの入力信号として編みいれておきます。
このとき2本の入力信号に優劣をつけるのが、インターロック回路の考え方。この場合「モノを温める」という信号が「扉を開ける」に勝ってしまっては、扉が開いた状態でも自動的に電子レンジは発熱してしまうことになります。
このままでは火災など重要な事故が起こりかねないため、AとBの入力信号に優先順位をつける必要があります。この場合「扉を開ける」という動作がおこったとき、もう一方の「モノを温める」信号は作動しません。この優先順位を付ける回路を「先行優先回路」と呼ぶこともあります。
きわめて危険度の高い行為を先行優先回路に指定しておくことにより、機械が誤作動を起こしたり、命にかかわるような事故のリスクを高めてしまうのを事前に抑えることができます。
2-2. 一方が動作しているとき、他方は動作しない
インターロック回路の場合、先行優先回路に電気が流れているとき、もう一方の信号が作動することはありません。
作動してほしくない回路の途中の接点が開いているため、電気信号が流れることがないのです。「何かが起きてしまったとき」それを絶対的に防いでくれるのがインターロック。適切に用いていくことで、大きな事故から作業者を守ってくれます。
3. インターロックの使用例
安全性を最優先させたインターロックは、工事現場や戸建て住宅・マンション・工場などあらゆる分野で使用されています。
3-1. 住まいのカギ
最新型のマンションや戸建て住宅でよく見かけるようになったのが、インターロックが搭載されたカギです。通常のアナログ版のカギと異なり、インターロックのカギは電気の力で開閉することができます。
今までのドアに新たに取り付けることもできるため、防犯性を高めたい賃貸マンションでも近年は沢山採用されています。ドアの開閉によって自動的に扉にカギがかかるため、どんなに忙しい方でも鍵の閉め忘れをすることもありません。サムターンなどの空き巣被害にもあいにくい、インターロックのカギ。未来の暮らしを支えてくれる最先端のアイテムです。
3-2. 工場の安全扉
大きな機械や電力が流れている大型工場などの施設に、スタッフが立ち入って作業しなければならないことがあります。
このようなとき施設内に入るときの安全扉に採用されているのが、インターロック付きの安全扉です。インターロックが回路に組まれているとき、たとえば工場内のマシーンは一時的にストップします。スタッフに危害を加えることが予想される作業を「入室」という動作がおこなわれることによって、一時的に遮断しているのです。
こうしたインターロック付きの安全扉があるおかげで、大きな工場や研究所での災害や事故を未然に防ぐこともできます。あらかじめ危険を察知しガードする手立てをとっておくことによって、工場や研究所で働くスタッフの人たちの命を守ることができます。
3-3. 工事現場のプレス機
大きな施設や工場・工事現場でプレス機が用いられることもあります。モノを一度に潰すことができるスーパーマシーンですが、使い方をひとたび間違えてしまうと死のリスクが伴うこともあります。こうした痛ましい事故を抑えてくれるのが、プレス機に搭載されたインターロックです。
たとえば安全ガードを閉じた状態でないと機械が作動しないというシステムを、プレス機に組み込んでおいたとします。万が一安全ガードが開いていた場合、プレス機が動くことはありません。人や動物があやまって作業中に近づいてしまっても、プレス機はストップしているためケガをせずに済みます。誰もが安心して作業できるように環境を整えてくれるのが、インターロックの力なのです。
3-4. エレベーター
マンションや大型施設・オフィスのエレベーターには、必ずといって良いほどインターロックが使われています。安全技術が組み込まれているため、エレベーターのドアが開いた状態でエレベーターが上下に上昇したり、下降することは絶対にありません。
遠い世界のお話ではなく、毎日の暮らしに役立っているインターロック。安全技術が身近なものに思えてきます。
4. インターロックを解除する方法
インターロックが作動してしまった時、機械全体にロックがかかりスムーズにスイッチが入らないことがあります。インターロックを解除する方法はあるのでしょうか。
インターロックを解除する方法は、それぞれの機械によって異なります。一般的には手動でリセットする方法と、自動的に元の状態に戻す方法の2パターンがあります。手動と自動どちらで解除を進めるにしても、大切なことは「根本的な原因は、取り除くことはできたのか」ということ。安全性が不確かな状態でリセットをかけてしまうと、重大な事故を冒してしまうリスクもあるからです。
インターロックがかかってしまった時、それなりの原因が背後にひそんでいます。環境を一度ととのえて、再び機械を作動させることも重要です。
5. まとめ
- インターロックは安全装置。
- インターロック回路を作るなら2本の入力信号をアタマに入れる。
- インターロックは住まいのカギ、安全扉、エレベーターなど様々な場所で利用されている。
- インターロックの解除方法はロックがかかった根本原因を解決すること。
工場や研究所・大型ショッピングモールなど至るところで、暮らしに活かされているのがインターロックです。インターロックとは安全技術のことを指していて、危険な事故やケガを防ぐ目的があります。
インターロックの回路を作るときは、優先回路とそうではない回路を決めることが大切です。優先回路を作ることにより特定の状況が起こったとき、機械そのものを動かないようにさせることができます。正しい仕組みを理解して、人に優しい製品づくりを目指していきましょう。