コンデンサに電荷がたまると極板間には電界が発生します。
電界は極板間の距離と電圧によって決まってくるのですが、コンデンサの電気容量も距離が関係してくるなど複数の要素が絡みあっているので分かりにくいと感じる方も多いのではないかと思います。
今回は、コンデンサの電界の強さについて解説したいと思います。こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
電界とは
電界とは静電力が働く空間のことです。電荷の周囲には電界が生じ、電界の中に電荷を置くと引っ張られたり押されたりします。
電界の強さは1C[クーロン]あたりに働く静電力の大きさと向きのことで単位は[V/m](ボルトパーメートル)で表されます。
高圧の電界を扱ったりする場合は単位が[kV/m]や[kV/cm]など変わる場合もあるので、単位には注意が必要です。
コンデンサと電界の関係
コンデンサに電荷がたまると、極板間に電界が発生します。
電界の大きさは単位面積当たりの電気力線の密度によって決まります。
よって、極板の表面積をS[m2]、極板間の誘電率をε[F/m]、電荷をQ[C]とすると電気力線の本数と電界の大きさは次の式で表すことが出来ます。
$$電気力線の本数:\frac{Q}{ε}$$
$$電界の大きさ:\frac{Q}{εS}$$
※ 誘電率は周りの空間の電気力線の透しにくさを表す。
これを見て分かるように、電界は電位差を距離で割ったものですが、コンデンサの電界の大きさは距離に依存していないことになります。
ここで少し違和感を感じるかもしれませんが、これはコンデンサの電荷量Qと電気容量Cの関係式を見れば分かります。極板間の誘電率をε[F/m]、距離をd[m]とするとそれぞれ次の公式が成り立ちます。
$$Q=CV$$
$$C=\frac{εS}{d}$$
これを電界の式に当てはめてみます。
$$E=\frac{V}{d}$$
$$=\frac{Q}{C}×\frac{1}{d}$$
$$=\frac{dQ}{εS}×\frac{1}{d}=\frac{Q}{εS}$$
つまり、電位差Vが一定の場合、距離が倍(誘電率が倍)になっても電気容量が倍になることで分子のQも倍になるので電界は一定ということになります。
コンデンサに絶縁体を入れたときの大きさ
では、コンデンサに絶縁体(誘電体)を入れた場合、電界はどうなるでしょうか?
この場合は誘電体の中で誘電分極が起こり、電界を打ち消す方向に電気力線が出てくることで電界は小さくなります。
先程の式からも分かるように、電圧や距離が一定の状態で電界が小さくなれば、その分電気容量Cが大きくなり、電荷Qが大きくなるというイメージです。
- 誘電率が高い:分極しやすいので電気力線を透しにくい
- 誘電率が低い:分極しにくいので電気力線を透しやすい
-
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まとめ
- コンデンサの電界は単位面積当たりの電気力線の密度によって変わる。
- 誘電率の高い絶縁体を入れると電気力線が透りにくくなり電界は小さくなる。
- 誘電率、面積、電荷が同じであれば極板間の距離は関係ない。
電気は電界や磁界など様々な現象が同時に起こるので、少しとっつきにくいですが、一つ一つの言葉の定義をよく理解して学んでいきましょう。
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