電気加熱というと排ガスが出ない、小型化できる、エネルギー管理が容易、といったイメージがありますね。今回はその中でも、溶解・溶接に用いられることが多いアーク加熱と抵抗加熱について解説したいと思います。
アーク加熱とは
アーク加熱は、アーク放電を原理とした、急速加熱・局所加熱に有効な加熱方法です。
放電とは、電極間に大きな電位差を生み出した際に起こる、絶縁破壊と呼ばれる現象のことで、アーク放電では高温と共に大きな電流が流れるのが特徴です。
このとき、電極と電極の間の大気が回路となり、電気が流れる仕組みをしています。
この加熱方法には被加熱物を一方の電極として使う方法もあります。これを直接アーク加熱と呼び、金属スクラップなどを溶解するアーク炉などに用いられています。
また電極間のアーク放電による輻射熱を利用する、間接アーク加熱も存在します。少しまぶしいですが、工事現場の配管溶接などで良く見る加熱方法です。
抵抗加熱とは
抵抗加熱は電気伝導体に電気を流すとき発生する抵抗熱(ジュール熱)を加熱に使用する方式です。
家電でもドライヤーなど、多くの製品に用いられている方法ですが、大型のものだとガラスなどを溶解する加熱炉にも用いられます。
一般に、電気炉というと抵抗加熱を用いた電気式の加熱炉を指すことが多いようです。こちらの方式にも被加熱物の金属に直接電気を流して熱を発する直接式と、コイルから発する熱を利用する間接式の2種類があります。
アーク加熱と抵抗加熱の使い分け
違いや使い分けを気にするのは、加熱炉が多いと思われるので、電気加熱炉に論点を絞りたいと思います。
アーク加熱炉は一般的に、
アーク加熱炉
- 燃焼や抵抗加熱では得られにくい、5000℃以上の超高温を発生させられる。
- エネルギー密度が高く、局所的な加熱ができる。
- 抵抗加熱に比べて、急速な加熱ができる。
という特徴があります。
一方、抵抗加熱炉の場合は、
抵抗加熱炉
- 商用周波数(50/60Hz)の交流電源を使用できる。
- 低温から3000℃程度までの温度幅で制御可能。
といった特徴があります。必要な温度によって、使い分けられていることが多いのではないでしょうか。
まとめ
- アーク加熱は超高温を急速に得られる加熱方法。
- 抵抗加熱は電圧制御により温度管理が容易な加熱方法。
- それぞれ必要な温度によって使い分ける。
電気加熱はエネルギー管理士試験にも頻出の分野ですので、セットにして覚えるのが良いでしょう。
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