制御盤

【制御盤】電流入力と電圧入力の使い分けは?

センサーから調節計への信号は4-20mAが使われることが一般的です。ただ、調節計のタイプによれば4-20mAの電流入力ではなく1-5Vの電圧入力を求められることもあります。

今回は、電流信号を電圧信号に変換するためにはどうすればいいのか、そもそも電流信号と電圧信号はどう使い分ければいいのかについて書いてみたいと思います。

1. 電流信号を電圧信号に変換する方法

4-20mAの電流信号を1-5Vの電圧信号に変換する方法は、回路内に250Ωの抵抗を入れるだけです。学生時代によく使ったオームの法則の式を考えると変換できる理由が分かります。

$$V=R×I$$

V:電圧[V]
R:抵抗[Ω]
I:電流[A]

ここでRに250Ω、電流に0.004A(4mA)を入れると電圧は1V、0.02A(20mA)を入れると電圧は5Vになります。

抵抗を入れるだけで電流入力は電圧に変換できるので本質的には同じ意味を示す信号という事になります。では、電流信号と電圧信号の違いは何でしょうか?

それぞれの信号の特徴を見てみます。

2. 電流信号の特徴

電流信号の特徴は次のようになります。

  • 電線が長くても減衰しない
  • 負荷を接続できる数が少ない
  • テスターで測定しにくい

電流は水の流量と同じで距離が長くなっても減衰することがありません。100L/minの水を流しているのに配管が長くなると出てくる量が減るってことはありませんよね?電流信号の場合は数百mという長い距離になっても減衰しにくいので長距離でやり取りをする場合には非常に便利です。

また、電流信号で入力する場合は性質上、負荷も3個程度に限定されてしまいます。テスターで電流を測定する場合も抵抗をかませたりしないといけないので電圧信号に比べて不便です。

電流を簡単に測定するには挟むだけでOKなクランプテスターがおすすめです。

3. 電圧信号の特徴

電圧信号の特徴も上げてみます。

  • 電線が長いと減衰する
  • 負荷を接続できる数が多い
  • テスターで測定しやすい

電圧信号の場合は、圧力と同じで距離が長くなると減衰していきます。電圧信号で減衰しない距離は2~3m程度なので、制御盤ない程度の距離が限界です。

また、電圧の場合は回路上並列で負荷を設置できるので、電流信号の場合よりも負荷の数を増やすことができます。テスターで測定する場合も、測定したい2点にプラスとマイナスを当てるだけで測定できるので非常に楽です。

電圧測定のみのテスターは電流測定付きのものよりも安価で購入することができます。

4. まとめ

  • 電流信号は距離が長くても減衰しないけど電圧信号は減衰する
  • 電流信号は接続できる負荷が少なく、電圧信号は多い
  • 電流信号より電圧信号のほうがテスターで測定しやすい

電流信号と電圧信号はどっちがいいかは時と場合によって変わります。それぞれの利点を理解しながら使い分けていきましょう!

制御盤

2023/12/31

【制御盤】現場制御盤とは何か、設置する目的は?

機器を動かす制御盤の1つに「現場操作盤」があります。 この記事では現場操作盤と制御盤の違いやメリット、デメリットについて解説します。 現場操作盤とは 現場操作盤とは機器を操作するための簡易な盤のことを言います。制御盤の場合は、機器の一連の動きがPLCやリレー、調節計等によって制御を行いますが、現場操作盤の場合は「運転、停止」などのような簡易な動きをさせるのが一般的です。 DCSでの中央制御室からの命令と現場操作盤を用いた現場での操作命令の両方を受ける場合は次のような図になります。 現場操作盤には「現場、中 ...

ReadMore

制御盤

2022/8/6

【制御盤】ジャンクションボックス(JB)とは何か、役割は?

複数の機器が一体となったユニットでは電気配線をシンプルにするために「ジャンクションボックス(JB)」が用いられます。 この記事では電気配線におけるジャンクションボックス(JB)とは何か、その役割について解説します。 ジャンクションボックス(JB)とは ジャンクションボックス(JB)とは、電気工事において電線同士を接続させるための箱のことを言います。 複数の機器を配線する際に配線ルートをシンプルにするために用いられ、ジョイントボックスと呼ばれることもあります。 ジャンクションボックスを用いることで、電気配線 ...

ReadMore

制御盤

2023/2/12

【制御盤】UPSって何?無停電電源装置の役割とは?

生産用の制御システムを考えるときに、「停電が起きた場合にどうするか」と懸念がある装置があります。 突発的に止まることで、重要データを維持したい、製品や装置に対して安全な状態で停止したいなどの場合、UPSの導入が検討されます。 今回は、制御盤内に設置するUPSとは何かについて解説したいと思います。 UPSとは UPSはUninterruptible Power Supplyの略で、電源が突発的に断たれても電力供給を続ける装置のことを指します。具体的にはバッテリーの内蔵した装置で、電源異常時に安定した電力を供 ...

ReadMore

制御盤

2021/8/31

【制御盤】制御盤電気配線における、内線と外線の違いとは?

現場で使う機器のコントロールを担う制御盤。 よく見ると外から接続される配線群があり、制御盤内を開けると無数の配線があるのが確認できます。これらの配線にはどんな役割や基準があるのでしょうか。 今回は、制御盤の内線と外線の違いについて詳しく解説してみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 制御盤の内線とは 制御盤の中にはスイッチ、リレー、マグネットコンダクターなどの電気機器の他、調節計やシーケンサなどの制御用精密機器などが設置されています。 これらの ...

ReadMore

制御盤

2021/8/31

【制御盤】アイソレータって何?役割、用途を解説

電気、制御系の業務をしていると「アイソレータ」という言葉を聞くことがないでしょうか。 今回はアイソレータとは何かについて、基礎的な部分の解説をしていきます。 アイソレータの役割 英語でisolateというと「分離する、絶縁する」といった意味があります。 計装関係におけるアイソレータは信号線間の直流を遮断し、絶縁する部品のことを指します。 アイソレータは単一方向の信号を伝送しますが、逆向きの信号は遮断する仕組みをしています。そのため絶縁、ノイズ除去、電気信号の回り込みの防止、計器の保護などを目的に使用されま ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

効率的に技術系資格取得を目指す方必見!当サイトおすすめの通信講座

最短で資格を取得するためには、いかに効率よく学習するかが最も重要です。

参考書だけでは分かりにくいという方には、全て解説動画で学べるSATの通信講座がおすすめです。日々の通勤時間など隙間時間を利用して無理なく効率的に学習を進めることが出来ます。

超シンプルで分かりやすいSAT『エネルギー管理士』

エネルギー管理士の通信講座です。イラストを多用したシンプルで分かりやすいテキストと動画がセットになっています。

他社と比較すると価格もお手頃で、特に熱力学などを学んだことのない初学者におすすめの通信講座です。

熱分野レビュー 電気分野レビュー 他社との比較

エネルギー管理士以外にも電験や衛生管理者など25の資格の通信講座を展開しています。

最短で電験取得を目指すならSAT『電気主任技術者講座』

イメージしにくい交流回路についても多様なイラストと解説動画で詳しく解説してくれます。独学ではなかなか勉強が進まないという方に特におすすめの講座です。電気について詳しく学べるので実務で電気を使うという方には最適な教材です。

電験三種レビュー 他社との比較

技術系資格の最高峰SAT『技術士合格講座』

論文添削やZOOMマンツーマン指導が付いており、面接対策もWeb上で行うことが出来ます。また、テキストは毎年改定されているので常に最新の教材で勉強することが出来ます。

-制御盤

© 2024 エネ管.com Powered by AFFINGER5

エネ管.comをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む