熱力学

【熱力学】ワットとカロリーの変換方法

熱をあつかうときに厄介なのが、エネルギーを表す単位です。カロリー、ワット、ジュール、キロワット、キロカロリー・・・。これらの単位をしっかり理解できれば、エネルギーの考え方を理解できたも同然です。

今回は、ワットとカロリーの変換方法について解説したいと思います。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。

1. ワット

まずはおさらいでワットについて考えてみましょう。

ワットは熱機関の祖であるジェームスワットにちなんでつけられた単位で、1秒当たりに1ジュール生じさせる仕事率です。単位で表すとJ/sになり、単位時間あたりにどれぐらいの仕事をするのかを測るときに便利です。

ポンプの出力、家電製品、発電機、熱交換器の交換熱量など様々なところで使用されます。ワットが分かれば、時間の概念とエネルギーの概念を同時に表すことが出来るので、能力を見るときには非常に便利です。

ワットをSI単位で表すと次のようになります。

 $$W=\frac{J}{s}=\frac{m^2・kg}{s^3}$$

ジュールは「標準重力加速度の下でおよそ102グラムの物体を1メートル持ち上げるときの仕事」と定義されています。SI単位で表すと次のようになります。

 $$W=\frac{J}{s}=\frac{m^2・kg}{s^2}$$

現在は熱量を表すときはジュールやワットが使われるのが一般的です。1948年に熱量を表す際はできるだけジュールを用いることが国際的にも決められています。

2. カロリー

カロリーは1グラムの水の温度を1℃上げるのに必要な熱量です。厳密には温度によって水の密度が変わるので温度を1℃上げるのに必要なエネルギーも変化します。

計量法によるカロリーの定義は1cal=4.184Jになります。食品などの熱量を計算する場合には一般的にカロリーが用いられます。

最近ではカロリーを使用して熱量計算をする人も減りましたが、年配の方にとってはカロリーを使用する事に慣れているためカロリーを用いて計算する人もいます。

3. ワットとカロリーの変換は?

ワットとカロリーの変換の式について考えてみます。ワットとカロリーはそれぞれ次の式で表すことが出来ます。

$$W=J/s$$

$$1cal=4.184J$$

この2つの式からワットとカロリーを変換する式は次のようになります。

$$W=\frac{1}{4.184s}cal$$

4. 実際に計算してみよう

実際にカロリーとワットを使用して計算をしてみましょう。

 20℃、300kgの水を10分で50℃にしたい場合、最低何kWの電気ヒーターが必要か?

まず、300kgの水を20℃から50℃に昇温するのに必要な熱量は

$$300×(50-20)=9000[kcal]$$

これをジュールに変換すると

$$9000×4.184=37656[kJ]$$

10分(600秒)で昇温させたいので、電気ヒーターに必要な能力は

$$37656÷600=62.76[kJ/s]$$

よって62.76kWになります。

ワットに変換するにはジュールにする必要があるので、カロリーをジュールに変換しなければいけません。カロリー単体で考えると非常に便利ですがワットが絡んでくると途端に使いにくいものになります。

5. まとめ

  • $$W=\frac{1}{4.184s}cal$$
  • カロリーは食品の熱量以外ではあまり使われない
  • ワットから変換するにはジュールに変換する

カロリーからワットに変換する方法について書きました。いまではカロリーが使われることはあまりないかと思いますが、たまに目にすることもあるのでジュールとの関係性を十分に理解しておきましょう。

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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