電気

【電気】相電圧と線間電圧、相電流と線間電流の違いを徹底解説

三相交流回路の特徴の一つとして相電圧、線間電圧、相電流、線電流というものがあります。これらは結線方法によってそれぞれ特性が変わりますが、ただ単に特性を暗記するだけではそれぞれの特性を混同してしまします。

この記事では、相電圧と線間電圧の違い、相電流と線電流の違いについて解説します。

相電圧・線間電圧、相電流・線電流の違い

相電圧・線間電圧、相電流・線電流の違いを一言で表すと次のようになります。

  • 相電圧:一相にかかる電圧
  • 相電流:一相に流れる電流
  • 線間電圧:電源と負荷を結ぶ電線間の電圧
  • 線間電流:電源と負荷を結ぶ電線に流れる電流

それぞれの特性はY(スター)結線かΔ(デルタ)結線かによって変わります。

Y結線の場合

Y-Y結線の場合、相電圧・線間電圧、相電流・線電流の違いを図に表すと次のようになります。

相電圧と線間電圧

Y結線の線間電圧は相電圧の√3倍になります。

まず、a相とb相に着目すると、相電圧Eaと相電圧Ebは120°位相がずれるので、ベクトル図に表すと次のようになります。ここで、線間電圧VabはEaとマイナスEbを足し合せたものになるので、Ebを反転させた赤矢印を書き、EaとマイナスEbを足し合せます。

Vabの大きさは次のような直角三角形が現れることからEaの√3倍となり、位相がEaに比べて30°進むことが分かります。

 

相電流と線電流

Y結線の場合、相電流と線電流はキルヒホッフの第一法則より「電気回路の任意の分岐点について、そこに流れ込む電流の和は、そこから流れ出る電流の和に等しい」ので同じになります。

Δ結線の場合

相電圧と線間電圧

Δ結線の場合、相電圧と線間電圧は上の図により同じになります。

相電流と線電流

Δ結線の線電流は相電流の√3倍になります。


線電流Iaを求める場合、上の図より線電流Iaは相電流Iabから相電流Icaを引いたものだと分かります。IabとIcaは位相が120°ずれるのでベクトル図に表すと次のようになります。

ここで、先ほどと同様にベクトルIcaを反転させてIabと足し合せるとIaは次のように表すことが出来ます。

 

線電流Iaの大きさは次のような直角三角形が現れることからIabの√3倍となり、位相がIabに比べて30°進むことが分かります。

まとめ

  • 相電圧、相電流は一相あたりの電圧・電流
  • 線間電圧、線電流は電源と負荷を結ぶ電線の電圧、電流
  • Y結線の線間電圧は相電圧の√3倍になる。
  • Δ結線の線電流は相電流の√3倍になる。

√3倍という数字を暗記するとどちらが大きくてどちらが小さいのか、位相がどの程度ずれるのかが混同してしまいますが、導出根拠を理解しておくと間違えることもないのでお勧めです。

是非、混乱したら結線図とベクトル図を書きながら思い出していきましょう。

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  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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