温度によって抵抗が変化する素子を用いて温度を測定する機器を抵抗温度計と言います。
今回はその中でも良く利用されるサーミスタと白金測温抵抗体(pt100)との違いについて書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. サーミスタとは
サーミスタはマンガンMn、コバルトCo、ニッケルNi、鉄Fe、銅Cuなどの金属酸化物を組み合わせた素子です。
JISの定義では「金属の酸化物からなり、抵抗の温度係数が負である抵抗素子で表面をガラスで被覆したもの」とされています。
温度特性によって3つの種類に分かれています。
- NTC(Negative temperture coefficient)
- PTC(Positive temperature coefficient thermistor)
- CTR(Critical Temperature Resistor)
NTCは温度が上がると線形的に抵抗値が小さくなることから温度検知に利用されます。PTCはある温度を超えると急激に抵抗値が大きくなることから過電流保護などに利用されます。
CTRはPTCとは逆にある温度を超えると急激に抵抗値が下がるという特性を持っています。
温度によって抵抗値が変わることから一定電流を流せば、温度を電圧の変化として表すことができます。
これについては電流信号と電圧信号の違いについての記事にも記載しています。
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2. 白金測温抵抗体Pt100とは
白金抵抗体Pt100は、白金線を巻いて作った抵抗素子です。Pt100Ωは0℃で100Ωの抵抗値を持っているという意味で、国際的な規格で決められています。
温度によって抵抗値が線形的に上がるため一定電流を流すと温度変化を電圧で表すことができます。
2線式の白金測温抵抗体はリード線の抵抗値の影響を受けやすいため、影響を受けにくくなるよう一般的には3線式が用いられます。
また、さらに高精度が求められる場合には4線式が利用されます。
測定精度によってクラスAとクラスBに分かれています。
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3. サーミスタと白金測温抵抗体Pt100との違い
サーミスタと白金測温抵抗体はどちらも測定原理は似ていますが、使い分けがあります。
応答性、温度範囲、導線抵抗の影響、価格について比較した表はこちらになります。
サーミスタ | 測温抵抗体Pt100 | |
応答性 | 早い | 遅い |
測定温度範囲 | -50~150℃ | -200~850℃ |
導線抵抗の影響 | 受けない | 2線式は受ける |
価格 | 安価 | 高価 |
サーミスタは測温抵抗体に比べて小さく、応答性は良いです。
サーミスタは抵抗の変化幅が大きいため、分解能はいいですが測定温度範囲は狭くなります。また、素子の抵抗値がサーミスタは3~30kΩと白金測温抵抗体の100Ωに対してかなり大きいため導線の影響を無視できます。
価格についても白金測温抵抗体に比べるとサーミスタのほうが安価です。
4. まとめ
サーミスタと白金測温抵抗体の違いは
- サーミスタのほうが応答性が良く安価で導線抵抗の影響を受けにくい
- 広い温度測定範囲が良い場合は白金測温抵抗体を使う
- 白金測温抵抗体では導線抵抗の影響を受けやすいので3線式や4線式を用いる
以上です。
どちらも一定電流を流して温度を電圧で表すというのは同じですが、利用方法によって使い分けが必要です。
是非、エネルギー管理士試験で問われた時に勘違いしないようにしましょう!