現場で使う機器のコントロールを担う制御盤。
よく見ると外から接続される配線群があり、制御盤内を開けると無数の配線があるのが確認できます。これらの配線にはどんな役割や基準があるのでしょうか。
今回は、制御盤の内線と外線の違いについて詳しく解説してみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
制御盤の内線とは
制御盤の中にはスイッチ、リレー、マグネットコンダクターなどの電気機器の他、調節計やシーケンサなどの制御用精密機器などが設置されています。
これらの機器を電気的につなげるために使用される電線を「内線」と呼びます。単に「電線」という呼び方、書き方をすることもあります。
内線の構造は、電気を通す金属部分の導線と、その周りに絶縁体の被服によって成り立っています。制御盤の中を見ると、赤・黄・青・黒など様々な色の電線が見られます。
種類としてはビニル絶縁電線、ポリエチレン絶縁電線などいくつかあります。
制御盤の制作者は、シーケンス図と呼ばれる制御内容と配線内容を規定した図をもとに、ここの機器を制御板状に設置したのち、間違えないように配線をしています。
電気設備の安全確保を目的として、「内線規程」と呼ばれる民間自主規格(日本電気協会による)が定められています。
この規定には、導線・被服の素材や、電圧電流ごとの太さ、施工方法などが細かく規定されています。
また実際の配線時には、可視性やメンテナンス性を考慮した配線をする必要があります。
適切な長さで配線する、両端に線番号をつける他、線の材質や色にも統一感を持たせるなど工夫がされています。複雑な改造をしすぎて、担当者が変わったら誰も中身がわからないなんてことがないように気をつけましょう。
制御盤の外線とは
制御盤と現場のセンサや制御機器とをつなげる役割をするものを「外線」と呼びます。単に「ケーブル」とも呼ばれるようです。
制御盤の中身は、大抵は締め切った環境で、雨風や粉塵に晒されにくいと考えられますが、外線の場合は異なりますよね。
屋外であれば風雨や直射日光に当たりますし、屋内であっても高温環境下にあったり、場合によっては物理的な衝撃を受けたりすることも考えられます。
こうした外的要因から守るために、外線には導線・絶縁被服の外側にシース(外皮、保護被覆)が用いられています。
携帯の充電ケーブルも、絶縁体の外側に私たちが手を触れる部分であるゴムやポリ塩化ビニルの被覆があるため、文字通り「ケーブル」に該当します。
制御盤とセンサや制御機器へつながる配線は、端子台を通して中継されることが多いです。1箇所からまとめて外に接続した方が、可視性が良いこと、実際に配線する際の効率が良いことが理由に挙げられます。
また外線は1本1本配線すると工事に手間がかかったり、スペースを取ったりするため、多芯ケーブルにまとめられることが多いです。
1本の太いケーブルの中に、複数の電線が入っているため、効率的に配線することができます。
内線・外線を分ける理由
上に書いた内容とかぶる部分がありますが、目的の違いによって分けられます。
内線は制御の根幹を担う制御盤内部の配線をするのに用いられるため、1箇所から何本も複数機器に配線したり、改造の際には配線しなおしたりする必要があります。
そのため、細く柔らかい方がよく、個々の電線が分かれていた方が作業しやすいと言えます。
外線は離れた距離のものをつなぐ役割があります。センサや制御機器は現場でも近い場所にあることが多いため、まとめて1本で配線した方が工事の手間が省けます。
また外的影響から内部の導線を守るために、分厚い保護がされているというわけです。
まとめ
- 内線は、制御用の電気機器同士をつなぐもので、見やすさ・修理しやすさが重要。
- 外線は、制御盤と現場の機器をつなぐもので、作業効率と丈夫さが重要。
普段見かける制御盤に関わる配線の意味・役割について理解いただけたでしょうか。
電気工事士として仕事をする方だけでなく、製造担当・機械担当の方、機器メーカーの方も頭に入れておけば、役に立つ時がくるかと思います。
制御盤に関する記事はほかにもあるので、良ければどうぞ。