熱交換器やタンクなどを設計する際に「圧力容器」に該当するかどうかは、メンテナンスなども含めて重要です。
同じ「圧力容器」でも第1種と第2種で規制が変わるなど、いくつか細かく区分けされています。今回は、そんな圧力容器の区分について解説してみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 圧力容器とは?
圧力容器は「大気圧と異なる一定の圧力で気体や液体を貯留するように設計された容器」のことです。ガスボンベや蒸気ボイラー、コンプレッサーの出口に設置される圧縮空気タンクなどもこれに当てはまります。
内圧が大気圧より高い機器が、万一破裂すると甚大な被害が発生します。
なので
- 構造の基準が法令(圧力容器構造規格)で決められている
- 製造したとき・設置したときに法定の検査(構造検査・落成検査など)を受ける必要がある
- 定期点検の実施が必要
といった規制があります。
圧力容器は第一種圧力容器と第二種圧力容器に分けられており、それぞれの大きさに応じて必要な対応が分かれています。
2. 第1種圧力容器と第2種圧力容器の違い
第一種と第二種は、中に入れる物体の状態が違います。
- 第一種圧力容器・・・大気圧の沸点を超える温度の液体(飽和液)
- 第二種圧力容器・・・気体(ガス)
この2つを分けている理由は、万一破裂した時の被害の大きさが違うからです。
第一種圧力容器の場合、圧をかけて液体になっているものが一気に蒸発して気体に変化し膨張することで被害が大きくなります。
これにより、第一種圧力容器の方が規制が厳しくなっています。大きく分けるとこの2つですが、それぞれもう少し細かく区分けされています。
3. 第一種圧力容器の区分
第一種圧力容器は、タンクの大きさや内圧によって3つに区分けされています。
規制の厳しい順から第一種圧力容器>小型圧力容器>簡易容器という形になります。
区分けの方法としては、最高使用圧力と内容積による区分と胴の内径と長さによる区分の二つがあります。
3-1. 最高使用圧力と内容積による区分
最高使用圧力をP(MPa)内容積をV(m3)とすると両方の積によって次のように分けられています。
- PV > 0.02 ⇒ 第一種圧力容器
- 0.004 < PV ≦ 0.02 ⇒ 小型圧力容器
- 0.001 < PV ≦ 0.004 ⇒ 簡易容器
- PV ≦ 0.001 ⇒ 適用外
第一種圧力容器の区分と必要な検査(PV値)
P=最高使用圧力(MPa)、V=内容積(m³)。上ほど規制が厳しくなります。
最高使用圧力というのは、通常で使用する圧力ではなく、構造上それ以上にならないという圧力です。
安全弁が設置されている場合は、安全弁の設定圧力が最高使用圧力になります。
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3-2. 胴の内径と長さによる区分
これは、最高使用圧力が0.1MPaG(大気圧+0.1MPa)以下のときに使用するものです。
言葉で説明するとわかりにくいので図で示したいと思います。

胴の内径と長さによってそれぞれ分けることができます。
4. 第二種圧力容器の区分
第二種圧力容器には区分けが第二種圧力容器と簡易容器の2つしかありません。第二種圧力容器のほうが簡易容器よりも規制が厳しくなっています。
第二種圧力容器も同様に、最高使用圧力と内容積による区分と胴の内径と長さによる区分の二つがあります。
4-1. 最高使用圧力と内容積による区分
最高使用圧力と内容積を用いた表で表すことができます。

4-2. 胴の内径と長さによる区分
こちらも胴の内径と胴の長さによって表で表すことができます。

5. 圧力容器と規制について
それぞれの容器には、製造や設置時に届け出と設置後の定期点検が必要です。
- 第一種圧力容器・・・1年ごとに登録性能検査機関(日本ボイラ協会など)の性能検査を受けて検査証を更新する。あわせて1か月以内ごとに1回の定期自主検査が必要
- 小型圧力容器・・・1年以内ごとに1回の定期自主検査が必要
- 第二種圧力容器・・・1年以内ごとに1回の定期自主検査が必要
- 簡易容器・・・定期の検査・自主検査の規定はない(構造規格に適合したものを使う)
プラント向けのタンクなどを設計する場合は、可能なら第一種圧力容器に適合させないようにします。
検査する際には、費用が掛かったり設備を停止させる必要があるためです。圧力容器の法規点検には1回2~30万円程度の費用が発生します。
なお、製造時の構造検査・溶接検査は登録製造時等検査機関、設置時の落成検査は労働基準監督署長、毎年の性能検査は登録性能検査機関が行います(ボイラー及び圧力容器安全規則)。
6. まとめ
- 第一種と第二種は中身が飽和液か気体かによって決まる。
- それぞれ使用内圧やサイズによって区分がある。
- 区分によって法規制があり、第一種は費用や停止の必要性が出てくる。
圧力容器の区分についてはボイラー協会のページにありますが、少しわかりづらかったのでまとめてみました。
⇒ 日本ボイラー協会「第一種圧力容器(小型圧力容器)の適用区分」(外部リンク)
また、真空になるとどうなるのかについてはこちらの記事にまとめました。
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