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【ポンプ】ポンプの揚程と吐出圧力の関係は!?

更新日:

ポンプの性能曲線によると、ポンプの全揚程(m)は流量(㎥/min)にって変わるということが分かります。ほとんどのポンプでは、流量が増えると全揚程は低下します。

これは、ポンプの出力できる仕事が一定なので、流量が増えると、その分単位質量あたりの流体に加えることが出来るエネルギーが減ってしまうからです。

では、全揚程が分かったところで実際のポンプの吐出圧力はいくらになるのでしょうか?

一般的に揚程10m=0.1MPaと言われますが、これはあくまで常温の水を基準にした概算値で、実際には液体の密度やポンプ入出の配管径によって変わってきます。

この記事では、ポンプの揚程と吐出圧力の関係について詳しく解説していきたいと思います。

1. ポンプの揚程と吐出圧の関係は?

まず、性能曲線に記載されているポンプの全揚程とはなんでしょうか?

例えば、1㎥/minで全揚程が10mだったとします。この場合、ポンプが供給できるエネルギーは次のような状態になります。

※入口出口の配管径が同じとして摩擦などは無視しています。

この場合、ポンプは密度が1g/㎤の流体を10m、1分間に1㎥持ち上げることが出来るという事になります。ポンプの吐出圧力は吸込圧力が大気圧の場合は、1g/㎤の流体が10m立ち上がっているので1kgf/㎠という事になります。

$$1[g/cm3]×1000[cm]=1[kgf/cm2]$$

圧力換算表MPa⇒kgf/㎠(外部リンク)」を参考にするとMPaに変換することができます。

$$1[kgf/cm2]=0.0981[MPa]$$

※圧力の単位が複数ある理由は「【熱利用設備】キロ、パスカル、圧力の単位が人によって変わる理由」に記載しています。

では、同じくポンプの能力が1㎥/minで全揚程が10mだったとして、吸い込み側の流体が最初から2kgf/㎤の揚程を持っていたとします(一般的な水道は0.2~0.3MPaG程度の圧力を持っています)。

この場合、ポンプは密度が1g/㎤の流体を10m、1分間に1㎥持ち上げることが出来るので吸い込み側の揚程も合わせて、流体を30m持ち上げることができます。この時、ポンプの吐出圧力は1g/㎤の流体が30m立ち上がっているので3kgf/㎠という事になります。

$$1[g/cm3]×3000[cm]=3[kgf/cm2]$$

同じく「圧力換算表MPa⇒kgf/㎠(外部リンク)」でMPaに変換すると次のようになります。

$$3[kgf/cm2]=0.2943[MPa]$$

このように、ポンプの吐出揚程は吸込揚程にポンプの全揚程を足したものという事になります。流入水頭などがある場合は、吸込揚程に加えることになります。

2. ポンプの全揚程と圧力の関係

入口と出口の配管径が同じ、密度も1g/㎤の流体であれば単純に上のような考え方ができます。

しかし、実際には流体の密度も配管径も変わる場合が多いと思います。

このような場合、ポンプの全揚程をH(m)は次のような式で計算することができます。

$$H=(Hd+\frac{Vd^2}{2g})-(Hs+\frac{Vs^2}{2g})$$

H:全揚程(m)Hd:吐出揚程(m)Hs:吸込揚程(m)
Vd:吐出流速(m/s)
Vs:吸込流速(m/s)
g:重力加速度(m/s^2)

この式を変換すると次のようになります。

$$H=Hd-Hs+\frac{Vd^2}{2g}-\frac{Vs^2}{2g}$$

後半に入口と出口の速度エネルギーの差が入っています。つまり、全揚程が一定の場合、入口と出口の流速に差があれば吐出圧力は変わるという事になります。

※入口より出口のほうが流速が大きくなると吐出圧力は低下、入口より出口のほうが流速が小さくなると吐出圧力は上昇することになります。配管径と流速の関係は「【配管】配管流速の計算方法」に記載していますので、よろしければ参考にしてください。

仮に、ポンプ入口と出口の流速が同じ場合、つまり、ポンプ一次側と二次側の配管径が同じ場合は速度エネルギーは同じになるので揚程の差だけで表すことができます。

$$H=Hd-Hs$$

これで最初の考え方に戻るという訳です。ポンプの全揚程は、吐出エネルギーと吸込エネルギーの差という考え方が重要です。

3. ポンプの吐出圧と流体の密度の関係

流体の密度が1g/㎤以外の場合はどうなるのでしょうか?

先ほどと同様に吸い込み圧力が大気圧で、ポンプの能力が1㎥/minで全揚程が10m、入口と出口の配管径が同じだとします。

この場合、次のようになります。

先ほどと同じですね。

ただ、この流体の密度が0.8g/㎤だとします。するとポンプの吐出圧力は次のように表すことになります。

$$0.8[g/cm3]×1000[cm]=0.8[kgf/cm2]$$

同じく圧力換算表MPa⇒kgf/㎠(外部リンク)でMPaに変換すると次のようになります。

$$0.8[kgf/cm2]=0.0785[MPa]$$

つまり、同じ10mの揚程でも流体の密度が1g/㎤の場合は98.1kPaG、0.8g/㎤のばあいは78.5kPaGという事になります。密度が小さければ吐出圧も同じく小さくなります。

同じ水でも温度によって密度は若干変わるので、高温で圧送する場合などは注意が必要です。水の密度は「水の密度表g/㎤(外部リンク)」で確認することができます。

4. 実際に計算してみよう

ポンプ吐出量2㎥/min、全揚程10m、吸込揚程20m、液体の密度0.95g/㎤、吸込流速2m/s、吐出流速4m/sの場合の吐出圧力は?

H:全揚程(m)Hd:吐出揚程(m)Hs:吸込揚程(m)
Vd:吐出流速(m/s)
Vs:吸込流速(m/s)
g:重力加速度(m/s^2)

まずは先ほどの式を変換していきます。

$$H=Hd-Hs+\frac{Vd^2}{2g}-\frac{Vs^2}{2g}$$

Hdを左辺に持ってくると嗣のようになります。

$$Hd=H+Hs-\frac{Vd^2}{2g}-\frac{Vs^2}{2g}$$

数値を代入します。

$$Hd=10+20-(\frac{4^2}{2×9.8}-\frac{2^2}{2×9.8})$$

$$Hd≒29.38[m]$$

吐出揚程が出たので、これを密度を使って圧力に変換します。

$$0.9[g/cm3]×2938[cm]≒2.64[kgf/cm2]$$

最後に圧力換算表MPa⇒kgf/㎠(外部リンク)でMPaに変換すると次のようになります。

$$2.64[kgf/cm2]=0.26[MPa]$$

単純に吸込揚程と全揚程を足して30m=0.3MPaGとしてはいけないという事が数値で分かりますね。

5. まとめ

  • ポンプの吐出揚程は吸込揚程にポンプの全揚程を足したもの。
  • 入出で配管径が変われば流速が変わり吐出揚程が変わる。
  • 密度が小さくなれば揚程は同じでも吐出圧は低くなる。

ポンプは流量や圧力、出口配管の圧力損失などの様々な要素が絡み合って、バランスの取れたところで運転することになります。現状、どのポイントでどんな運転をしているのかはポンプの特性を十分に理解できていないと難しい問題です。

是非、ポンプの揚程と吐出圧を一度計算してみて、ポンプの理解を深めてみてはいかがでしょうか?

ポンプについてもっと詳しく知りたいという方はこちらの本もオススメです。この記事もこちらの本を参考に作成しています。



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