水や蒸気、ガスなどの流体を扱うときに
「その圧力は何キロ?」と言われることもあれば
「その圧力は何メガパスカル?」と言われることもあります。
このように、人によって圧力の単位が微妙に違うので混乱してしまうことがしばしばあります。例えば、「何キロ?」と聞かれているものが「kPa」なのか「kgf/cm2」なのかわからないというところが厄介です。
なぜ人によって圧力の単位の認識が違うのでしょうか?それはSI単位の導入時期と関係がありました。
圧力の単位
圧力を表す単位は大体次のようなものが利用されます。
- Pa パスカル
- bar バール
- atm 標準気圧(アトム)
- Torr トール
- kgf/cm2 工学気圧
- psi 重量ポンド毎平方インチ(ピーエスアイ)
- mmHg 水銀柱
国によって圧力の単位は変わってきますが、SI単位ではPaを使用しています。日本では計量法により、取引や証明に使う圧力の単位はパスカル(kPa・MPa)が原則です。そのため、いま販売されている圧力計や機器の仕様書は、基本的に kPa・MPa で表示されています(海外製の機器では bar や psi が併記されることもあります)。
キロパスカルやメガパスカルへの変換は次のようになります。
$$1000Pa=1kPa$$
$$1000kPa=1MPa$$
圧力の単位換算表
よく使う単位を kPa に換算すると次のようになります。
| 単位 | kPaに換算 | 目安 |
|---|---|---|
| 1 MPa | 1,000 kPa | 約10.2 kgf/cm2 |
| 1 kgf/cm2(工学気圧) | 98.0665 kPa | 「1キロ」≒0.1MPa |
| 1 bar | 100 kPa | 0.1MPa ちょうど |
| 1 atm(標準気圧) | 101.325 kPa | 大気圧の基準 |
| 1 mmHg(≒1 Torr) | 0.133 kPa | 760mmHg=1atm |
| 1 psi | 6.895 kPa | 約14.5psi=1bar |
| 1 mH2O(水柱1m) | 9.807 kPa | 水深10mで約0.1MPa |
ゲージ圧と絶対圧(MPaG・MPaA)
単位と並んで間違えやすいのが、圧力の「基準」です。大気圧を0とするのがゲージ圧、真空を0とするのが絶対圧で、仕様書では MPaG(ゲージ圧)、MPaA または MPa abs(絶対圧)のように書き分けます。
絶対圧 = ゲージ圧 + 大気圧(約0.101MPa)
たとえば、ボイラーの蒸気圧力が 0.7MPaG なら、絶対圧では約 0.8MPaA です。蒸気表は絶対圧で書かれているので、飽和温度や比エンタルピーを調べるときはゲージ圧を絶対圧に直してから読みます。真空ポンプや復水器のように大気圧より低い圧力を扱うときも、絶対圧で表すのが一般的です。
このSI単位のパスカルをJIS規格で利用することが国として決まったのが1991年のことです。それまでは工学気圧が利用されていました。
さらに、1993年11月に施行された新しい計量法で、取引や証明に使う単位が SI 単位に統一されました。kgf/cm2 などの従来の単位には分野ごとに猶予期間が設けられましたが、最も遅いものでも1999年9月30日で使えなくなっています。
そのため、1991年以前か以降かによって圧力の単位に関する認識が違う可能性があります。今でも「キロ」というのが「kgf/cm2」なのか「kPa」なのかは間違えないようにしっかり確認する必要があります。
では、Paとkgf/cm2との違いを見てみましょう。
- Pa(パスカル)・・・1m2当たりに1Nの力がかかっている状態。
- kgf/cm2・・・1cm2あたりに1kg(9.8N)の力がかかっている状態。
これを変換すると
$$1m^2=10000cm^2$$
なので
$$1kgf/cm^2=98066.5Pa$$
ということになります。
つまり、工学気圧で表した「1キロ」はSI単位では約98キロパスカル(約0.098メガパスカル)です。現場では「1キロ≒0.1MPa」と丸めて話すことが多いですが、正確には2%ほどの差があります。
まとめ
圧力を扱うときに「キロ」と言われた際に「キロパスカル」なのか「キログラム」なのかは注意しないといけません。
年配の方と若手の方で単位の認識が違うので混乱しやすいですが、しっかり都度確認するほうがよいでしょう。




