省エネ法

【省エネ法】家電でよく見る省エネ大賞、トップランナー制度って何?

メーカーのカタログに「トップランナー機器」という文言が書かれている場合があります。

トップランナー制度は約20年前に導入され、省エネルギーの促進に貢献してきました。こ記事ではトップランナー制度とは何かについて解説します。

トップランナー制度とは?

トップランナー制度とは、対象となった機器でエネルギー消費効率が最も優れているものをトップランナーとして、その性能に技術開発の見通しを考慮して目標となる省エネ基準を定める制度です。

この基準をトップランナー基準といい、対象機器のエネルギー消費効率のさらなる改善の推進を行います。また、対象機器の製造事業者、輸入事業者はトップランナー基準の達成の他、表示などの義務が課せられます。1997年に開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で京都議定書が採択されたのを機に導入されています。

トップランナー制度は省エネ法の「第6章 機械器具等に係る措置」に規定されています。

⇒ トップランナー制度についての詳しい資料はこちら

トップランナー制度の対象機器

トップランナー制度の対象となる条件は次の3つです。

  1. 大量に使用されている
  2. 使用すると相当量のエネルギーを消費する
  3. 効果改善余地等がある機器

元々11品目でしたが、2002年に7品目、2006年に3品目、2009年に2品目、2013年に5品目が追加され現在31機器が対象になっています。具体的には以下の機器です。

  1. 乗用自動車
  2. エアコンディショナー
  3. 照明機器(蛍光灯器具・電球形蛍光ランプ)
  4. テレビジョン受信機
  5. 複写機
  6. 電子計算機
  7. 時期ディスク装置
  8. 貨物自動車
  9. ビデオテープレコーダー
  10. 電気冷蔵庫
  11. 電気冷凍庫
  12. ストーブ
  13. ガス調理機器
  14. ガス温水機器
  15. 石油温水機器
  16. 電気便座
  17. 自動販売機
  18. 変圧器
  19. ジャー炊飯器
  20. 電子レンジ
  21. DVDレコーダー
  22. ルーティング機器
  23. スイッチング機器
  24. 複合機
  25. プリンター
  26. ヒートポンプ給湯器
  27. 三相導入電動機
  28. 電球型LEDランプ
  29. 断熱材(平成25年より)
  30. サッシ(平成25年より)
  31. 複層ガラス(平成25年より)

今後も対象機器は拡大していくと思われます。それぞれの機器に対する詳細な基準値はこちらの資料の33Pから細かく記載されています。

建築材料に係る措置

平成25年(2013年)の省エネ法改正により、機械器具だけでなく、断熱材などの建築材料がトップランナー制度の対象となりました。

トップランナー制度の導入により、対象建材の製造、加工、輸入を行う事業者はトップランナー基準の達成の他、表示などの義務が課せられます。

トップランナー制度の対象になるとどうなるのか?

トップランナー制度の対象になると次のような義務が課せられます。

  • エネルギー消費効率の表示
  • カタログ及び製品にシンボルマーク、省エネ基準の達成率、消費効率、目標年度を表示させる(省エネラベリング制度)

こうしてみると、即販売中止とかそういった措置ではなく、省エネ基準に対する評価を消費者に理解してもらい、買い換えるだけで省エネルギー活動が進んでいくという事を目的にしていることがわかります。

ちなみにこんなラベルのようです。家電量販店のエアコンのコーナーでよく見ます。

まとめ

  • トップランナー制度は省エネ法で決められた制度である。
  • エネルギーを多く使用する機器や材料として31品目が対象とされており今後も拡大していく。
  • 対象になると消費者に分かるように性能を表示する義務が課せられる。

実際にトップランナー制度が導入されてから、各機器の省エネ性能はかなり向上しているようです。性能がわかっていれば、わざわざエネルギー効率の悪い機器を買わないという消費者心理を生かした制度で面白いですね。

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エコおじい

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