工場やプラントでは、日々大量の燃料を燃焼させることでエネルギーを得ています。
最近では、再生可能エネルギーの割合も増えてきましたが、それでも全体の割合だとわずか3%程度で、まだまだ化石燃料の重要性は以前と変わっていません。
ただし、燃焼させて熱を得るという目的は同じでも、燃料には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
今回は、燃料と呼ばれるものが多数ある中で、工場で使用される燃料には、どのような条件が求められるのかについて書きたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
燃料とは?
そもそも燃料とは何でしょうか?
まずは、どのようなものを「燃料」と呼ぶのか、その定義から見てみたいと思います。
燃料(ねんりょう)とは、化学反応・原子核反応を外部から起こすことなどによってエネルギーを発生させるもののことである。古くは火をおこすために用いられ、次第にその利用の幅を広げ、現在では火をおこさない燃料もある。
(引用:Wikipedia「燃料」(外部リンク))
これを見ると、エネルギーを発生させるものとしては何でも「燃料」と呼ぶようです。
燃料に求められる条件とは?
ゴミもその辺に落ちている落ち葉もすべて燃やせばエネルギーを発生するので燃料だと言えます。
ただ、工場などで燃料として使用する場合には、製品を安定的に製造するために次のような条件を満たす必要があります。
- 安定供給
- 貯蔵、運搬、取り扱いが容易
- 発熱量が大きい
- 環境面で問題ない
安定供給
災害や情勢などにより、燃料の供給が止まってしまうと工場やプラントの機能が停止してしまうため、燃料として扱う際には安定供給が必須になります。また、そのためには世界中に豊富に分散して確保できる先があるということも重要になります。
実際には、安定供給が可能な燃料をいくつか組み合わせ、分散させることで事業継続性(BCP)を高めていきます。
貯蔵、運搬、取り扱いが容易
燃料は採掘した後、運搬し、貯蔵しておく必要があります。
そのため、貯蔵、運搬のコストをできるだけ抑えるということが求められます。
燃料としては優秀な天然ガスなどの気体燃料がなかなか普及できなかったのも、貯蔵、運搬にコストがかかるということが理由でした。最近では、冷凍技術などの高まりにより貯蔵、運搬が容易になったことで普及が加速しています。
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発熱量が大きい
燃料として扱うためには、少ない量で多くのエネルギーを発生させることが重要です。
単位質量あたりの燃料を燃焼させた際に発生する熱量には高位発熱量と低位発熱量がありますが、燃焼した際に水蒸気は排ガスとして排出されるため、低位発熱量の大きい燃料が優秀な燃料ということになります。
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環境面で問題がない
燃料を燃焼させると、SOxやNOxが発生することがあり、環境に悪影響を与える場合があります。
そこで、環境的に問題がないように燃焼空気を過剰に供給したり、硫黄分の少ない燃料に転換したりという対策が必要になります。
これは、排ガスの熱回収や省エネルギーにも大きく影響してきます。
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まとめ
- エネルギーを発生するものはすべて燃料と呼ばれる。
- 工場で使用するには4つの条件を満たす必要がある。
- 燃料は工場の省エネルギーに大きくかかわる。
工場やプラントで燃料として使用されるには4つの条件があります。逆に言えば技術の進歩などで、4つの条件を満たすことができれば、燃料として受け入れられるということになります。
最近では、シェールオイルなどが加わり、近い将来日本でも利用が進みそうです。