ポンプ

【ポンプ】キャビテーションとエア噛みの違いとは

ポンプを異常振動させる現象としてキャビテーションやエア噛みというものがあります。

今回は、キャビテーションとエア噛みの違いについて解説してみたいと思います。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。

キャビテーションとは

キャビテーションとは、飽和温度近くの流体がポンプ内でかき回されることによって圧力が下がり一部が気化、その気泡がはじけることでポンプに衝撃を与える現象です。

キャビテーションが発生するとポンプの振動、インペラの破損など、能力低下など様々な問題が発生します。

キャビテーションを防止するためには、ポンプの流入水頭を十分に確保し、流体が再蒸発しない状態を作ることが重要です。

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キャビテーションはサージングにも似た現象ですが、こちらも違う現象なので注意しましょう。

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エア噛みとは

一方、エア噛みは流体の中に気体が入り込み、ポンプが空転することを言います。

エア噛みが発生すると、キャビテーションと同様に振動が発生する他、空転により電流値が上がり、常態化するとモーターの焼き付きなどが発生します。

エア噛みを防止するためには、流体からエアを抜くためのバルブを設置する、エアの流入元を特定する、しっかりと呼び水を行うなどがあります。

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キャビテーションとエア噛みの見分け方

ポンプが不自然に振動しているとき、それがキャビテーションなのかエア噛みかを見分けるポイントは次の点です。

飽和状態かどうか

ポンプで圧送している流体が飽和温度に近いかが重要です。

流体が水の場合は高温水になりますが、溶剤などの場合は沸点が低いことも多く少し圧力が下がっただけで沸騰する場合があります。

NPSHが確保できているかどうか

沸点が低い流体や高温水を圧送するためには、ポンプの必要流入水頭を確保してやる必要があります。

NPSHを計算することで、振動がキャビテーションによるものかどうかを判断することができます。

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まとめ

  • キャビテーションは気体が気化することで発生する現象。
  • エア噛みは流体にエアが混じりこむことによって発生する空転。
  • どちらかを見分けるには温度がNPSHを計算する。

以上、キャビテーションとエア噛みの違いについてでした。

ポンプ

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エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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