排ガス中の窒素酸化物やばいじんの濃度を規制する場合にO2〇〇%換算という文言をみることはないでしょうか?
この記事ではO2換算とは何か、計算方法とその目的について解説したいと思います。
O2換算とは
O2換算は次の式で計算することができます。
$$C=C_s×\frac{21-O_n}{21-O_s}$$
C:窒素酸化物の濃度[ppm] Cs:窒素酸化物の実測濃度 On:標準酸素濃度 Os:排ガス中の酸素濃度
計算自体は簡単ですが、なぜこのような計算を行うのか意味をしっかりと理解しておく必要があります。
O2換算を使う理由
O2換算を使う理由は、規制の基準を一律にするためです。
例えば、ボイラーなどの焼却設備で何かを燃やすためには酸素が必要です。炉内で空気中の酸素と結びつくことで燃焼が起き、使用されなかった酸素はそのまま排ガスとして煙突から排出されます。そのため、大気の酸素濃度は21%ですが、排ガスの酸素濃度はそれよりも低くなるわけです。
この濃度はどの程度の空気比のよって運転するかによって大きく変わってきます。当然、空気比が大きければ酸素濃度は高くなり、小さければ酸素濃度は低くなります。よってこれを一定にするために、O2換算という考え方が重要になります。
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まず、燃料を燃やした際に酸素濃度3%の排ガスが発生したとします。この場合、100Nm3/minの排ガスに対し、窒素酸化物が200ppm(100×200×10^-6=0.02Nm3/min)で酸素が3Nm3/min排出されることになります。
ただ、ppmというのはあくまで濃度なので大気の空気を混合させて排出すれば、いくらでも下げることができます。
例えば新鮮な空気を100Nm3/min混ぜて排出させれば排ガスは合計200Nm3/min、酸素は24Nm3/h(12%)、窒素酸化物は0.02Nm3/min(100ppm)になります。これだと規制の意味がないので、O2を6%とした場合にどの程度の濃度になるかを換算させるのがO2換算の目的です。
O2換算で実際に計算してみる
O2換算の計算を実際にやってみます。
最初の状態
まず、先ほどの状態で酸素濃度3%、窒素酸化物200ppmの排ガスをO2 6%換算にすると次の式により167ppmになります。
$$200×\frac{21-6}{21-3}≒167[ppm]$$
空気を過剰に混ぜた場合
次に新鮮な空気を100Nm3/min混ぜた場合の酸素濃度12%のものをO2 6%換算にすると次の式により167ppmになります。
$$100×\frac{21-6}{21-12}≒167[ppm]$$
これにより、空気を混ぜて排ガスの総量を増やすことで濃度規制を免れるという不正ができなくなりました。計算式だけで見ると少しわかりにくいですが、意味を理解すればO2換算を行う理由がよくわかると思います。
まとめ
- O2換算は排ガス中の酸素濃度と大気中の酸素濃度で計算できる。
- O2換算は排ガスの基準を一定にするためのもの。
- O2換算により空気を混ぜて濃度を下げるという不正ができなくなる。
どちらが分母でどちらが分子かを忘れてしまいそうですが、都度式の意味を考えながら当てはめれば間違えることもないのではないでしょうか?