複数の機器が一体となったユニットでは電気配線をシンプルにするために「ジャンクションボックス(JB)」が用いられます。
この記事では電気配線におけるジャンクションボックス(JB)とは何か、その役割について解説します。
ジャンクションボックス(JB)とは
ジャンクションボックス(JB)とは、電気工事において電線同士を接続させるための箱のことを言います。
複数の機器を配線する際に配線ルートをシンプルにするために用いられ、ジョイントボックスと呼ばれることもあります。
ジャンクションボックスを用いることで、電気配線の取り合いが遥かに楽になるので複数の機器が一体となったユニット機器では良く用いられています。
ジャンクションボックス(JB)の役割
ジャンクションボックスの役割は配線の取合いを減らし、配線をシンプルにすることです。
例えば、次のようにタンクの周りにポンプ、制御弁、流量計、温度センサー、圧力センサー、電磁弁が併設されたようなユニットについて考えます。
これらの機器を動作させたり、計測値を表示させたりするためには電源線や信号線を制御盤、又はDCSなどと接続する必要です。ジャンクションボックスを用いない場合、各機器ごとに配線方法が違うため、電気工事を行う際は一つ一つの機器の取扱説明書や仕様書を確認する必要があります。また、配線を行う距離も異なるため、配線の長さをバラバラに調整する必要があります。
これらの機器は一般的に機器単体で納入され、電気工事は工事業者が行う場合が多いため、配線の取り合いも多く調整の手間が増えます。
一方、ジャンクションボックスを用いた場合の配線は次のようになります。
ユニット機器の端にジャンクションボックスを設け、ユニット内の機器の配線を全てジャンクションボックスにまとめます。こうすることで、ジャンクションボックスを工事業者との取合箇所にしておけば電気工事を行う際に一つ一つの機器の配線方法を確認する必要がなくなり、工期を短縮することが出来ます。
また、制御盤からの配線距離もそろえることが出来るので、複数の電線が一体となった多芯ケーブルを利用でき、配線がシンプルになります。
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まとめ
- ジャンクションボックスは配線工事における中継ボックス。
- 主に複数の機器が一体となったユニットで用いられる。
- ジャンクションボックスを設置することで配線ルートがシンプルになる。
ユニット機器の配線では非常によく用いられていますが、新たにプラント業界で働き始めた方にとっては何を意味するのか分からない言葉の1つかと思います。
是非、一つ一つ目的と意味を理解していきながら不明点を無くしていきましょう。
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