省エネ法

【省エネ法】省エネ法の対象となる「エネルギー」とは?

省エネ法では、一般的に私たちがイメージするエネルギーとはべつの考え方で「エネルギー」を定義しています。

どれが「エネルギー」として換算され、何が省かれるのか。これをよく理解していないと解けない問題が毎年出ているのでしっかりと理解しておく必要があります。この記事では、一般的なエネルギーと省エネ法の「エネルギー」の違いについて解説します。

エネルギーとは?

一般的なエネルギーの定義は下のようになります。

  1. 仕事をすることのできる能力。物体や系が持っている仕事をする能力の総称。
  2. 物事をなしとげる気力・活力のこと。活動の源として体内に保持する力
  3. エネルギー資源のこと。

(Wikipedia:エネルギーより引用)

こうしてみると、エネルギーというのはとても幅広い事がわかります。再生可能エネルギーの太陽光や地熱発電で得た電気もエネルギーですし、廃棄物を燃やして何かを加熱したり、発電してもエネルギーを使用したことになります。

一方省エネ法は、オイルショックを契機に制定されており、大半を輸入に頼る化石燃料の使用を削減することを目的としています。よって、省エネ法では一般的なエネルギーとは違い、別に「エネルギー」を定義しています。

【省エネ法】制定された背景、義務、罰則はあるの?

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省エネ法の「エネルギー」とは?

省エネ法で「エネルギー」として換算するものは次の3つです。

  1. 燃料
  2. 電気

燃料

  • 原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品(ナフサ、灯油、軽油、石油アスファルト、石油コークス、石油ガス)
  • 可燃性天然ガス
  • 石炭及びコークス、その他石炭製品(コールタール、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス)であって、燃焼その他の用途(燃料電池による発電)に供するもの

つまり、直接燃料を使って何かを加熱したり、電気を作り出したりしたものは全て「エネルギー」として含まれるという意味です。これはとても分かりやすいです。

対象となるもの

燃料を熱源とする熱(蒸気、温水、冷水等)

対象とならないもの

太陽熱及び地熱など、上記の燃料を熱源としない熱のみであることが特定できる場合の熱

つまり、燃料を使って発生させた熱(蒸気、温水、冷水等)を他の工場から購入して使用した場合などはそれは「エネルギー」として含まれます。但し、それが太陽熱や地熱などの自然エネルギーを使用していて、燃料を使用していないような熱ならば、それは「エネルギー」として含まれません。

あくまで熱としては燃料を使った場合にのみエネルギーになるという事です。

電気

対象となるもの

燃料を起源とする電気

対象とならないもの

太陽光発電、風力発電、廃棄物発電など、上記燃料を起源としない電気のみであることが特定できる場合の電気

こちらも熱と同様で、燃料を使って発生させた電気を購入した場合は、それは「エネルギー」に含まれます。しかし、それがすべて燃料以外(太陽光、風力、廃棄物など)を使って発生させたものである場合、それは「エネルギー」には含まれません。

外部から購入した場合も、それがすべて燃料以外を使用して発生させたものであれば「エネルギー」として含まれません。

ここで勘違いしやすいのが、購入した事業者が「基本は燃料で発電、一部自然エネルギーで発電」という形態をとっていた場合も、どれだけが自然エネルギーなのかは厳密にはわからないのですべて「エネルギー」として含まれるというところです。詳しくは経済産業省のパンフレットに記載されています。

⇒ 経済産業省「省エネ法パンフレット」はこちら

まとめ

  • 燃料を使用すると「エネルギー」を使用したことになる。
  • 熱も電気も、燃料を使って発生させたものであれば「エネルギー」になる。
  • 燃料以外のものを使って発生させたものは「エネルギー」に含まれない。

実際には、これらの「エネルギー」に換算係数をかけて、事業所ごとのエネルギー使用量というものを出していきます。どこまでがエネルギーなのかは難しいですが、燃料を使用しているかしていないかを指標にするとわかりやすいのではないでしょうか?

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エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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