電気の省エネについて考えた時によく出てくる力率改善。ポンプなどの誘導電動機によって発生する遅れ力率を改善することで電気料金を安く抑えることが出来ます。
今回はコスト削減のテーマで出てくる進相コンデンサとは何か?また、力率改善について解説したいと思います。
進相コンデンサとは?
まずコンデンサの説明からしたいと思います。
コンデンサとはキャパシタとも呼ばれる、電気を蓄える特徴を持つ電子機器のことで、絶縁体を挟んだ2枚の電気伝導体から構成されます。
電荷を蓄える効果があるのですが、この際に交流電気の位相を90°進めるという効果が生まれます。モーターのような回転機器や、溶接機にはコイルが用いられていますが、コイルには位相を遅らせる効果があります。
電気使用現場でコイルによって位相がずれると、力率cosθの数字が1.0から下がってしまいます。位相の遅れを補うために、位相を進めるためのコンデンサを使用します。
力率については、WとVAに関する記事をご参照ください。
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【電力】今さら聞けない!VAとWの違い、使い分けは?
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進相コンデンサは端子が3つある箱型の設備で、低圧用・高圧用と種類があります。三菱電機や東芝など大手をはじめとした複数の国内メーカーが販売しています。
進相コンデンサの役割
進相コンデンサには交流回路において発生する、無効電流の割合を減らし、力率改善を狙う目的があります。
モーターなど、熱源となることを主目的としない電気機器の場合、コイルに電気が流れることで発生する無効電流がありますが、進相コンデンサは無効電流と逆方向の電流を流すことで、無駄な電流を省く役割があります。
電力会社は消費された電力に対し電気料金を徴収していますが、無効電力分は対象になりません。
一方で、電力供給設備は皮相電力を元に設置する必要があるため、無効電力の割合が大きいと、送電機器・送電線を大きくする必要が生じてしまいます。電力会社は電気利用事業者に対し、力率の改善を求め、その割合に対して電気料金の割引をしています。
現行の力率料金制度では、力率85%を基準として、
- 低圧では85%を上回れば5%割引、下回れば5%割増
- 高圧、特別高圧では85%を上回れば1%ごとに1%割引、下回れば1%ごとに1%割増
と定められています。電気を多く使用する工場では、1%の削減もかなりの金額になるので大きな省エネテーマということになります。
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【電気】コンデンサと電界の関係を解説します
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まとめ
- 進相コンデンサは力率改善のために用いる。
- 位相を進めることで電動機などの遅れを改善できる。
- 割引による電気料金の節減が期待できる。
コスト削減に重要なポイントと思いますので、ぜひ現場の力率、そして進相コンデンサの設置状況について確認してみてください。
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