比例制御弁やオンオフ弁を選ぶとき、電動式と空動式のどちらがいいのかわからないことってありますよね?
そもそも電気や空気の力でどうやってバルブの開度を調整しているのでしょうか?今回の記事では、制御弁やオンオフ弁の作動原理や使い分けについて書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 制御弁とは
比例制御弁は、プロセスやユーティリティの流量や温度、圧力を制御するときに利用されます。オンオフ弁で制御するのに比べ、高精度な制御を行うことが出来ます。
実際には調節計を経由させてセンサーと信号のやり取りを行うことで制御を行います。比例制御弁を使った代表的な制御方法にPID制御があります。
制御弁は大きく分けて、電気で動く電動式と空気で動く空動式の2種類があります。どちらも自動でバルブの開度を調整するのは同じですが、バルブを動かすための力のかけ方が違います。
【自動制御】PID制御とは?P、I、Dの意味と調整方法
1-1. 電動式制御弁
電動式の制御弁は、電気の力でバルブの開度を調整します。具体的には、上部に電気エネルギーを回転エネルギーに変換するアクチュエーターが取り付けられており、それが回転することで開度を調整します。
電圧をかける向きによって反対に回転させたり、電圧を変更することで回転スピードを変更させることが出来ます。
電動式は電源があれば稼働するので利便性は高いですが、引火性の物質が近くに存在する工場などでは利用されません。また、空気動式に比べ、応答速度が遅い場合が多いです。
1-2. 空動式制御弁
(参照:制御弁の構成部品の故障を検出するための診断方法)
空動式の制御弁は、空気の力でバルブの開度を調整します。少しイメージしにくいかもしれませんが、バルブの弁体がダイアフラムと呼ばれる薄い金属の膜と結合されており、そのダイアフラムが下に押し下げられることによってバルブを閉弁させます。
つまり、ダイアフラム上部に供給する空気の圧力によってバルブの位置を調整します。
ここで、空気の圧力を調整するのがポジショナーと呼ばれる機器です。調節計からの信号をポジショナーが受け取り、ダイアフラムにかかる空気の圧力を調整することでバルブの位置を調整します。
電動式は作動するときにモーター音がしますが、空動式はプシュプシュという空気の漏れる音がします。
【制御弁】電動式と空動式はどちらがいいの?
2. オンオフ弁の電動と空動は?
オンオフ弁の場合も電動式と空動式があります。
電動式は制御弁と同様にモーターに電圧がかかることで回転し、バルブを開閉させます。
空動式の場合は、制御弁とは作動が変わります。空気動式のオンオフ弁はいくつかのタイプがありますが、代表的なものでは空気の圧力がかかれば閉弁、空気が抜ければバネの力で戻ってきて開弁などという動きをします。
このようなバルブをノーマルオープン(空気圧がかかっていない状態で開弁)、逆のバルブをノーマルクローズと呼びます。
3. 電動式と空動式はどっちがいいの?
では、電動式と空動式はどちらが優れているのでしょうか?
結論から言うと場面によって最適なものが変わるので一概にどうとは言えません。例えば、制御スピードを早めるために空動式を選んだが、近くに高圧空気がないのでコンプレッサーを設置しなければいけないとか、電気しかないので電動式を選んだら頻繁に開け閉めがあったためモーターが壊れたとかいうこともあります。
電動と空動のどちらがいいかは、過去の実績やその現場のルールなどに従って決めることになります。
4. まとめ
- 電動はアクチュエーターによって弁の位置を決める
- 空動はダイアフラムによって弁の位置を決める
- どちらがいいかは場面によって変わる
電動にしようか空動にしようかは、実際に納入するときになると結構迷います。一般的には大きい工場ではすでに高圧空気配管が張り巡らされていたりするので空動式、小さい工場や商業設備などでは電動式が用いられることが多いです。
どちらがいいという正解はないので、メーカーと相談しながら決めていきましょう。