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【転職】プラント設計ってどんな仕事?実際の業務内容を徹底解説

プラント設計と聞くと、プラントを設計するということは分かっても具体的にどんな仕事をしているのかイメージが出来ないという方も多いかと思います。

この記事では実際にプラント設計として働く私が一般的なプラント設計の仕事内容について解説したいと思います。

プラント業界に就職や転職を考えている人でプラント設計の仕事に興味があるという方の参考になれば幸いです。

こんな方におすすめ

  • プラント設計の仕事内容が知りたい
  • プラント設計にはどんな人が向いているか気になる
  • プラント設計に就職、転職を考えている

こちらの記事は動画でも解説しています。

プラント設計ってどんな仕事?

プラント設計とは文字通りプラントや工場などの生産設備の設計を行う仕事です。

同じ技術系の仕事でも開発や研究と違い、既存のものを目的を達成できるように技術基準に従いながら組合わせていくのが設計の仕事です。

具体的には営業部門経由で顧客から「プラントが達成したい性能条件」をもらい、それを達成できるプラントを施工するのに必要な書類、図面の作成を行います。

作成した図面や仕様書などは資料の用途に合わせて営業部門、調達部門、工事部門、試運転部門、関係各社などに引き継ぎます。

引き継がれた資料で間違っている箇所があると後々発覚した時に手直しの費用が発生するので、プラント設計には整合性の取れた施工に無理のない図面や資料の作成が求められます。

また、同じプラントの設計でも大きく分けると受注前の「基本設計」受注後の「詳細設計」に分けることができ、前者は概算見積を出すための資料作成、後者は実際に施工できるレベルの資料作成が仕事になります。

プラントの規模にもよりますが、一つのプロジェクトで数年規模になるので同じ会社の設計者でも過去にどの案件を担当したかによって得意分野が変わるというのもプラント設計の特徴です。

エコおじい
基本設計を行い見積もりを提出、価格的な合意が得られて受注すれば詳細設計に移るという流れです。

プラント設計の仕事の流れ

プラント設計の主な仕事の流れは次のようになります。

プラントの設計条件の入手

自社設備であれば自社の生産部門、エンジ会社であれば顧客からプラントの達成したい性能条件を入手します。

製品の生産プラントであれば日量どの程度生産したいのか、発電所であれば何kWの発電出力、焼却場などであれば日量何トン程度焼却したいのかというイメージです。

また、それらを達成するために、土地、水、電気、原料など利用できるものがどの程度あるのかも入手します。これらの条件を過去の実績などを考慮して対応可能かどうかを検討し、可能であれば見積の積算を行うための基本設計に移ります。

熱収支、物質収支の計算

基本設計の内容はプラントの種類によって変わりますが、製造プラントや発電プラントでは熱収支や物質収支の計算を行います。

熱収支を計算する目的は達成したい目標に対してどの程度の資源が必要か、どのような熱サイクルを組むのが最も効率が良くなるかを検討するためです。

例えば化成品製造プラントであれば、どの製品にどの程度の加熱能力、冷却能力が必要でそれにどの程度の燃料が必要かというイメージです。

これらは主にエクセルで入ってきた熱量と出ていく熱量が釣り合うようになるまで計算を繰り返し、複数の運転パターンで問題なく成り立つまで行います。

一方、物質収支は熱収支で想定したプラントに燃料や水、空気がどの程度必要で、それに対してどの程度の灰や排水、排ガスなどが発生するかを計算します。

ひとつひとつの計算はそこまで複雑ではありませんが、ひとつの計算結果が色々なところに派生するので全てが成り立つようになるまでは結構時間のかかる作業です。

エコおじい
全体の大枠が分かるので新入社員はまずここから学びます。

機器の仕様決定

熱収支や物質収支が決まれば、それに必要な機器の構成や仕様を検討していきます。

例えばポンプであれば、欲しい水量をどの程度の圧力まで昇圧すればいいのか、それにはどの程度の効率で電動機の出力がどの程度必要かを機器ごとに計算していきます。

過去のトラブル事例や稼働中の類似プラントの状況などを担当者にヒアリングしながら余裕率などを決めて仕様を決定していきます。

機器に対してどの程度余裕を見るのかや何を基準として決めるのかはプラントメーカーごとに過去の経験からノウハウがあり、これらが企業ごとの得意プラントの差別化につながります。

エコおじい
プラントメーカーごとに得意とするプラントの種類が異なります。

機器配置の検討

機器の仕様が決まれば、次はそれらの機器が与えられた場所に問題なく収まるかを実際の機器のCADデータを用いながら配置を検討していきます。

顧客から与えられた敷地のCADデータをもとに配管やダクトの取り回し、メンテナンス性を考慮しながら、出来るだけコストを抑えられる配置とすることが重要です。

簡単な作業に見えますが、各機器にどのようなメンテナンスが必要で、何の配管が何本程度接続されるのかをある程度理解しながら進めるためかなり経験が必要な業務です。

エコおじい
少し変えるだけで色々な条件が変わるので配置はアートだと感じます。

各種仕様書の作成

顧客に提出するプラントの見積仕様書やベンダー(機器メーカー)に要求する機器の仕様書を記載した購買仕様書等を作成します。

見積仕様書はプラント全体、主要機器の仕様、保証条件、所掌範囲などを明確にするための資料です。これらの条件はプラント毎に異なるため、顧客と調整を行いながら合意できる内容に仕上げる必要があります。

購買仕様書は各機器に対して必要なため、プラントの規模が大きい場合は膨大な数の購買仕様書を作成することになります。購買仕様書の目的についてはこちらの記事に記載しています。

【業務】購買仕様書とは何か?目的や書く時の注意点について

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ベンダーの仕様書チェック

購買仕様書を作成後は主に調達部門が各機器のメーカーに送付し、見積仕様書の提出依頼を行います。

プラント設計は提出された見積りの内容が購買仕様書に記載した内容となっているかを確認し、訂正事項があればその旨を記載してメーカーに送付します。

各機器でこの作業を繰り返すため、確認しないといけない書類の量は膨大になります。また、同じ機器でも相見積を取り、複数社から見積もりを提出されるため各社の仕様を合わせることも重要です。

ベンダーよりデビエーションが提出された場合は、その都度対応方法を検討し回答することもプラント設計の仕事です。

土木建築との調整

土木、建築設計とプラント設計が別会社になる場合は土木建築業者に基礎の位置やアンカーボルトの長さ、建物にかかる荷重、開口位置の要求などをまとめた書類を作成します。

また、送付後も実際に進めていく中で調整事項は必ず出てくるので都度連絡を取りながらお互いの認識に齟齬がないように調整します。

配管系統、ルートの検討

どのように配管をつなぐのか、ルートや材質、口径、配管ごとの保温の有無などを決定します。

配管をつなぐ際は単純にルートだけではなく、流速や圧力損失なども考慮しながら決めていくため単純に見えて慣れていない人にとっては中々ハードな作業です。

配管一本一本に個別の仕様があるため、プラントの規模が大きくなれば配管の検討だけでも作業量は膨大になります。

エコおじい
大手のプラントメーカーでは配管専門の部署がある程です。

制御方法の検討

各機器の制御にPLCやDCS等を利用する場合はどのように動かしたいのか仕様を決めます。

実際のプログラムや機器の構成はメーカーに任せる場合が多いのでプログラム言語を扱うことはありませんが、他の機器とどのような信号で取り合い、どの条件でどう動かすのかを明確にする必要があるため電気計装の大枠の知識は必須になります。

プラント全体の動きを理解して動作をブロックチャートなどに落とし込む作業が必要になります。

申請書類の作成

プラントを建設する場合には、各法律に基づいて経済産業局や消防局などに建設を行う申請書類を提出する必要があり、これらを顧客に変わり作成するのもプラント設計の仕事です。

記載する情報は申請書類によって変わりますが、プラントの仕様概要や動作説明、危険物の貯蔵量などかなり細かく記載する必要があり、過去案件の使いまわしが多いとはいえなかなか大変な作業です。

また、国への申請書類ということで間違いが許されず、かなり注意しながら作成する必要があります。

工事費の積算資料作成

建設するプラントの機器構成、配置、配管ルート、電気計装などを表す図面が出来たら配管工事や機械工事、電気工事の見積積算に必要な書類を作成します。

配管距離や機械重量、電気配線の距離や数などを整理し工事部門に引き継ぎます。設計部門の作った資料を基に工事部門が地元の工務店などに見積もりを依頼するという流れになります。

工事の助勢

実際に工事が始まると必ずといって不具合が発生するため、設計部門はそれらの不具合を解消するための書類や図面を作成します。

工事の都合上、取り外さなければならないものがあれば、それを無くしても問題ないか、代替案はどうするのかなどを決めていきます。

試運転の助勢

プラントの建設が終わったら各機器が正常に動作するかを確認し、保証条件が達成できるかの試運転を実施します。

通常は試運転専門の部門がある場合が多いですが、プラント全体の性能を評価する試験などでは設計の助勢が必要になります。

これらを実施するのに一つの試験で数日かかることもあるため、試運転期間中は設計部門も現場に常駐することとなります。

エコおじい
長期出張は辛いですが、その分手当も多いです。

竣工引き渡し後の保証対応

竣工後も保証期間中に起きた不具合はプラントメーカーが対応しないといけないため、不具合があれば代替案を検討するのもプラント設計の仕事です。

設計段階では分からなくても、実際に稼働させてみて初めて分かる問題というのも多いのがプラントの難しいところです。

プラント設計の仕事の特徴

プラント設計の仕事の特徴は次のようになります。

9割が書類仕事で正確性が求められる

全体の仕事の流れを見ると分かるようにプラント設計の仕事は9割が書類作成や図面のチェックです。

また、官庁への申請書類なども作成するためかなり正確性が求められます。

全体の工程を確認しながら遅れないように業務を進めていく必要があるため、スピードと正確性を意識しながら進めていく必要があります。

転勤が少なく生活が安定している

プラント設計は製造業などの工場勤務と比較すると転勤が少なく生活が安定します。

また、プラントエンジニアリング企業は本社が都心部にある場合も多く、都市近郊に住むことが出来ます。これらのことから、私の周りでは郊外に家を購入し通っている人が多いです。

定期的に長期出張がある

転勤はありませんが試運転などの際には数週間~数か月程度の長期出張があります。海外のプラント建設を手掛けている企業の場合はもっと長くなることもあります。

この期間はホテル暮らしとなりますが、その分手当も多いので何とも言い難いところです。

まとめ

  • プラント設計は生産設備の設計を行う。
  • プラント設計の仕事は基本設計~竣工まで多岐に渡る。
  • 書類仕事が多く正確性が求められる。

プラント設計はプロジェクトの規模が大きい分一通りの業務を経験するまでに数年かかりますが、学べることも非常に多いです。

プラント業界に興味のある方は是非プラント設計に挑戦されてみてはいかがでしょうか。

以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。

エコおじい
新たな気づきがあればまた追記していきます。
【業界研究】プラント業界とは?詳しく徹底解説します

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  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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