流量計解説シリーズをいくつか続けてきましたが、今回はコリオリ流量計です。
業界によってはあまり見かけることはないかもしれませんが、面白い仕組みをしていますのでコリオリ流量計について解説していきたいと思います。
コリオリ流量計とは?
構造としては、流体が二股で平行に並んだ細いU字配管(フローチューブ)を通り、再び1本の配管に戻るという形状をしています。(1本の構造のものもあります)
2つのU字管内を流体が流れると、細い配管をねじ曲げようとする力が2つのU字間に対し逆方向に働きます。配管のねじれ角度を計測することで、流量に換算するというのが測定原理です。
つまり、細い管内に流体が流れることで、歪みが生じ、それを計測しているというのがコリオリ流量計の原理です。
こちらの動画でもわかりやすく解説されています。
コリオリの力とは?
この章は余談ですので、簡単に読み流してくださって結構です。
名前の由来は、コリオリという19世期のフランス人物理学者の発見によります。
回転座標上で、軸に対して遠くに水平移動する場合に回転方向の逆向きに見かけ上の力が働くというものです。慣性力の一種であり、コリオリの力とも呼ばれます。
上記は非常に分かりにくい説明だとは思いますが、よく台風の向きが説明で用いられますので、解説したいと思います。
地球は球状で、北を上と捉えると方向に回転しています(北極から地球を見た場合、反時計回りに回っていますね)。
北半球において、北から南に流れるものには「西向き」の見かけ上の力が働きます。球体の表面で滑っているイメージでしょうか。
逆に北半球において、南から北に動こうとするものには、「東向き」の見かけ上の力が働きます。
台風の場合は、中心に低気圧があり、高気圧の場所から空気が中心に移動する力が働きます。台風に対して上と下ではコリオリの力の向きが逆方向なため、結果として回転する動きが作られるということです。
同じ現象が渦潮などでも説明されます。
コリオリ流量計の場合、U字管の入り側と出口側で逆方向のコリオリの力が働き、U字管にねじりの力を与えることが知られています。
なおコリオリの力は質量と速度に比例することが知られています。そのため、コリオリ流量計は、他の流量計が流体の体積を測定するのに対し、質量を直接計測することができます。
コリオリ流量計のメリット
コリオリ式流量計は一般に以下の点がメリットとして挙げられます。
- 質量計測なので密度換算する必要がない(密度が一定でないものに有効)。
- 指示値の0.1%、高いものでは0.05%の精度の計測が可能。
- 流体の適応範囲が広い、高粘度流体も測定可能。
- 応答速度が速い。
質量が直接測れるというのが一番の特徴です。
コリオリ流量計のデメリット
一方、コリオリ式流量計には以下のような点がデメリットとされています。
- 高価であることが多い。
- 検出部が細いため圧力損失が大きい。
- 周囲の振動の影響を受けやすい。
このようなデメリットから実際に工場などで使用されているのはあまり見かけないのが実情です。
まとめ
- コリオリ流量計はコリオリの力を利用した流量計。
- 正確な質量流量測定が必要な場面で有効に活用できる。
シンプルな物理現象を利用していますが、測定には高精度なセンサーが必要な代物です。深く学ぶほど面白い流量計だと思います。
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