燃料は、その温度に応じて引火点、発火点、流動点が決められています。
この温度が高いか低いかによって保存方法や使用方法が変わってきます。
普段の生活で触れることが多いガソリンや灯油などもこれらの違いによって使い分けがされています。
今回は、燃料の引火点、発火点、流動点の違いについて解説してみたいと思います。
1. 引火点、発火点、流動点の違いは?
引火点、発火点、流動点は燃料の性質を表す指標です。
これら3つの違いはなんでしょうか?
まずはそれぞれ言葉の定義から見てみたいと思います。
1-1. 引火点
引火点(Flash point)は燃料の表面に火花などを発生させたときに燃焼が始まる温度です。
引火点以上の温度だと、燃料の一部が揮発して表面に可燃性の混合物ができることで点火源があれば燃焼が始まります。
また、引火点ギリギリの温度の場合、一度燃焼が始まっても、すぐに火が消えてしまいます。そこで、燃焼を続けるためには引火点よりも数度高い温度が求められ、この温度を燃焼点と呼びます。
引火点以下の温度だと、仮に近くで火花が発生したとしても燃焼が始まることがありません。
引火点が常温より高いか低いかによって、保存方法が変わってきます。例えば、灯油の引火点は40℃以上なので、ポリタンクなどで保存しても問題ないわけですね。
引火点が見てわかる動画がこちらです。気化したジエチルエーテルが右下の点火源によって引火しています。
1-2. 発火点
発火点(Ignition point)は、空気中で可燃性物質を加熱していったときに、点火源なしに燃焼が始まる温度のことを言います。
発火点は自然発火温度のことで、着火温度とも呼ばれます。
良く家庭でてんぷら油を加熱し続けると、自然発火して火事につながるという話を聞きますが、あれが代表的な例ですね。
ちなみに、食用油の発火点は350℃で、何も揚げずに大体15分以上加熱を続けると発火するようです。
実際に実験している動画がこちらになります。
1-3. 流動点
流動点(Pour point)は、液体が凝固する直前の温度を表します。
流動点の定義は、燃料を試験管に入れて横に倒したときに5分間全く動きがなくなる温度です。
流動点が高ければ、高い温度を維持しないと固まってしまうドロドロの液体。
流動点が低ければ、低い温度でも固まらないサラサラの液体をイメージしていただければいいと思います。
同じ燃料でも、流動点が高い重油などを使用する場合は、常に流動点以下の温度にならないように加熱・保温してやる必要が出てきます。
【燃料】A重油、B重油、C重油の違いとは?
流動点についてはこちらの動画でも分かりやすく解説されています。
2. 代表的な燃料の引火点、発火点、流動点について
代表的な燃料の引火点、発火点、流動点について参考値を見てみます。
引火点(℃) | 発火点(℃) | 流動点(℃) | |
重油 | 60~90 | 250~380 | 5~10 |
軽油 | 40~70 | 250 | -30~5 |
ガソリン | ー43以下 | 300 | ー2.5~-7.5 |
灯油 | 40~60 | 255 | ー |
(引用:各種物質の性質: 引火点・発火点 - 八光電機)
これを見ると流動点が0℃以下のものもあるので、濃度の高い蒸留酒などを冷凍庫にいれても凍らない理由がわかりますね。
3. まとめ
この記事のポイント
- 引火点・・・火花で燃焼が始まる温度
- 発火点・・・自然発火する温度(着火点)
- 流動点・・・凝固が始まる温度
引火点と発火点の違いは、試験でも良く問われるのでしっかり覚えておきましょう。