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【ボイラー】排ガスの熱回収をするときに考慮するべき酸露点とは?

ボイラーやガスエンジン、ガスタービンなどから発生する排ガスは多くの熱エネルギーを含んでおり、それらの回収を検討することは省エネルギーを実施していくうえで非常に重要です。

排ガスの熱回収として、ボイラー給水を予熱するエコノマイザ(節炭器)や燃焼用の空気を温める空気予熱器などを設置しますが、この時検討しなければいけない重要項目として、排ガスの「酸露点」というものがあります。

今回は、排ガスの熱回収を検討する際に重要な「酸露点」やその対策について解説してみたいと思います。

1. 酸露点とは?

酸露点とは排ガス中から硫酸や塩酸などの酸性物質が発生しはじめる温度のことを言います。発生する物質によって「硫酸露点」や「塩酸露点」などといいます。

排ガスの熱回収をする際に、排ガスの温度が酸露点以下になると熱交換器や煙道で水蒸気が凝縮することで、硫酸や塩酸が発生し、機器や配管を著しく腐食します。よって、排ガスからの熱回収を検討する際には排ガス温度が酸露点温度を下回らないようにする必要があります。

燃料中の硫黄から煙道やエコノマイザ(節炭器)で硫酸になるまでは次のような工程があります。

重油燃料中に含まれた硫黄が燃焼するときに酸化されます。

$$S+O2⇒SO2$$

空気中に含まれる酸素と反応して、SO2はさらに参加されます。

$$2SO2+O2⇒2SO3$$

水蒸気が凝縮して発生した水の中にSO3が溶解し、硫酸が発生します。

$$SO3+H2O⇒H2SO4$$

硫酸は鉄やステンレスを溶解させるため、配管に穴あきを発生させることになります。

酸露点温度は、成分によって変わってくるため具体的なものは決まっていませんが、一般的には120℃~150℃あたりが多いのではないかと思います。

2. 酸露点腐食の対策は?

排ガス中から酸性物質が発生するのを防止するには排ガス温度が重要ですが、それ以外にもいくつかの対策があります。ここにあげているもの以外もあるかと思いますが、代表的なものをあげてみました。

2-1. 排ガス出口温度を管理する

熱回収後のエコノマイザや空気予熱器から排出される排ガスの温度を管理し、酸露点を下回らないように調整します。これによって、後工程の煙道での腐食を防止することができます。

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2-2. 低硫黄燃料を使用する

酸が発生する要因は燃料中の硫黄成分のため、硫黄分の少ない燃料を使用することで、排ガス中から硫酸が発生するのを防止します。

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2-3. 過剰空気量を減らす

燃料を燃焼させるには空気が必要です。この空気を過剰に供給するとSO2の酸化を促進させることになるため、理論空気量に対して過剰な空気を減らすと、硫酸の発生を抑えることができます。

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2-4. 耐酸腐食性金属を利用する

最近では、材料科学の進歩により、酸性物質に対して耐腐食性をもつ金属も開発されています。煙道の材質を耐腐食性のものにすることで、酸性物質が発生した時に穴あきを防止することができます。

2-5. 熱交換器供給するに空気、給水の温度を上げる

排ガス中の水蒸気が凝縮しないようにするためには、排ガスの熱交換機の出口温度を管理するだけではいけません。熱交換先である空気や水が低温で入ってくると、局所的に低温になり、酸性物質が発生する可能性があります。

排ガスを空気予熱や給水予熱に使用する際も、何度までなら問題ないのか調査する必要があります。

3. まとめ

この記事のポイント

排ガス温度が酸露点を下回ると配管などを腐食させる

酸露点対策はさまざまである

低温腐食以外にも高温腐食もある

酸露点について簡単に解説しました。

もし、排ガスの熱回収を検討する場合は、現場ごとに酸露点温度の基準が決められていると思うので一度確認してみてはいかがでしょうか?

その他ボイラーに関する記事はこちらになります。

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  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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