工場などで配管などによく取り付けられている温度計や温度センサー。
普段あまり気にしませんが、温度計や温度センサーが示している値って本当に正しいか疑問に感じることはありませんか?
今回は、よく見る温度計や温度センサーの測定原理や誤差について種類別に比較してみたいと思います。
1. 温度とは?
温度とは、物質の熱さ冷たさを示す指標です。一般的には、接触により熱が流出する側の温度が高く、熱が流入する側の温度が低いように定められます。
工業的には、標準大気圧のもとで水が凍る温度0℃と、水が沸騰する温度100℃との間を100等分したものを、摂氏1℃として表します。
温度に関しては概念的なものがたくさんありますので興味のある方は調べてみてください。
2. 温度計の種類と原理
温度を測定する機器として温度計や温度センサーがありますが、その測定原理は様々です。
今回は代表的な6つのタイプを比較して検証してみたいと思います。
2-1. 液体温度計
最も一般的に使用されている温度計です。
学生時代に理科の実験で使用したことがある方も多いのではないでしょうか?中に封入されている液体とガラスの熱膨張の差を利用して温度を測定します。
実用温度は70~900K(-203~627℃)で測定誤差は±1℃程度です。
2-2. 熱電対
2種類の金属、または合金を接続したもので、接点間の温度差に依存して発生する熱起電力(ゼーベック効果)を利用して温度を測定します。
実用温度は1~3000K(-272~2727℃)です。熱電対はJISで階級や許容差が決められています。
2-3. 抵抗温度計
抵抗温度計は温度センサーとして利用されています。電気抵抗の温度依存性を利用しています。抵抗を図るために定電流を流して、電圧降下を測定する装置が必要です。この原理を利用して、温度を4~20mAの電流信号に変換して調節計などで制御を行います。
実用温度は1~1100K(-272~827℃)です。
こちらも熱電対と同じように、JISで許容差が決められています。
2-4. 放射温度計
物質からの放射光強度を測ります。物体からの放射光強度の波長依存性が温度に依存することを利用しており、温度計を測定物に接触させないで測れる非接触型温度計です。
実用温度は220~3300K(-53~3027℃)です。放射温度計は測定するものによって発生する誤差が変わってきます。光沢のある金属などは計測できません。
光沢のある物体の温度を測定するときは黒体テープや黒体スプレーが必要です。
誤差は測定者により変わってきます。
2-5. バイメタル式温度計
張り合わされた2種類の金属が熱膨張差によってワン曲変化することを原理として温度を測定します。
実用温度は223~773K(-50~500℃)です。こちらもJISで最大許容差が定められています。
バイメタル温度計はフルスケールの百分率で誤差が表記されています。0~100℃の測定ができるもので精度等級が2であれば、誤差は±2℃になります。
【温度センサー】接点付き温度計を利用するメリットと注意点は?
2-6. ガリレオ温度計
ガリレオ温度計は、透明な液体と複数の様々な密度のガラス器を含む、密閉されたガラス製の円筒で作られた温度計です。液体の密度が、その温度によって変化するという原理から温度測定を行うことができます。
見た目の美しさから、インテリアとして東急ハンズに売られていたりします。測定誤差は不明です。
贈答品などにも使われるみたいなので。もし気になる方がいらっしゃればどうぞ。
3. まとめ
温度一つとっても測定原理は全く違います。 誤差は等級にもよりますが、大体1~2度程度というところです。
いくつかの温度測定器を組み合わせる場合は、誤差が増えていきますので注意が必要です。