製品の温度を制御する仕組みの一つに「プログラム制御」というものがあります。
フィードバック制御やフィードフォワード制御に比べ、少し複雑なイメージがありますが、実際には非常によく使われる制御方式の1つです。
ここでは、プログラム制御とは何か?どんな時に利用されるかについて解説していきたいと思います。こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
プログラム制御とは?
プログラム制御はコトバンクによると「時間的に変化する量に対して、コンピューターにあらかじめ記憶させたプログラムに従って制御を行う方式。」となっています。
例えば、20℃の物質を90℃まで昇温させてから25℃まで冷却するという場合、プログラム制御では次のように細かく時間を設定することができます。
上図の制御では
- 20℃の物質を5分で50℃に昇温させる。
- 50℃で5分間維持する。
- 2分で90℃に昇温させる。
- 90℃で8分間維持する。
- 2分で60℃に冷却する。
- 5分間60℃を維持する。
- 3分間で30℃に冷却する。
という複雑な流れになり、昇温速度や冷却速度を細かく設定することができます。
実際に制御をかけた場合、多少のオーバーシュートやアンダーシュートが発生するため、上の図の赤字の様な制御になります。
設定値が徐々に変化していく事で、昇温スピードや冷却スピードが制御できているということが分かります。
これを、プログラム制御を用いなかった場合は次のような制御になります。
- 90℃に設定して成り行きで昇温させる。
- 20分後に設定温度を30℃に手動で変更して成り行きで冷却する。
この場合も一度90℃に昇温させてから、30℃に冷却させるという流れは同じですが、それまでの温度の上がり方が全く違うということが分かります。
このように、設定値と時間を入力しながら制御を行うことをプログラム制御といいます。
プログラム制御を使う理由
プログラム制御をする場合は、少し価格の高い高機能な調節計やシーケンサなどの機器が必要であったり、そもそものプログラムを組む時間もかかります。
それでもプログラム制御を利用する理由は、温度を制御したい対象が、急激に温度を上げると内部の性質が変わってしまったり、昇温速度に反応速度が追いつかず上手く反応が進まなかったりすることがあるからです。
実際の工程では、高付加価値な製品であればあるほど、プログラム制御が用いられることが多いです。
まとめ
- プログラム制御は設定値を時間と共に変化させながら行う制御。
- プログラム制御は昇温速度や冷却速度を微細にコントロールできる。
- 化学反応などが発生する生産物で利用されることが多い。
プログラム制御と聞くと、複雑なものを思い浮かべるかもしれませんが、実際には設定値と時間が任意に決められる制御というだけです。
非常に良く利用される制御方式なので、是非通常の制御との違いを理解しておきましょう。
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