熱交換器

【熱交換器】相当放熱面積とは?計算方法や使い方について

空調機や給水ポンプ、真空ポンプなどの能力を表す指標として相当放熱面積というものがあります。

この記事では、相当放熱面積とは何か、どのように計算するのかについて書いていきたいと思います。

相当放熱面積とは?

相当放熱面積は等価放熱面積とも呼ばれ、空調機や放熱器の能力を表す指標です。英語ではEquivalent Direct Radiationとも呼ばれ略称のEDRで表されることもあります。

相当放熱面積の定義は次のようになっています。

EDR(相当放熱面積)とは直接暖房設備の容量表示法の一種で、室温18.5℃、蒸気温度102℃、温水温度85℃を基準状態とし、暖房負荷などを蒸気暖房では650kcal/h(約2723kJ/h)、温水暖房では450kcal/h(約1885kJ/h)で除した値を単位EDR㎡で表したもの。基準温度での放熱を標準放熱量と言います。

これだけだと少し分かりにくいので、実際に計算をしながら考えてみましょう。

相当放熱面積の計算

空調機の場合

空調機の場合は、空調機の暖房負荷によって次のように計算することができます。

蒸気空調の場合

$$EDR=[暖房負荷][kcal/h]÷650[kcal/h]$$

温水空調の場合

$$EDR=[暖房負荷][kcal/h]÷450[kcal/h]$$

ラジエータ、コンベア、ベースボードヒータの選定方法(外部リンク)

ボイラー給水ポンプの場合

ボイラー給水ポンプの場合は、ボイラーの定格出力[kcal/h]を用いて計算することができます。

$$EDR=[ボイラー定格出力]÷650[kcal/h]$$

空気調和設備 熱源付属機器の算定(外部リンク)

真空ポンプの場合

真空ポンプの場合、相当放熱面積の計算は次のようになります。

還水タンクに還水する真空給水ポンプユニットの能力は、放熱器及び熱交換器等の負荷を相当放熱面積に換算した値に基づき算定する。

(引用:建築設備設計基準)

つまり、真空ポンプの吸引能力から熱交換器の能力を計算し、相当放熱面積に換算するという事になります。

例えば、蒸気ドレンを吸引させる真空ポンプのドレン処理能力が2m3/h(2000kg/h)の場合、102℃の蒸気の潜熱は538kcal/kgなので次の式により、相当放熱面積は1655m2となります。

$$538[kcal/kg]×2000[kg/h]÷650[kcal/h]≒1655$$

真空ポンプの場合、単純に吸引能力が高ければ高いほど、相当放熱面積は大きくなるという事になります。

まとめ

  • 相当放熱面積は空調機や放熱器の能力を表す指標。
  • 基準温度をもとに蒸気は650kcal/h、温水は450kcal/hで除したもの。
  • ポンプの場合は送り先や回収先の定格にて計算する。

相当放熱面積は熱交換器なのかポンプなのかによって若干計算方法が変わるので分かりにくいです。

最近ではあまり使うことはありませんが、まれに会話に上がることもあるので注意しましょう。

熱交換器

2022/7/31

【熱交換器】給水加熱器とは。設置するメリット、デメリットについて

現在、多くの火力発電所ではランキンサイクルの中でも再生サイクルが用いられています。 この記事では再生サイクルで必ず用いられる給水加熱器とは何かについて解説します。 給水加熱器とは 給水加熱器とは、蒸気タービンの抽気蒸気を利用してボイラー給水を加熱するための熱交換器です。給水加熱器を設置した熱サイクルを再生サイクルと呼び、発電所で良く利用されるランキンサイクルをより高効率にするものとされています。 一般的に復水器から脱気器までの間に設置するものを給水の圧力から低圧給水加熱器、脱気器からボイラーまでの間に設置 ...

ReadMore

熱交換器

2023/5/20

【熱交換器】オイルヒーターの電気代は高い?実際に計算してみた

巷で話題のオイルヒーターですが、電気代が高いという評判もあるため、実際のところどうなのかを計算してみました。 この記事では、オイルヒーターの電気代を計算する方法やエアコン、灯油ヒーターと比較してどうなるのかを熱計算の観点から解説しています。こちらの動画で会話形式でも解説しています。 オイルヒーターの原理 まず、オイルヒーターで部屋を暖めるのは次のようになります。 電気ヒーターでオイルを温める。 オイルが循環してパネルが温まる。 パネルからの放熱で部屋が温まる。 オイルヒーターという名前ですが、オイルまあく ...

ReadMore

熱交換器

2022/8/27

【熱交換器】相当放熱面積とは?計算方法や使い方について

空調機や給水ポンプ、真空ポンプなどの能力を表す指標として相当放熱面積というものがあります。 この記事では、相当放熱面積とは何か、どのように計算するのかについて書いていきたいと思います。 相当放熱面積とは? 相当放熱面積は等価放熱面積とも呼ばれ、空調機や放熱器の能力を表す指標です。英語ではEquivalent Direct Radiationとも呼ばれ略称のEDRで表されることもあります。 相当放熱面積の定義は次のようになっています。 EDR(相当放熱面積)とは直接暖房設備の容量表示法の一種で、室温18.5 ...

ReadMore

熱交換器

2021/9/3

【熱交換器】熱交換器って何?種類や伝熱能力の計算方法は?

熱いものと冷たいものの熱を入れ替える場合には一般的に熱交換器が使われます。熱交換器の目的は名前の通り「熱を交換すること」ですが、用途によって選定する種類が違ったり、流体の向きが違ったりします。 この記事では、 「熱交換器って何?」 「熱交換器にはどんな種類があるの?」 「熱交換器を選定する方法は?」 「熱交換器はどんなところで使われているの?」 という疑問を持つ方に向けて「熱交換器とは何か」について詳しく解説していきたいと思います。少し文字数が多いので、目次で気になるところから読み進めて頂ければと思います ...

ReadMore

熱交換器

2021/9/3

【熱交換器】ヒーターのワット数ってどうやって選ぶの?ワットと伝熱能力の関係とは?

電熱ヒーターや熱交換器の能力を考えるときはkW(キロワット)で表記されていることが多いです。 ワット数が高ければ高いほど、たくさんの熱を伝えることが出来ますが、ヒーターを選ぶときに一体どの程度の能力のものを選べばいいか分からない事ってありますよね? 今回は、電熱ヒーターのワット数と伝熱能力について考えてみたいと思います。 ※ こちらの記事は動画でも解説しています。 1. 電熱ヒーターのワット数 電熱ヒーターのワット数は外部にできる仕事量を表しています。水を貯めた水槽に電熱ヒーターを入れた場合、仕事は水の温 ...

ReadMore







  • この記事を書いた人

エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



効率的に技術系資格取得を目指す方必見!当サイトおすすめの通信講座

最短で資格を取得するためには、いかに効率よく学習するかが最も重要です。

参考書だけでは分かりにくいという方には、全て解説動画で学べるSATの通信講座がおすすめです。日々の通勤時間など隙間時間を利用して無理なく効率的に学習を進めることが出来ます。

超シンプルで分かりやすいSAT『エネルギー管理士』

エネルギー管理士の通信講座です。イラストを多用したシンプルで分かりやすいテキストと動画がセットになっています。

他社と比較すると価格もお手頃で、特に熱力学などを学んだことのない初学者におすすめの通信講座です。

熱分野レビュー 電気分野レビュー 他社との比較

エネルギー管理士以外にも電験や衛生管理者など25の資格の通信講座を展開しています。

最短で電験取得を目指すならSAT『電気主任技術者講座』

イメージしにくい交流回路についても多様なイラストと解説動画で詳しく解説してくれます。独学ではなかなか勉強が進まないという方に特におすすめの講座です。電気について詳しく学べるので実務で電気を使うという方には最適な教材です。

電験三種レビュー 他社との比較

技術系資格の最高峰SAT『技術士合格講座』

論文添削やZOOMマンツーマン指導が付いており、面接対策もWeb上で行うことが出来ます。また、テキストは毎年改定されているので常に最新の教材で勉強することが出来ます。

-熱交換器

エネ管.comをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

© 2024 エネ管.com Powered by AFFINGER5