工場やプラントで燃料として使用するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。
それらを満たした燃料として、よく使用されるもので大きく、気体燃料、液体燃料、固体燃料の3つに分けることができ、用途や情勢によって使用する燃料が変化します。
今回は、気体燃料について、その種類や特徴について記載していきたいと思います。
1. 気体燃料とは?
気体燃料はガス燃料とも呼ばれ、気体状の燃料のことです。
主にメタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素で構成されており、燃料ごとにこれらが一定の割合で混合されています。
最近では、水素を燃料に走る自動車などの話題も多いですが、水素も気体燃料になります。
2. 気体燃料の特徴
気体燃料には次のような特徴があります。
2-1. 燃焼効率が高い
燃料を燃焼させるためには酸素が必要ですが、気体燃料は空気と混じりやすく燃焼効率が高いです。
これにより、他の燃料では過剰に空気を供給しないと完全燃焼できないところを理論空気量に近い値で完全燃焼させることができます。過剰空気を減らすことは、排ガスでの熱損失を減らすことができ省エネルギーにもつながります。
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2-2. 環境にやさしい
気体燃料には、重油や石炭に一定数含まれる硫黄分がほとんど含まれておらず、環境に悪影響を与えるSOxを発生しにくいです。
また、環境にやさしいだけではなく排ガスの熱回収をより低い温度まで行うことができ、省エネルギーにもつながります。
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2-3. 貯蔵、運搬が難しい
気体燃料は、常温の状態では体積が大きく、貯蔵や運搬に不利です。そこで高圧に圧縮して液化させてから運搬する必要があります。
貯蔵する際も、この高圧を維持する必要があります。良く工場などにおいてある丸いタンクは。高圧に耐えられるようにあのような設計になっています。
都市ガスのようにパイプラインをひいてしまえば、運搬に関しては容易にできるようになります。
2-4. 災害リスクが大きい
気体燃料は燃焼効率が高い分、漏れると爆発のリスクが高くなります。
他の燃料よりも安全対策に注意する必要があります。
3. 気体燃料の種類
気体燃料と一言で言っても、様々な種類があります。ここでは、代表的なものを紹介したいと思います。
3-1. 天然ガス(LNG)
地下から出る炭化水素を主成分とするガスで組成によって湿性ガスと乾性ガスに分けることができます。
天然ガスを-162℃に冷却し、液化させたものを液化天然ガス、またはLNG(Liquefied Natural Gas )と呼びます。液化することで体積が約1/600になり貯蔵が容易になります。
天然ガスは都市ガスなどに利用されています。
3-2. 液化石油ガス(LPG)
液化石油ガスは常温・常圧では気体ですが、加圧・冷却することで液化する石油炭化水素のことです。
LNGとの大きな違いは、天然で地中から発生するか石油精製の副産物として発生するかの違いです。
プロパン、ブタンなどの混合物でLPガスなどと呼ばれます。良く都市ガスの来ていない家庭でプロパンガスなどを使用していたりしますが、プロパンガスというのはLPGのことをそう呼んでいるだけです。
3-3. 都市ガス
都市ガスは、天然ガス、液化石油ガス、固体燃料分解ガス、油分解ガス、高炉ガスなどを混合させて一定の熱量になるように調整されたガスです。
パイプラインを通して家庭、商業、工業など様々な分野のエネルギー源として使用されます。
家庭の熱源でガスを使用する場合は、プロパンガスよりも安くできることが多いです。
3-4. 油分解ガス
油分解ガスは、炭化系水素を低分子化して得られる燃料ガスの総称です。
原料として製油所のオフガス、LPG、ナフサ、灯油、重油などが用いられます。
これら以外にも、石炭ガス、溶鉱炉ガス、製油所排ガスなど、細かく分けると多くのガス燃料が存在します。
4. まとめ
この記事のポイント
- 気体燃料は環境にはやさしいが、貯蔵・運搬が難しい
- 気体燃料は災害のリスクも大きい
- 気体燃料には様々な種類がある
気体燃料、液体燃料、固体燃料に関する問題は必ず出題されるので色々な観点から、違いを理解しておく必要があります。