多くの工場で最も多くエネルギーを使用する機器はボイラーです。
ボイラーのに使用される燃料は、その時の燃料にかかるコストなどを考えながら計画されますが、その種類は様々です。
今回は、ボイラーに使用される燃料の種類とその特徴について書きたいと思います。
1. 燃料とは?

燃料とは、一般的に酸素との燃焼によって光源,熱源または動力源として利用できる物質の総称です。
燃えて熱を発生させれば、その熱で蒸気を作れるため、燃えるものであれば何でも燃料として扱うことが出来ます。
但し、現実的な問題で、環境汚染や灰の処理などの観点から様々な燃料が使い分けられています。
2. 燃料の種類
燃料は大きく固体燃料、液体燃料、気体燃料、特殊燃料の4つにわけることが出来ます。
2-1. 固体燃料

石炭などの固体燃料は最も古くから利用されていました。石炭と聞けば、機関車の燃焼室に石炭をくべる絵を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
石炭は植物などが、地中で変質したことで発生する燃料です。
特徴として、酸素と混合しづらいため燃焼性が悪く、CO2排出量が多いという特徴があります。また、硫黄分も多いため排ガスの熱回収などが実施しづらいというデメリットもあります。
硫黄分と排ガスの熱回収の関係については、次の記事を参考にしていただければと思います。
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【ボイラー】排ガスの熱回収をするときに考慮するべき酸露点とは?
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2-2. 液体燃料
石油などに代表される液体燃料は最近でも色々な工場で使用されています。
特徴としては、石炭よりは燃焼性がよくCO2排出量は少なくなります。ただし、石炭と同様に燃料中に硫黄分が多く含まれるため、排ガスの熱回収を行う場合は酸露点に注意する必要があります。
車のエンジンのような熱機関などで使用される際には、空気と素早く混合させるために霧状にして噴霧されます。
2-3. 気体燃料

LNGやLPGに代表される気体燃料は、燃焼性が極めて高く、CO2排出量も少なくなります。
硫黄分もほぼゼロなので酸露点を気にすることなく、排ガスの熱回収を実施することが出来ます。
但し、液化させるために低温高圧を維持させなければならず、貯蔵が他の燃料に比べて難しくなります。
2-4. 特殊燃料
木くずや廃棄物などを燃やして熱を得る方法です。
当然、元は廃棄するものなので燃料のコストは安くなります。但し、環境の問題や燃焼後に発生する灰などの処理を検討する必要があります。
3. まとめ
それぞれの燃料の特徴をまとめると次のようになります。
| 固体燃料 | 液体燃料 | 気体燃料 |
燃焼 | △ | 〇 | ◎ |
CO2 | △ | 〇 | ◎ |
硫黄 | △ | 〇 | ◎ |
貯蔵 | 〇 | 〇 | △ |
重要になってくる価格は、日々変化するので何とも言えません。
ただ、最近ガス炊きボイラーが増えてきたことを思うと、価格に限らすエネルギー回収メリットの方が大きいように感じます。
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