安全弁を選ぶ際には、型式とは別に呼び径を決めなければいけません。では、安全弁の呼び径は何を基準に決めればいいのでしょうか?
今回は、安全弁の呼び径を選ぶ際の考え方について解説してみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 安全弁に求められる機能とは?
安全弁は、設定圧力より装置や配管の内圧が高くなった際に作動する弁です。装置や配管には耐圧(耐えられる最大の圧力)があるので、不測の事態により圧力が上がりすぎると故障のリスクが出てきます。
ですので、安全弁に求められる機能として安全弁が開いたときに内圧の上昇が止まるようにしなければいけません。圧力が上昇するかどうかを決める要素は次のようになります。
- 安全弁が吐き出す量 > 機器や配管に流入する量(体積流量) ⇒ 圧力低下
- 安全弁が吐き出す量 < 機器や配管に流入する量(体積流量) ⇒ 圧力上昇
つまり安全弁を選ぶ際には、作動した時に内圧を下げられるようにするということが重要になります。
作動することで安全弁がどの程度の量を吐き出せるかという基準が呼び径になります。
2. 安全弁の呼び径の選び方
安全弁には作動した時に吐き出すことができる量を表す公称吹出し量という数値があります。単位はkg/hです。
公称吹出し量は次の4つの要素で決まります。
- 型式
- 呼び径(A)
- 設定圧力(MPa)
- 流体(蒸気、空気、水)
安全弁を設置する場合、吐き出し側は大気圧なので、設定圧力と大気圧との圧力差でどの程度の流量が流れるかということが型式ごとに決まっています。
なので、実際に選ぶ場合は次のようなステップで決めていく事になります。
- 流したい流体、設定圧力を決める。
- 全量式、揚程式、レバー付きなどを決め、型式を選ぶ。
- 吐き出したい流量から呼び径を決める。
全量式や揚程式の違い、設定圧力についてはこちらの記事を参照してください。
【安全弁】揚程式と全量式の違いや使い分けについて
【安全弁】安全弁の正しい設定圧力は?
当然、呼び径が大きくなれば大きくなるほど吐き出し量が多くなります。蒸気や液化ガスなどの圧縮性流体に使用する場合は、設定圧力になった際に吐き出さないといけない流量を計算してやる必要があります。
特に第一種圧力容器などに使用する場合は法律も関係してくるので注意が必要です。
【圧力容器】第一種と第二種はどう違う?圧力容器の区分について
安全弁は大きいものを選べばいい?
では、安全弁は大きければ大きいほう吐き出せる量が多いので良いのでしょうか?
安全弁を選定するとき、これまでの考え方を適用すると大は小を兼ねるということになります。ただ、実際には過剰に大きいものを選定すると弁部からの漏れ量が多くなったり安全弁そのものの価格が高くなったりするのであまりお勧めできません。
あくまでも、設計値をカバーできるような最適なサイズを選定してやる必要があります。
まとめ
- 安全弁の呼び径は吐き出したい量によって決まる。
- 公称吐出し量は型式、呼び径、設定圧力、流体によって決まる。
- 大は小を兼ねるではなく適切なサイズを選定してやる必要がある。
安全弁の呼び径に関する質問をいただいたので、記事にしておきました。実際の設定型式や使用可否については、安全弁メーカー様のほうにお問い合わせいただければと思います。