工場やプラントで新しい設備の導入を検討するときや省エネの検討をするときに、今の設備がどれぐらいのユーティリティを使っているのか知りたいことってありませんか?
既に計測機器が設置されていてきっちり管理されている場合は問題ありませんが、ほとんどの場合はそれぞれの設備で流量計測が実施されていることはありません。
今回は、流量計の設置されていない設備で水の流量を計算する方法について書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
水の流量を測定する方法
水の流量を測定するだけでも様々な方法があります。実用的なものを並べてみます。
- 流量計を設置する
- ビーカーとストップウォッチで測る
- バルブと入出の圧力で測る
- 熱計算で測る
- 体積の計算で測る
- 他の設備との引き算で測定する
- 配管サイズで測る
- 装置のスペックで決める
それぞれについて詳しく見てみます。
流量計を設置する
水の流量であれば、外付け式の超音波式流量計で流量を測定することが出来ます。
精度も高く、大口径にも対応しているので非常に便利です。1台購入しておいてピンポイントの流量測定の際に利用するという使い方がお勧めです。
ビーカーとストップウォッチで測る
水を外に出せる場合は、ビーカーとストップウォッチがあれば簡易的に測定することが出来ます。
例えば、5Lのビーカーが10秒で満水になればそこから逆算して3600秒(1時間)では1800L/hになります。ただ、水の温度が高温の場合や水量が多い場合は火傷や吸い込まれのリスクがあるので注意が必要です。
バルブと入出の圧力で測る
バルブのCV値と一次側、二次側の圧力が分かれば計算することが可能です。
制御弁の場合は開度、バルブの場合は回転数が分かれば現状のCV値を計算することが可能です。ある開度、回転数の時にCV値がいくらになるかはそのバルブのメーカーに問い合わせてください。
熱計算で測る
水を冷却水として使用している場合は、熱量計算で水量を逆算することが出来ます。冷却水が得た熱量は水の水量×比熱×入出の温度差で計算することが出来ます。
冷やされる側の質量、比熱、入出の温度差が分かればそれぞれの熱量は同じになるはずなのでここから水の流量を逆算することが可能です。
体積の計算で測る
タンクなどの水量を計る場合は体積を求めれば水量が分かります。
円筒や直方体であれば簡単に計算できますが、複雑な形状の場合は堆積計算が難しくなります。そのような場合は、直方体と円筒に切り分ける等、計算しやすい形に分解して足し合わせていく方法がお勧めです。
他の設備との引き算で測定する
測定したい装置に流量計が設置されていなくても、細かく見ていけば他の装置との引き算で流量が分かる場合があります。
例えば、全体で1000Lありある装置とある装置が300Lずつ利用している場合は対象の装置は400Lだと分かります。他の装置に流量計が設置されていて、引き算で計算できないか確認しましょう。
配管サイズで測る
水の配管設計を行う際は、大体の流速が1~3m/sと決められています。その為、配管サイズが分かれば水量の目安を立てることが出来ます。
但し、あくまで何m3~何m3という大まかな値しかでないので、参考値として利用しましょう。
見た目で測る
水が外に捨てられているが、高温で測定が難しいという場合は見た目で測定するというのも一つの手です。
水道水の蛇口をひねって水量を計算し、その見た目と比較することで水量を予測することが出来ます。非常にアナログですが、どうしようもない時はこれも一つの有効策です。
装置のスペックで決める
対象が配管ではなく装置の場合、導入する際のスペック(設計条件)を表す資料があります。
装置のスペックから使用量が大幅に少なくなることは少ないので設計条件をみて水量を決めます。但し、設計条件は大抵の場合、実使用条件より大きな値になっていることが多いので注意が必要です。
まとめ
工場でのユーティリティ管理は省エネルギーを行う上で重要ですが、なかなか管理が難しいのが現状です。
ただ、水の流量を測定するだけでもこれだけの方法があるので、考え方次第では数値化して管理することは可能です。
水量を測定する方法は
- 流量計を設置する
- ビーカーとストップウォッチで測る
- バルブと入出の圧力で測る
- 熱計算で測る
- 体積の計算で測る
- 他の設備との引き算で測定する
- 配管サイズで測る
- 装置のスペックで決める
是非、試してみてください。