制御弁

【制御弁】イコールパーセント特性とリニア特性の使い分けは?

制御弁には、バルブの固有特性としてイコールパーセント特性とリニア特性、クイックオープン特性があります。

一般的には、イコールパーセント特性が使用されることが多いですが、流量特性のグラフを見るとリニアの方が分かりやすくていいように見えます。では、なぜイコールパーセント特性が使用されるのでしょうか?

今回は、イコールパーセント特性とリニア特性の違いや使い分けについて解説したいと思います。

イコールパーセント特性とリニア特性とは?

制御弁では、開度が100%になったときに流せる流量をCv値という値で表します。

【バルブ】Cv値から流量を計算する方法は?

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このCv値が開度によってどのように変わるのかを表したものを制御弁の固有流量特性と言います。制御弁の固有流量特性には次の3つのパターンがあります。

制御弁の流量特性

  1. イコールパーセント特性
  2. リニア特性
  3. クイックオープン特性

それぞれの特性をグラフに表すと次のようになります。

このグラフは、縦軸にCV%、横軸に開度という値を取っています。

例えば、開度が50%の時にCV%が20%だとすると、その制御弁では「開度が50%で最大Cv値の20%のCv値になる」という意味になります。

それぞれの特性を言葉で表すと、

  • イコールパーセント特性は開度が小さいときは流量の増加量が小さくなり、開度が大きいときには流量の増加量が大きくなる。
  • リニア特性は、開度と流量の増加量が比例的になる。
  • クイックオープン特性はイコールパーセントの逆でオンオフ弁のような流量特性になる。

となります。

図で言うと、イコールパーセント特性では黄色い部分が流量の増加幅が小さい領域、赤い部分が流量の増加幅が大きい領域という事になります。

では、なぜイコールパーセント特性が良く利用されるのでしょうか?

イコールパーセント特性が利用される理由

イコールパーセント特性が良く利用される理由は、実際に使用した場合の配管との圧力損失が関係しています。

例えば、イコールパーセント特性の制御弁を使用して、実際に流体を流す場合を考えてみましょう。

流体を配管内に流す場合、実際に流れる量は制御弁の一次側圧力(P1)、二次側圧力(P2)、Cv値で決まります。

この時、流量が増えると、流体と配管との摩擦により二次側の圧力が増加していきます(圧力損失)。

つまり、実際に使用する場合にはP1とP2差圧は一定ではなく、流量が増加すればするほど差圧が小さくなることが分かります。

イコールパーセント特性は、開度の変化により実際の流れる量を比例的に増加させるためにCv値特性をグラフのような形にしています。これを有効流量特性と呼びます。

リニア特性の場合は、Cv値の変化は比例的ですが、実際に流れる有効流量特性は比例的にはなりません。

このため、リニア特性に比べるとイコールパーセント特性が良く使用されます。

イコールパーセント特性とリニア特性の使い分け

リニア特性が有効に働くのは、常に差圧が一定の条件で使用する場合です。

つまり、次のような条件で使用する場合です。

  • 二次側の配管が短く、十分な太さがある(圧力損失が発生しない)。
  • 二次側が開放で流量に対し十分な太さがある。

実際には、差圧が完全に一定になる場合は少ないですが、二次側が大気開放などの特殊な用途ではリニア特性の方が有効という事になります。

イコールパーセント特性が適した箇所にリニア特性を選定すると、開度と流量の関係が比例的ではないため制御が乱れる要因になり、逆の場合も同様です。

まとめ

  • イコールパーセント特性が使用される理由は有効流量特性が比例的になるから。
  • リニア特性が有効になるのは差圧が常に一定になるとき。
  • 選定を間違えると制御が乱れる要因になる。

制御弁というバルブだけに注目すると、リニア特性のほうが良いように思いますが、全体としてみればイコールパーセントの方が制御性が上がるという事になります。

少しわかりにくいですが、選定の際には間違えないように注意しましょう。

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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