オンオフ弁により、目的の値になるよう制御するオンオフ制御では二位置制御を利用する場合が一般的です。
この記事では二位置制御とは何かについて解説しています。
二位置制御とは
二位置制御とは、オンオフ制御で用いられる制御方式です。例えば、二位置制御で温度を50℃に制御し、しきい値を2℃で設けた場合、加熱源の供給は次のように行われます。
- 48℃で加熱源の供給開始
- 50℃で加熱源の供給停止
このように50℃という設定に対して、50℃丁度になるように制御するのではなく、少し幅を持たせ、2つの位置でオンオフを行うことを二位置制御と言います。
二位置制御をおこなわず、50℃になるようにオンオフ制御を行うと、頻繁にオンオフ弁が開閉弁することになりすぐに寿命を迎えて故障してしまいます。
そのために位置制御では、制御対象の測定値のスピードによって、オンオフ弁の開閉が頻繁になりすぎない程度のしきい値を設けてやるのが一般的です。
二位置制御のメリットは、オンオフ制御のため設備がシンプルになりイニシャルコストを安く抑えられることです。ただし、どうしても設定値に対して上下に振れる前提の制御なのでシビアな制御が求められる用途では使用できません。
ある程度の幅で制御できればそれでいいという場合にのみ使用される制御方式です。二位置制御を行う場合は、DCSや調節計を用いて自動弁を開閉させます。
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二位置制御の使用例
二位置制御は次のような場合に利用されることが多いです。
タンクのレベル制御
タンクにレベルセンサーを設置し、水面が低くなると水を供給、水面が高くなると水の供給を停止させるという制御を行い、水面をある一定の高さの範囲に保ちます。
これによりタンクの水切れを防ぐことができます。また、水面の高さにより送り出すポンプの発停を制御するという場合もあります。
ボイラーの水位制御などは二位置制御が使われることが多いです。
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コンプレッサーの圧力制御
コンプレッサーではエアの圧力をインバータ制御で一定に保つ場合が多いですが、小型の場合は二位置制御を用いることもあります。この場合、設定圧に対し何MPaG以下になるとコンプレッサーが稼働してエアの圧力を一定に保つという方法です。
エアのような圧縮性流体の場合は圧力が低下するまではある程度バッファがあるので二位置制御でも対応することが可能です。
インバータ制御についてはこちらの記事で解説しています。
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空気や水の温度制御
空調の温度制御は比例制御が一般的ですが、古い様式で価格の安いヒーターだと二位置制御が利用されている場合もあります。
例えば、エアフィンが付いたヒーターに電磁弁だけが付いている蒸気ヒーターなどは二位置制御を利用している場合が多いです。
また、制御性がシビアではない温水の温度制御などにも二位置制御は利用されます。
まとめ
- 二位置制御はオンオフ弁の制御方式の一つ。
- 多少の変動はあるが、コストを安く抑えることが出来る。
- 温度、圧力、レベルなど使える場面は多数ある。
二位置制御は非常に簡易な制御方式ですが、実際の現場では良く使用されています。
ほとんどの場合、オンオフ制御=二位置制御だと思っていただければ問題ないかと思います。
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