金属と金属をボルトで接続するときやプラスチック同士を接続するときなどに、内容物の漏れを防止するためにガスケットやパッキンなどのシール材が利用されます。
今回は同じ機能なのに呼び方が違うガスケットとパッキンの違いについて書いてみたいと思います。
1. ガスケットとパッキンの違い
ガスケットとパッキンの呼び方の違いは接続部が動くかどうかです。
- ガスケット・・・固定箇所の漏れ止め
- パッキン・・・運動箇所の漏れ止め
配管と配管、配管とバルブなど一度固定してしまえば動かない箇所の漏れを防止するために利用するシール材をガスケットと呼びます。これに対し、シリンダーやポンプの軸受など動作部分からの漏れを防止するために使用するシール材をパッキンと呼びます。(最近では小型のものをガスケット、大型のものをパッキンと呼ぶこともあるようです。)
ガスケットとパッキンは利用方法が違うため求められる機能も変わります。
1-1. ガスケットに求められる機能

ガスケットは固定状態で長期間漏れを防止する必要があります。そのため耐熱性、耐圧性、耐薬品性が求められます。また、ボルトの締め付け力の変化に対する圧縮復元性能も求められます。
このような特徴から、温度、圧力範囲によってゴム、テフロン、金属など様々な材質のものが販売されています。ガスケットの種類としては次のようなものがあります。
- ゴムガスケット
- ジョイントシートガスケット
- PTFEガスケット
ジョイントシートはゴム、ポリアミド繊維、ガラス繊維、膨張黒鉛などを混合させて固めた複合材料です。PTFEはテフロンと呼ばれるフッ素系の樹脂です。
ガスケットを選定する場合は用途、流体、圧力、温度の4つの条件が必要です。
1-2. パッキンに求められる機能

パッキンは動作部分からの漏れを防止するために利用されます。そのため漏れを完全に防止せず少しずつ漏らしながら利用されることが多いです。漏れを完全に防止させてしまうと摩擦熱が大きくなり、焼き付きなどが発生してしまうためこのような機構になっています。
ポンプに利用されるメカニカルシールやグランドパッキンもパッキンの一種です。パッキンの種類としては次のようなものがあります。
- リップパッキン
- オイルシール
- メカニカルシール
- グランドパッキン
パッキンはガスケットと違い複雑な構造をしていることが多いです。
2. まとめ
パッキンとガスケットの違いは
- ガスケット・・・固定箇所の漏れ止め
- パッキン・・・運動箇所の漏れ止め
ガスケットは配管のフランジやバルブなどの接続に利用され、パッキンはポンプの軸受けなど運動部の接続に利用されて少量漏らしながら運転させる。
配管
2022/7/31
【配管】フランジ規格FFとRFの違い、使い分けは?
バルブや配管を接続するフランジにはJIS10Kなどの後ろにFFやRFという種別が記載されています。 低圧ではFFとRFでどちらを使っても問題ない場面が多いので使い分けが良く分からないという方も多いのではないでしょうか? この記事では、フランジの座面形状を表すFFとRFの違いについて解説します。 FFとRFの違い FF FFはFlat Face(フラットフェイス)の略で上の図のようにガスケットの座面を全面に仕上げたものを言います。主にJIS10K、JIS20K、JPI150、JPI300などの低圧で使用され ...
ReadMore
配管
2022/7/31
【配管】バッファータンクの役割とは?設置するメリットは
給排水系統や空気系統では負荷変動を抑えるためにバッファータンクが良く用いられます。 この記事では排水系統などで良く利用されるバッファータンクについて解説します。 バッファータンクとは バッファータンクとは気体や液体を一時的に貯留させるためのタンクです。レシーバータンクとも呼ばれ、給排水系統や空気系統などに設置されます。 バッファータンクを設けることで、設備のイニシャルコスト低減や工場の安定性を向上させることが出来、大きければ大きいほど変動許容率が上がります。 バッファータンクの役割 バッファータンクの役割 ...
ReadMore
配管
2022/7/31
【配管】バケットストレーナーとは何か、メリットデメリットを解説
ポンプや制御弁など重要な機器を保護するためにはストレーナーは必須です。 この記事では大口径の配管に良く採用されているバケットストレーナーとは何か、また、メリットデメリットについて解説します。 バケットストレーナーとは バケットストレーナーはバケット状のメッシュにて流体内の異物を取り除くための機器です。小口径で良く利用されるY型ストレーナに比べると大口径で利用されることが多い機器です。 内部のバケットは上部のカバーを取り外すことで取り出すことができ、定期的に洗浄を行うことで目詰まりなどを防止します。上部のカ ...
ReadMore
配管
2022/6/3
【配管】「静流水」「脈動水」の定義について解説
配管に用いられるバルブの選定時に時折見かける「脈動水」「静流水」と呼ばれる用語があります。この記事ではこれらの用語がどのような状態の水を指しているか解説します。 清流水とは 清流水の定義は次のようになります。 静流水(steady flow) 定義:周期的な変動、脈動のない水流。温度、圧力、速度などが一定を示す状態の水を指します。(バルブ用語(JIS B 0100)) 実際の清流水のイメージを以下の図を使って解説します。 図で配管中を流れている水は、各ポイント(点A-C)によって流速が異なります。 しかし ...
ReadMore
配管
2021/11/14
【配管】SWとBWの違い、使い分けは?
バルブや配管の接続方式について考えるとき、同じ溶接接続方式でもSW(ソケットウェルド)とBW(バッドウェルド)のどちらが良いのか迷うことってありますよね。 今回は、SW(ソケットウェルド)とBW(バッドウェルド)の使い分けについて解説したいと思います。 SW(ソケットウェルド)とBW(バッドウェルド)の使い分け まず、SW(ソケットウェルド)とBW(バッドウェルド)の違いは次のようになります。 SW(ソケットウェルド):差込み溶接式 BW(バッドウェルド):突合せ溶接式 SW(ソケットウェルド)は差込み溶 ...
ReadMore