熱機関

【熱機関】ブレイトンサイクルとは?わかりやすく徹底解説します

ブレイトンサイクルは、ガスタービンやジェットエンジンで利用される熱サイクルです。燃料を燃やして発生するガスを利用して推進力や回転力を得ることが出来ます。

この記事では、ブレイトンサイクルを利用してガスタービンやジェットエンジンがどのように動力を得るのか、また、効率良くエネルギーを取り出すためにはどうすればいいのかについて解説していきたいと思います。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。

ブレイトンサイクルとは?

ブレイトンサイクルはアメリカのジョージ・ブレイトンにちなんでつけられた熱サイクルで2つの断熱変化と2つの等圧変化によって構成されています。断熱圧縮により空気を圧縮し、燃料を噴霧して燃焼させ、断熱膨張によって仕事を得ることができます。

ブレイトンサイクルは主にガスタービンやジェットエンジンなどの内燃機関の動きを理想的なサイクルで表したもので、ブレイトンサイクルを理解することができれば、空気の圧力比を上げることが捏効率の向上につながることが分かります。

圧力比とは、圧縮機入口の圧力に対する出口圧力のことを表します。

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ブレイトンサイクルの基本サイクル

ブレイトンサイクルの基本は次の4つの工程で表すことができます。

  • 断熱圧縮:空気を圧縮機で圧縮する。
  • 等圧加熱:燃焼器で燃料と混合させて燃焼
  • 断熱膨張:タービンで仕事に変換
  • 等圧放熱:排気

断熱圧縮

断熱圧縮の工程では、空気が圧縮機を通じて圧縮されます。圧縮機は、空気を高圧状態にし、その過程で温度も上昇します。

この圧縮過程は断熱的に行われるため、外部からの熱交換はありません。断熱圧縮によって空気の内部エネルギーが増加し、次の燃焼工程に必要な高圧・高温の状態が準備されます。

この工程は、エンジン全体の効率に大きく影響します。

等圧加熱

等圧加熱の工程では、圧縮された空気が燃焼器に送られ、燃料と混合されます。この混合気は燃焼器内で燃焼し、大量の熱エネルギーを発生します。

燃焼によって生成された高温高圧の燃焼ガスは、圧力が一定のまま膨張します。この等圧加熱によって、燃焼ガスは次の膨張工程での仕事に変換されるためのエネルギーを蓄えます。このプロセスは、エンジンの出力を最大化するために重要です。

断熱膨張

断熱膨張の工程では、燃焼ガスがタービンに流入し、膨張しながら仕事を行います。タービンは、この膨張過程でガスの持つエネルギーを機械的エネルギーに変換し、回転運動を生み出します。

この工程も断熱的に行われ、外部との熱交換はありません。断熱膨張によりガスの温度と圧力は大幅に低下し、エネルギーが効率的に取り出されます。

等圧放熱

等圧放熱の工程では、膨張後のガスが排気口を通じて大気中に放出されます。このとき、ガスは圧力が一定のまま熱を放出し、環境に戻されます。

等圧放熱は、サイクルを完結させるために必要な最終工程であり、排気ガスの温度を低下させ、次のサイクルのための初期条件を整えます。このプロセスは、排気エネルギーの一部を回収して効率をさらに向上させることも可能です。

ジェットエンジンの仕組みについては実際に動画を見ていただいたほうが分かりやすいので載せておきます。

ジェットエンジンの場合は、大量の排気を進行方向とは逆に噴射することで反力を得ます。

一方、ガスタービンの場合は燃焼ガスのエネルギーを利用して軸を回転させ、電力を得ます。実際にはガスタービンから出てくる排気ガスを利用して蒸気を発生させ、燃料から電気と蒸気の両方を取り出すコンバインドサイクルが利用されます。

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ブレイトンサイクルのP-v線図、T-s線図

ブレイトンサイクルのP-v線図とT-s線図は次のようになります。エネルギー管理士試験でもP-v線図とT-s線図は次のようになります。

P-v線図

ブレイトンサイクルのP-v線図(圧力-体積線図)は、サイクル内のガスの圧力と体積の変化を示す図です。

断熱圧縮(1⇒2)では、ガスの体積が減少し、圧力が急激に上昇します。等圧加熱(2⇒3)では、ガスが燃焼により加熱されるため、体積が増加しますが、圧力は一定に保たれます。

続く断熱膨張(3⇒4)では、ガスが膨張しながら仕事を行うため、圧力が低下し、体積が増加します。最後に等圧放熱(4⇒1)では、ガスが排気として放出され、体積が減少しますが、圧力は一定です。P-v線図は、ブレイトンサイクルのエネルギー変換効率を視覚的に理解するために重要です。

T-s線図

ブレイトンサイクルのT-s線図(温度-エントロピー線図)は、サイクル内のガスの温度とエントロピーの変化を示す図です。

断熱圧縮(1⇒2)では、ガスの温度が上昇し、エントロピーは変化しません。等圧加熱(2⇒3)では、燃焼によりガスの温度とエントロピーが共に増加します。

続く断熱膨張(3⇒4)では、ガスの温度が低下し、エントロピーは一定に保たれます。最後に等圧放熱(4⇒1)では、ガスの温度が低下し、エントロピーが減少します。T-s線図は、ブレイトンサイクルの熱効率やエネルギー変換プロセスを理解する上で重要です。

2つの断熱変化と2つの等圧変化があることを覚えておきましょう。

ブレイトンサイクルの熱効率

最後に、ブレイトンサイクルの熱効率の考え方を見てみましょう。

他の熱機関と同様に、「どれだけのエネルギーを取り込み、どれだけの熱を利用したか」が重要になります。熱効率は次の式で表すことができます。

$$η=1-\frac{Q2}{Q1}$$

この式をもとに、熱効率を高めるためにはどうすればいいかを考えます。Q1、Q2は次の式に変換することができます。

$$Q1=mcp(T3-T2)$$

$$Q2=mcp(T4-T1)$$

定圧比熱cpと定容比熱cvの関係は次の記事を参考にしてください。

【熱力学】定圧比熱と定積比熱、気体の比熱が2種類あるのはなぜ?

この式を最初の式に当てはめると次のように変換することができます。

$$η=1-\frac{T4-T1}{T3-T2}$$

1⇒2が断熱圧縮、3⇒4が断熱膨張なので次の式で表すことができます。

$$\frac{T1}{T2}=(\frac{P1}{P2})^{\frac{κ-1}{κ}}$$

$$\frac{T4}{T3}=(\frac{P4}{P3})^{\frac{κ-1}{κ}}$$

ここで、圧力比P2/P1=P3/P4=φとするとT1、T2、T3、T4は次の式で表すことができます。

$$\frac{T1}{T2}=\frac{T4}{T3}=(\frac{1}{φ})^{\frac{κ-1}{κ}}$$

この式を代入して整理すると、最終的に熱効率は次の式で表すことができます。

$$η=1-(\frac{1}{φ})^{\frac{κ-1}{κ}}$$

この式から、ブレイトンサイクルの熱効率は圧力比φが大きいほど熱効率が高くなることが分かります。

まとめ

  • ブレイトンサイクルはガスタービンやジェットエンジンの理論サイクル
  • 2つの断熱変化と2つの等圧変化から成り立つ
  • 圧力比φが大きいほど熱効率が高くなる

ブレイトンサイクルもP-v線図やT-s線図の形、意味について理解しておきましょう。

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  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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